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「ウォーハンマー40,000」の第2次ナラティヴレポート

 以下の文章は全て個人的なまとめです。権利者の方々による指摘や、個人的な気付きによって、予告なく変更・削除する可能性があります。
 また、視界が狭い人間なので、色々とご指摘いただければ幸いです。



前提

  • クルセイド・キャンペーンとして、遊んでいるクルセイド・ゲームの3回目のレポート。

  • パーリア星間戦役のルールに則る。

  • 以下のナラティヴレポートの文章は、作中の人物による文章であり、筆者の思想を反映したものではない。

  • なるべく正確に書いているつもりではあるが、記憶が曖昧な箇所がある。あくまで、これらの『戦果』は、彼の主観であって、実際に発生した『ゲームの結果』と厳密に一致していない可能性がある。
    (脚色などはしていないが、射撃対象などが微妙に異なっていた可能性があるとか、そういうレベルの誤りがある可能性がある)

  • 詳細は記事内に譲るが、特殊なルールを用いた戦闘となっている。



第2次ナラティヴレポート

帝国近衛軍と再びの相対

 壊滅的な被害を被ったからと言って、休息を得ている暇はない。

 あれだけの兵力が整っている帝国のエリートたちがこの地を荒らしていると考えると、なるべく早くに相対する必要がある。

 観測班が告げた情報によれば、デスウォッチとアデプトゥス・カストーデスは部隊を分け、周囲を探索しているらしい。

 ならば、今が好機だ。

 以前の規模まで軍団が回復したわけではないが、万全を期して戦えることなど、一度もなかったではないか。配られた手札で勝負するしかないのだ。

 決意を新たに集まったのは、私こと<ワープスミス>と、<カルティスト>たち、歴戦の<ケイオス・ターミネイター>と<オブリタレイター>、ディーモンエンジンの<フォージ・フィールド>と<ヴェノムクロウラー>、古の大逆からの戦車<ケイオス・ヴィンディケイター>だ。地獄炉の力を発揮でき、かつ、なるべく遠距離から攻撃できる面々を優先している。

 すでに向こうもこちらを認識しているようだ。前回の反省を生かし、十分な距離を取り、近くの廃墟に陣取ることにした。

 <ヴェノムクロウラー>だけはその蜘蛛のような迅速さを頼りに、別の拠点を確保するために前に出している。

 両軍の中央に座す、空襲で破壊された大きな廃墟こそ、重要な拠点となることは明らかだが、それゆえに両軍は中央から距離を取る形で陣取る。

  歪みを利用できる部隊は、控えとして歪みの中へと隠れた後、戦いの火蓋が切られた。暗黒の神々ですら想像し得ない戦闘の一つが始まったのだ。



静寂の戦場

 戦場には、特有の緊迫感が存在する。

 廃墟から出てしまえば、突然、砲火を浴びせられるとも限らない恐ろしさが。どこからともなく現れた敵軍が、雄たけびを上げ、こちらへと突撃してくる恐怖が。一挙手一投足が、命を削るやり取りに発展してしまう怯えが。

 しかし、客観的に見て、この場が戦場だとわかる者はいるだろうか?

 相手軍もおそらくはこちらへと接近してきていることはわかる。しかし、何度も戦場になったこの地には廃墟がまみれ、相手の姿を直視することはできない。ただ、恐ろしい気配だけが動いている。

 とはいえ、こちらも索敵のためと言って、積極的に動くことは憚られた。

 以前の戦果を鑑みれば、当たり前だ。

 スペースマリーンすらも凌駕すると言われる戦闘能力を目の当たりにした以上、あの槍の前に立ちたいと思う者はいないだろう。なるべく距離を取り、砲火を浴びせる。それは最低条件だと言えた。

 結果として、こちらの動きは慎重にならざるを得ない。先行した<ヴェノムクロウラー>も幸いなことにまだカストーデスとも相対していない。相手の少数精鋭ぶりは実感している。おそらく、手数が足りていないか、拠点が遠いのだろう。

 機械の駆動音だけが響き、最小限の戦火だけが交わる。

 このじりじりと精神を侵食するような緊迫感に耐えた方が、この静寂の戦場を制することになるのだろう。

 そう思った時のことだった。

 その静寂は、あり得ないはずの怒号によって、破られる。

グァアアァァァグ!!!



突然の怒号

 それはあり得ないはずの、しかし、この銀河で戦争をしているのならば、必ず聞いたことのあるはずの雄たけびであった。

 戦争のために生まれ、戦争のために生き、戦争によって死ぬ。

 根幹的に、人間と相いれない異物<ゼノ>。

 人類の脅威、緑の肌を持つ獣、オルクの咆哮だ。

 戦いの臭いをかぎ分けたとでも言うのだろうか。あるいは、この星系を跨ぐように存在する歪みの嵐が、この静寂の戦場に存在した独特の緊迫感が、この緑の獣たちの存在を覆い隠してしまったのかもしれない。

 結果だけ見れば、我々はグリーンスキンどもに包囲されてしまった、と言っても過言ではない。中央の拠点を見据えて移動していた両軍の隙を付くように、オルクは、戦場に四方に現れた。

 <バトルワゴン>まで用意され、拡声器でも備えられているかのような大音声の雄たけびが聞こえる。その中には、オルクどもがぎゅうぎゅう詰めになっているのだろう。

 かなりの数だ。単純に軍勢で負けている上に、包囲までされている。

 決断をしなければならない。この緑の波に押しつぶされないように、この波を乗り切る判断を。しかし、どのように? なにをすべきなのだ?

