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好きな映画について語る ツィゴイネルワイゼン


アルバイトをしていた会社の全社運動会で(そんな時代もあったなぁ) 生まれてはじめて 新幹線に乗り 東京に行った
武蔵美に入った友達と逢う約束をし その夜は彼の狛江のアパートに泊まった
彼の名は ヤマモト・シンヤ というので 映像計画という学科だと 面接で採らざるを得なかったのだろう 知らんけど
その夜 そのヤマモト・シンヤとマツオカの3人で 渋谷に映画を観に行った
常設の映画館ではなく シネマ・プラセットという ドーム型テントでの上映で 銀色のプラネタリウムの建物みたいな外観で 数日 公演をして撤収してしまう
そこで 鈴木清順の映画『ツィゴイネルワイゼン』を演るというのだ
当時は 鈴木清順監督の弟の NHKの鈴木健二アナウンサーが 有名だったが 鈴木清順は 『ケンカエレジー』など ぶっ飛んだ演出で知られていた
主演は 藤田敏八!
『八月の濡れた砂』の監督だ
クリント・イーストウッド ジョン・ヒューストン 北野武 と 監督兼俳優 という人は けっこういるが 彼はどうなんだろうか?
もうひとりの主演というべき 原田芳雄
たまらん!
大楠道代 大谷直子 モアたまらん!
その他 麿赤児なんかも出ていたが 相倉久人が出ていて びっくりした
音楽評論家で ジャズを死なせた人だ
誤解があると思うので 説明しておくと コルトレーンが死んで『ジャズは死んだか』という本を出した後 わたしが知る限りでは ジャズの評論をやめてしまった

映画の話しだが 最初に 蓄音機にレコードがかけられる
『ツィゴイネルワイゼン』だ
「君 何か言ったかい?」
男の声がかぶる
「いいや」と否定
この 特に何もないシーンに わたしはなぜか震えが来る

サラサーテの声が偶然 録音されているレコード盤から 映画がはじまる
ストーリーらしいストーリーはない 
と思っていたが 最近 内田百閒の原作『サラサーテの盤』を読み返して かなり原作に忠実なのがわかる
しかし ストーリーを追う事より どっぷりと映像に浸りたい
そんな映画だ


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