あの木陰で、一緒に泣こう。
ヒトは、神様になることはできない。
けれど、誰もが神様になることを要求されているのかな、と、時折感じることがある。
それは、この世界で生きる上での「日常におけるあらゆる場面」で。
強く、美しく、凛として。
それは確かに理想で、「あるべき」あなたの姿なのだと思う。
けれど、それは本当か?
けれど、本当にそうならなければならないのか?
私たちは、神様にならなければ、本当に愛されないのか。
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ありがたいことに、これまで私は本当に多くのクライアント様に信頼していただきました。そして、本当に多くのクライアント様に、たくさんの苦しみや痛みを聞かせていただきました。そして、一様に、皆、疲れていることを知らされました。
私もかつてそうだったように、「与える」ことや「ポジティブであること」を要求され、やろうとするけれど、それができない自分を罰してしまう。
神様のように完璧ではない自分を、罰する。
「そういったことを要求されること自体が、本当はいびつなこと」ということすら判断がつかずに、鵜呑みにしてしまう。そして自分を嫌いになる。
おそらく、こうした時に、「あなたはニンゲンなのだから、そんな完璧な状態でいなくていいんだよ」と言ってくれる人が誰もいなかったのだろうと思います。
「人間ではなくなろうとしている自分が、神様になれない自分を罰する」というようなことが起きている。それは、とても苦しく悲しいこと。
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ヒトは、誰かに許されて初めて、「ゆるされるとはどういうことなのか?」「ゆるしとはどんなことをすることなのか?」ということを知ります。けれど、ルールの厳しい家庭や絶対的な正義がある環境で育った場合、「ゆるされる」という経験が生まれません。だから、「自分をゆるす」ということも理解できずに大人になってしまう。
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悲しむべきはそれだけではなく、ゆるすということを知らないからこそ、常に自分に対して「ユルセナイ」という感情で接してしまうということです。
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「ユルセナイ」から、常にポジティブでいなければならない。そのための、決死の努力。
「ユルセナイ」から、常に与えられない自分を罰しなければならない。
「あなたは恥ずかしい子ね、愛を与えるなんて人として当然のことなのに、そんなこともできないなんて!そんな風に生きていて、あなたは愛される資格なんてあるわけないじゃない!」
「いつもポジティブな言葉を発して、凛としていることが人として美しい姿なのに、そんなにネガティブになって、ほら、あなたのような人を愛する人なんていないのよ!だからあなたは嫌われるの。」
こんな、自分に向ける心無い言葉の数々。心無い天使が、自分を絶望の淵に叩き落とすのです。
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すべてが偏っている。なぜ、そんなに素晴らしい自分にならなければいけないのだろう?なぜ、何かを成さないと生きている意味がないと思わないといけないのだろう。
そこにどうか、気づいてほしい。
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私は神様じゃない。
私には心がある。
人を憎むことも、できないことも、できなかった自分を恥じることも、それでも前に進もうと思っているのに追い抜かされる焦りを、
その自分を罰したい衝動を、それをせき止めようとするとんでもない抑圧を、抑圧からくる麻痺、全ての感情がなくなる感覚、生きているのに死んでいく、生きながら溺れていく、この絶望感を。
そのループによる、どうしようもない毎日の感情的なしがらみから、自分を解放してしまっていい。
「私は神様には、なれない」。
そう、あなたは人間でいい。
人として、心を持った人間として。
泣くこともあって、焦ることもあって、嫌なことをされた痛みにうずくまり、慰められたいと人を求め、認められたいと必死になりながら、与えられないことに密かに怒る。
一方で、花が咲いたことに喜び、観葉植物が芽吹いたことに喜び、自分を律して人に微笑むことができた日は自分を褒め、少しだけはにかみながら遠慮がちに誇りを持つことができる。鏡に映った自分の笑顔がちょっとだけ明るいことに自分で嬉しさを感じながら。
そうやって、小さな喜びと、小さな絶望を繰り返しながら、それでもなお生きているあなたを、すべてすべて、許してしまっていい。
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私の敬愛する唯一の先生が死の間際に行ったことは、「自分が死んだ後に、残された人たちが、自分が死してなお幸せに生きられるように」でした。死迫る中で、彼はクライアントに愛を与え続けました。ある人には、生前共に植えた木に名前をつけ育てるように伝えました。彼の死後、彼と植えた木の木陰で休むクライアントは、とても穏やかだったそうです。
「大丈夫」、と。
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人の弱さを、愛する。
あなたの弱さを愛する。
大丈夫。できなくて、いいからね。
大丈夫。頑張らなくていいから。
だから、あの木陰で、一緒にゆっくり休みましょう。
1day+5min
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