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終わってしまうのがとてつもなく寂しいので「エルデンリングDLC・Shadow of the Erdtree」がどれだけ好きかを語ってウダウダしたい。

※本記事には「エルデンリングDLC」のネタバレが含まれます。

 ついにレダ戦直前まで来た。
 ラウフの古遺跡に入った時点で「ああ、もう少しで終わりかな。うわああ終わっちゃうのかーーーーー」と寂しくて仕方がなかった。
 これまでゲームをしていて、「(面白いから)終わって欲しくない」と思うことがあっても「寂しい」と思うのは初めてだ。他のフロムゲーでも「エルデンリング本編」でもこんな気持ちにはならなかった。
「Shadow of the Erdtree」のストーリーが終わってしまうことが心の底から寂しい。
 終わって欲しくない。ずっと影の地の探索を続けたい。どこまでも無限に世界が、話が続いて欲しい。

 一体、何だってこんなに名残惜しい気持ちになるのか。
「Shadow of the Erdtree」は、「エルデンリング」のDLCであり世界観やストーリーを共有していながら、根本から別の話だ。
「エルデンリング」は律を修復する……壊れかかった世界を再構築する話だった。
 それが偽りのものだとしても、世界は美しかった。春夏秋冬のイメージに分かれたエリアが永遠に循環し続ける世界、それが本編の世界観だった。

 始めた直後は、その点でDLCに不満を持っていた。
 殺風景なだだっ広い似たような光景が広がっているだけで、本編のような特色のある土地を旅行しているような感覚が皆無だった。青い花畑も赤い花畑も狂い火の土地も一見するとインパクトはあるが、その風景がただ延々と続いているだけなので探索していても余り楽しくない。
「本編では地図を見て歩いているだけで、この先に何があるんだろうと思えたのにな」そういう不満を持っていた。

 だけどゲームを続けているうちに気付いた。
 このどこまで行っても変化がなく殺風景で終わりがない世界、高低差が大きく下へ行けば行くほど暗く汚れ光が見えなくなっていく世界こそ「Shadow of the Erdtree」のストーリーそのものなんだと。
 こういう世界で生きているから、人は皆絶望していて、微かに見える光にすがらずにはいられないのだ。

 自分はもともとモーゴットやマリケスのような「実はどこにも希望はない」と気付いていても、自ら信じた希望のために戦うというタイプのキャラが凄く好きだ。
「Shadow of the Erdtree」はストーリー全体がそういう話になっている。
 メスメルは自分がやっていることが矛盾だらけでどこにも出口がないことを知っていた。レラーナはそんなメスメルを自分が救えないことを知っていた。
 ムーアは自分たちが母に見捨てられたことを知ったし、アンスバッハはミケラがモーグにしたことの意味を知ることはないだろうと思っていた。
 ティエリエやミドラー、ヨラーンは絶望の中で生きていたからこそ、トリーナやナナヤ、ユミルに縋ったがその思いも彼らを本当の意味で救うことはなかった(横だけどトリーナは永眠を主るから「死」の暗喩であると考えると、ティエリエは死にしか希望がなかった、ということになる)

「Shadow of the Erdtree」の世界とそこで生きる人々は、自分たちが見捨てられ、どこにも希望がないことを知っていた。
 ミケラはそういう人たちの神になろうとした。
 だがそれはトリーナが言うように「自分自身を牢獄に閉じ込めるようなもの」であり、結局は無理なことだった。
 トリーナがわかっていた、ということは、同一人物であるミケラは当然、自分のやることが無理なことだと知っていたことになる。
 だが、ミケラは無理だとわかっていながらそれでも影の地に光をもたらす神になろうとした。

「Shadow of the Erdtree」に出てくるキャラたちは、誰一人「無理だとわかっているからやめよう」とはしない。
 限りなくゼロに近い(というよりもゼロだとわかっていながら)皆、その可能性にかけて自分の生き方を模索して生きている。メスメルやレダは、端から見れば矛盾だらけだったり「その方向性はどうなんだ」と言われるような生き方だが、特に言い訳も留保もなくただその道を進んでいる。

「自分の中にしか存在しない希望」を自分の存在だけで支え追い求めるストーリーが凄く(×10)好きだった。
 祝福のない絶望の地で、それでも光を見出そうとする影の地の世界観が、凄く好きだった。
 自分も影の地の住民になって、ここでずっと暮らしたいと思ったよ。メスメルに焼かれるのはごめんだが。

 影の地から離れるのが、このストーリーが終わってしまうのがとても寂しい。これっきりで終わりかあ……。終わって欲しくない。
 ボリュームを増やしてリメイクを出してくれないかな。


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