「パパはもうホームレスじゃないぞ。日本でも試合をするデスマッチファイターだ」
7月某日、羽田空港に一人の男が降り立った。
小柄だが、どこか只者ではない、一目見てヤバそうな曲者的な雰囲気だ。アメリカ・セントルイスからはるばるやってきた男は、日本の地を踏むのは初めてだという。
「YOUは何しに日本へ?」
小柄で獰猛な蜜穴熊のような雰囲気を持つ、その男はこう答える。
「日本にデスマッチをやりに来た。葛西純とデスマッチがしたいんだ」
ここ最近、SNS上で「デスマッチ」という言葉がトレンドワードとして注目を集めたことがあった。その背景として、新日本プロレスのエル・デスペラードが、6月3日に行われたアメリカGCWのデスマッチトーナメントに出場したり、7月4日と5日に新日本プロレスのリング上でデスマッチを行ったことが挙げられよう。そして、それに大きく関わっていたのが、デスマッチのカリスマこと“狂猿”葛西純だった。
葛西はデスペラードが参戦したGCWのデスマッチトーナメント「TOS 8」の最後に電撃乱入し、滅多に葛西を見ることができないアメリカの観客たちを狂喜乱舞させる。飛行機嫌いである葛西が、この乱入をするためだけに遠路アメリカまで遠征するほどの入れ込み具合であり、アメリカのファンに葛西純の存在感をまざまざと見せつけた。また、7月4日に後楽園ホールで行われた新日本プロレスの「NJPW STRONG」大会では、メインイベントでデスペラードと組み、ジョン・モクスリーとホミサイド相手にデスマッチで対戦。新日本プロレスのリング上にノコギリ、フォーク、竹串、カミソリ十字架ボードなどの鋭利なデスマッチアイテムを持ち込み、会場にいた観客だけでなく、配信を見ていたファンやSNSで成り行きを追っていた者たちを熱狂させたのだった。
日米を股にかけ、その圧倒的なカリスマ性を見せつけたことから、デスマッチは日本でもアメリカでも、今もなお葛西純を中心に回っているとも言えよう。
そんなデスマッチのカリスマに対しては、不躾とも言える要求なのかもしれない。
「葛西純とデスマッチがしたいんだ」
そう語る男の名は、“セントルイスの蜜穴熊”ことニール・ダイアモンド・カッター。
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