運命と宿命の定義

 21世紀の今日に於いて、もし占学が無かったとしたら、皆さんはどうやって自分の運命や宿命を知るのでしょうか。そもそも、宿命や運命という物が存在していることも証明されていません。しかし古代中国の東洋占星術では、運命と宿命に対して一つの定義があります。
 運命と宿命とは「天と地の間に於いて与えられた空間の生存範囲」をいいます。難しい表現ですが、天から与えられた人間の枠を定義づけています。人は生まれて来る時にその使命を記憶して来る事は出来ませんし、親や境遇、生年月日、性別も自由に選んで生まれてきたかどうかも定かではありません。周囲の環境や犬、猫、鳥などの動物を見渡しても、自然と天から与えられている物が多い事に気づくはずです。
 これらの与えられた環境の中で、人は人として、動物は動物として生きていかなければなりません。このように「生物が選ぶ事が出来ない物」を宿命といいます。
 一方、古来より良い星の下に生まれる、悪しき星の下に生まれるなど、星という言葉は良く使われますが、星は日に生まれると書きます。よって生まれた日そのものが、星という事になります。
 運命は「時空間における生物の生存工程(動的)」と定義されます。一方、宿命は「時空間において既に与えられている物(静的)」です。運命は自分が選ぶ権利を持っており、例えば配偶者、職業、生活する土地を選ぶ等、生まれた後の工程を運命と言います。
 宿命は静的、運命は動的であることは、理論的には切り分けられますが、実際は運命を選ぶ時に、自分に与えられた宿命を無視することはできません。運命は宿命が根底にあって初めて動き出す物で、運命から宿命が生まれる訳ではありません。この宿命と運命の定義を前提に、中国由来の東洋占星術は人の運気を探し出そうとします。
 自らの運命を感じ、運気を模索するという事は、東洋占星術を作り出した古代の先輩方の歩んだ足跡をたどり、ひいては東洋占術を学んでいくという事に繋がっていきます。


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