 時が止まることはない。重要な決断ができないままに、時間は無情にも流れ、それはオルクたちの突撃となって、目の前に立ちふさがる。



宿敵との背中合わせ

 まず、先行していた<ヴェノムクロウラー>が標的となった。

 赤きスクィッグに乗ったオルクの騎兵が突撃。蜘蛛のごときディーモン・エンジンと相対する。

 その身は鋼鉄そのものである<ヴェノムクロウラー>とは言え、騎乗獣の牙の嵐に長く耐えることはできないだろう。

 他方、帝国近衛兵にも、緑の波は襲い掛かる。

 彼らにとってみれば、我々は戦を生み出すための家畜であり、帝国に忠義を尽くす近衛兵であるのか、それに反逆した混沌の徒であるのか、という差はないにも等しいのだろう。

 <バトルワゴン>からは<ボゥイ>たちが次から次へと放たれる。分かっていたとは言え、その量は圧巻で、量より質のカストーデスとはまさに正逆と言ってもよい。

 裏手に残していた<カルティスト>ですら、この攻撃からは逃れられない。ロケットを背中に付けるなどという、バカげた見た目をしているが、その機動力は侮れない。一気に距離を詰めてくる。

 これだ。これこそが、オルクの恐ろしさだ。

 相手が、悪魔を宿した鋼鉄の体を持っていても、偽りの皇帝に身を捧げたエリートであっても、それはなんの意味をなさないのだ。

 ただ、いくさだけがそこにあればいい。そのためには、その身すらも、大した価値を持たない。価値観を共有する試みすらも許されない。

 それが、異種族<ゼノ>である、ということだ。

 ならば、こちらがすべきことはなんだろうか。やるべきことはなにか。決断すべきことはなんだというのか。


 答えは出ている。

 歪みから現れた<ケイオス・ターミネイター>は、しかし、その銃口を帝国近衛兵には向けなかった。

 むしろ、背中を見せた。

 それは、銃口を周囲のグリーンスキンへと向けるために。カストーデスが逆方向のオルクたちへと向かえるように。

 言葉を交わしたわけではない。約定があるわけでもない。

 しかし、確かに、両者は感じ取ったのだ。その行為が何を意味するのか。この場では何が必要とされているのか。生き残るためにできることがなんであるのか。

 この緑の怪物たちを押し返すこと。それが必要なことだ。それは互いに一致している目的だ。

 そして、それこそが、いくさだけに生きるわけではない人類が、理性を持って理解し得ることだ。たとえ、何度となく、袂を分かっていたとしても、同じ根を持っているからこそ。

 <カルティスト>たちが切り刻まれた拠点へと、カストーデスが向かう。

 カストーデスを囲った<バトルワゴン>とその中身に対し、<フォージフィーンド>がエクトプラズマキャノンの砲身を向ける。

 静寂だった戦場に相応しく、沈黙のままに戦線は形を変えた。



再びの敗走

 戦場の端から押し寄せるオルクを止めるために、<ケイオス・ヴィンディケイター>と<オブリタレイター>が<ヴェノムクロウラー>の元へと向かった。

 しかし、オルクの騎兵たちに加え、<メガノブ>たちにも突撃されてしまえば、いくらディーモン・エンジンとはいえ、耐えきることはできない。

 せめてものの反撃を加えるために砲身を構えた<ケイオス・ヴィンディケイター>には、オルクどものヘルブルートともいえる<デフドレッド>が立ちふさがった。

 <デフドレッド>の切り刻みに対し、<ケイオス・ヴィンディケイター>が砲火を浴びせるものの、至近距離であるせいか、両者は致命傷を与えることはできない。

 双方煙を上げながらも、互いに攻撃を繰り返すことになった。

 とはいえ、終わりはいずれ訪れる。

 先に音を上げたのは、奇怪な棺の方であった。

 しかし、その直後に、<メガノブ>たちが後詰めとして突撃。

 もはや、ここまで、と判断する他なかった。


 それが、この戦線での結末となったが、他も大差がなかった。

 緑の津波はすべてを押し潰す。

 援護に向かった<フォージフィーンド>は、<バトルワゴン>の激突により受けた損耗により、その身を維持できず、溢れ出るオルクどもは、その背後に身を隠していた私にも押し寄せる。

 機械の触手で、いくらアイツらの目や腕を襲っても、彼らのチョッパの数の方が多い。一つ、また一つと抵抗する手段が奪われる。武器を失った身では、波が引くまで身を隠すことしかできなかった。


 後に聞いた話ではあるが、<ケイオス・ターミネイター>だけがこのオルクどもと最後まで戦えたらしい。奴らの戦争に対する本能が、カストーデスたちの戦舞の中に入り込むよりも、射撃を中心としたこちらの兵たちを襲うことを選んだのかもしれない。

 オルクたちの損害も無視できなくなったのか、次第に彼らは引いていき、カストーデスでも撤退。我々も敗走に近い形で兵を引いた。

 またしても甚大な被害を負ってしまったと言える。


 しかも、最も憤慨すべきは、奴らのチョッパによる損害だ。それは、よりにもよって私の触手の多くを粉砕し、バックパックに設置したエンジンを押しつぶした。時間と物資をかければ直すことはできるかもしれないが、それまでは、十全な移動もままならないだろう。

 ……まったく、忌々しきは緑の獣たちだ。

 それにしても、敗走が続いているのが痛い。

 補給や修理が出来次第、戦闘を繰り返し、また損傷する、という悪い循環に囚われている気がする。

 次こそは、十全な準備を整えなければ。必要とあれば、もう一段、ギアを上げていく必要があるかもしれない。

 こちらの試みを阻もうとする異種族たちも、偽りの皇帝に忠義を捧げる帝国軍たちも、そのすべてを、その銀河を焔羅のままに。

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