ベーシックインカムについて

・ベーシックインカムとは

 ベーシックインカムとは、政府が全ての国民に対して無条件に一定額の現金を定期的に支給する制度のことです。この支給額は最低限の生活を支えることを目的としており、受給者の所得や資産、就業状況に関わらず一律に配られます。さまざまな社会保障をベーシックインカムに一本化することで、受給のための手続きが簡略化され申請しないと必要なお金を受け取れないといったことが防げます。加えて、行政コストの削減や不正受給の防止も期待できます。

・ベーシックインカムはいくらが妥当か

(例1) フィンランドでは2017年から2018年にかけて、約2000人の失業者を対象に月額560ユーロ(約70,000円)を支給する実験が行われました。この金額は、受給者が最低限の生活を維持できるように設計されていました 。

(例2) カナダのオンタリオ州では2017年から2019年にかけて、年間基本所得が独身者で16,989カナダドル(約150万円)、カップルで24,027カナダドル(約210万円)という実験が行われました。この金額は、貧困線を基準に設定され、受給者が基本的な生活を送ることを可能にするものでした 。

(例3) カリフォルニア州ストックトン市では、2019年から2021年にかけて、月額500ドル(約70,000円)を無条件で支給する試験プログラムが行われました。この金額は、低所得者の生活改善を目的として設定されました 。

これらの実例から見ても、受給者が最低限の生活を送るための生活費をカバーすることを目的としてい流ため、金額は地域の生活費や貧困線を基準に設定されることが多いです。

・ベーシックインカムの実証実験 成功例

 ベーシックインカムの実証実験の成功例を説明します。先ほども紹介した例です。

(例1)フィンランド
期間: 2017年から2018年
対象: 2000人の無作為に選ばれた失業者
金額: 月額560ユーロ(約70,000円)

成果:

幸福度と健康: 受給者の精神的健康、幸福度、生活満足度が向上しました。
労働市場: 労働市場への再参入に関しては、就業状況に大きな変化は見られませんでしたが、働く意欲や新しいスキルを学ぶ意欲は高まったと報告されています。

(例2)カナダ(オンタリオ州)
期間: 2017年から2019年
対象: 4000人の低所得者
金額: 年間基本所得が独身者で16,989カナダドル(約150万円)、カップルで24,027カナダドル(約210万円)

成果:

健康と精神的な安定: 受給者の健康状態や精神的な安定が改善されました。
経済的安定: 受給者が負債を減らし、教育や訓練に投資することができるようになりました。
労働市場: 多くの受給者がフルタイムの仕事に戻ったり、新たなビジネスを始めたりしました。

(例3)アメリカ合衆国(カリフォルニア州ストックトン市)
期間: 2019年から2021年
対象: 125人の低所得者
金額: 月額500ドル(約70,000円)

成果:

生活の質: 受給者の生活の質が向上し、特に精神的健康と幸福度が大幅に改善されました。
経済的安定: 受給者は経済的な緊急事態に対処する余裕を持つことができ、予測できない出費にも対応可能となりました。
労働市場: 受給者の就業率が増加し、雇用の安定度も向上しました。また、受給者は仕事を探す際のストレスが軽減されました。

・ベーシックインカムの実証実験 失敗例

(例1)オランダ
期間: 2017年から2019年
対象: ユトレヒト市とその周辺地域の住民
金額: 基本生活費をカバーする程度

失敗要因:

制約条件: プログラムは完全な無条件ベーシックインカムではなく、条件付きでの支給が行われました。このため、受給者が本来のベーシックインカムの目的である自由な選択や行動を取ることが難しくなりました。
行政的な複雑性: プログラムの運営において、既存の社会保障制度との整合性を取ることが難しく、行政手続きが複雑化しました。これにより、受給者が混乱し、支給の目的が曖昧になりました。

(例2)インド
期間: 2011年から2012年
対象: マディヤ・プラデーシュ州の村々
金額: 村の生活費に応じた少額

失敗要因:

資金不足: 長期的な資金確保が難しく、プログラムは短期間で終了しました。
インフラ不足: ベーシックインカムの支給と同時に必要なインフラ整備(教育、医療、交通など)が不十分だったため、受給者が支給金を有効に活用することが困難でした。
文化的抵抗: 一部の住民はベーシックインカムの概念に抵抗を感じ、社会的受容が進まなかったため、プログラムの実効性が低下しました。
これらの失敗例から学べることは、ベーシックインカムの実施には持続可能な資金源、政府の一貫した支援、社会的インフラの整備、および受給者の文化的背景や社会的受容の理解が重要であるということです。ベーシックインカムが成功するためには、これらの要因を考慮し、適切な設計と運営が求められます。

・波多野ゆらの見解
 ベーシックインカムは失敗すると考えます。理由は2つあります。
 1つ目は、労働意欲の低下が起こるからです。ベーシックインカムの支給によって、一定の生活保障が得られるため、働く人も減るのではないかと思います。2ちゃんねる設立やニコニコ動画の運営で活躍した西村博之氏も、おいらはゲームしてだらだら過ごしていれば楽しいと言っています。あれだけお金を稼げる人間ですら労働意欲が低いので、そこらの凡人も働かなくなると思います。特に、低賃金労働や厳しい労働環境で働く意欲が減少する可能性があると思います。これにより、労働市場の供給が減少し、経済活動がうまくいかなくなるでしょう。
 2つ目に、文化や考え方の違いがあります。多くの国では、「働くこと」がとても大切な価値観として根付いています。例えば、日本では、勤勉さや努力が尊ばれ、「働いてこそ一人前」という考え方が強いです。このような文化では、ベーシックインカムが導入されると、「働かなくてもお金がもらえるのはおかしい」と考える人が多くなり、反発を招くことがあります。
 そもそもベーシックインカムをもらいたいと考えている人のほとんどは働きたくない側の人間です。自分で経済や文化、各企業や団体に働きかけてまでベーシックインカムを導入したいとは考えていないのです。誰かがやってくれるのなら賛成するってだけです。以上のことからベーシックインカムは失敗するし、そもそも導入もされないと考えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?