石丸伸二の公式チャンネルで「【公約】『3本の柱』と『9つの軸』 〜インタビュー形式で詳しく解説〜」を見てみた感想。

 先日行われた都知事選で二位になった石丸伸二の公約を、公式チャンネルで見てみた。
 安芸高田市の元市長として名前は知っていたが「新しい政治家だ」という評判が流れてきたので「どんなところが新しいか」を自分で確認してみようと思ったのだ。

※あくまで自分が見た感想なので、興味のあるかたはご自分で確認することをお勧めします。

 政治はエンタメではないので、自分は政治に面白さは求めていない(面白さを求めるならエンタメを見る)
 自治体からの発信は、伝えるべきことを端的に正確に公開していればそれでいい。(わざとわかりにくくしているならそれは問題だが)
 そのため普段は動画の再生数など気にしない。

 ただこの人の場合は、「政治家はインフルエンサーであるべきだ」「自分が都知事になったら、東京都のYouTubeの登録者数を全国一にする」「YouTubeからの広告収入によって自分の都知事の給料は実質ゼロにする」と言っている。
 それで「公約」の再生数が23万なのはまずくないか?
 他にショート版もあり合算すれば、という話なのかもしれないが、動画の中で「(東京都が)部局ごとに発信しているものを集約する」(2:00くらいから)つまり必要な情報をひとつにまとめたほうが都民の利益になるからそうするつもりだと「公約動画」の中で言っている。
 都知事になったら都庁からの発信はコンパクトに集約するとすると、動画の再生数だけで都知事の月収をまかなうことはできるのか。
 YouTubeやっていなのでわからないが、100万再生の動画でも広告収入は5万~6万くらいという話を聞いたことがある。
 かなり難しいのではと思ってしまう。
 自分がYouTubeの収益構造を理解していないだけなのだろうか。

 というように、「1.都政の見える化・わかる化」だけで既に頭の中が「?」だらけである。見えないしわからない……。

 次の「情報公開のやり方について」の「人が変われば、石丸伸二という人間がそこに入れば、それだけで情報公開は進みます」(6:41あたり)と聞いた時に、「なるほどこういう人か」と不意に納得した。
 一応突っ込んでおくと「人が新しくなることで情報公開が自動的に進む」のであれば、現職の小池百合子以外であれば誰でもいいことになる。
 石丸伸二は「自分が」と言っているが、ではこの人と他の人との違いは何なのか、そもそも他の人間との違い以前にこの人はどんな風に情報公開を進めるのかという具体的な手法(考え)が動画を見てもわからない。(一応、「自分は情報公開に熱心になれる存在」とは言っているので、これが根拠?なのかな)

 ちなみに11分15秒あたりから、「利権・ばらまきの構図」を話しているけれど、ここは確かにこの人独自の驚くようなことを話している。
 自分はむしろこの人が話しているやり方が、利権を生みやすい構図ではないかと思った。

 三本の柱のうち「1.政治再建」をメモを取りながら見たのだが、余りのツッコミどころ満載の内容に、この段階で地蔵のようになった。
 いやでも何か見落としているのかもしれない、これから見どころのある新しい考えが出てくるのかもしれないと思い「2.都市開発ー4.災害リスク」も見てみた。
 ここでギブアップした。

「2.都市開発ー4.災害リスク」(14:10)を見るだけでも、この人には主張と呼べるようなものは存在しない、もしくはこれまで政府が言っていること(旧い?)をなぞっているだけだと気付く。
「自助・共助・公助」は政府も言っている、というがそれは確かに言っている。

 ただこの人の言い方だと、政府に輪をかけて自己責任論のように聞こえる。
 菅元首相のことを思い出す(最近、総裁選に向けて色々動いているが)

 では公助の部分は何をしてくれるのかと言うと「常に避難所や備蓄を見直す」「時代に合わせて進化させる」という包括的な話しかしない。
 この公約動画の特徴は、「具体的な話」がほぼ出てこない点にある。
 現代風に言うなら「話の解像度が低い」
 
投票先を考える上で、何の参考にもならない話が延々と続く。

 訂正。具体的な話として、江戸の大火の話が出てくる。 
(「時代に合わせて進化させた例」ではなく)「江戸の大火の教訓」を今日に活かすという文脈だったので「江戸時代に合わせるのか」と苦笑いしてしまった。
 江戸時代の大火は木造住宅が密集しているから災害が広がったので、その後、家ごとの隙間を空けるようになった。
 だから現代でも空間を作り、普段はそこを公園として整備して使いましょうということらしい。これ自体は構わない。
 たださほど興味がない自分ですら、「もうやっているんじゃないか?」と聞いた瞬間に思ったが。

 既存のものを随時見直していくということか?(わからない)

 疲れてきたのでここで見るのを止めたが、個人的には(「公式チャンネルの公約」を見た限りでは)思ったよりもずっと何も考えていない、「何かを言っているようで、言質を取らせない言い方」といい、自分の支援者のほうだけを向く姿勢といいむしろ典型的な旧いタイプの政治家だと感じた。

 20分弱しか見れなかったので、この先何か新しいことを話している可能性はある。
 ただここで見るのを止めてしまうということは、本人が重視している(らしい)「面白さ」もなかった、という結論になる。
 もう何が何だか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?