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【活動9年目!】格闘技団体運営の現実とは何か■ファイティングネクサス代表・山田峻平

格闘技団体運営の難しさ、面白さを覗くファイティングネクサス代表山田峻平代表インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)

斎藤裕、石渡伸太郎が生き抜いた“冬の時代”のマネジメント術■遠藤正吾【22000字】

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――ファイティングネクサス代表の山田峻平さんにお話を伺いに来ました!

山田 ありがとうございます! しかし、またどうしてボクなんですか?(笑)。

――9月に堀口(恭司)選手が団体を興すじゃないですか。国内団体のあり方にファンの興味が集まっているんですけど、DEEP・修斗・パンクラスの老舗は別として、2014年から始まったネクサスは大会をコンスタントに開催して、そこから他団体に出る選手もいたり。地道に運営している印象があったので、ぜひここまでの道のりを聞きたいなと。ぶっちゃけ団体って超大変だし、儲からないじゃないですか(笑)。

山田 もう好きじゃないとできないですね(笑)。

――山田さんは格闘技団体をやったことで家庭が壊れて離婚された……そうですが、先日再婚されたんですよね。おめでとうございます!

山田 ありがとうございます。団体も家庭も作り直すっていう感じですね。1回目のときは、新婚旅行も結婚式も婚約指輪もなにもなかったんですけど今度は全部やったんで、それは「もう離婚しないぞ!」という意気込みの表れでもあります(笑)。

――なるほど(笑)。すっかり軌道に乗っているイメージのあるネクサスですけど、選手はどれくらい扱っているんですか?

山田 おそらく200人弱くらいはいると思います。 

――200人!

山田 プロのほかにアマチュアやジュニア、キックもやっているので、そのくらいいると思います。ただ「団体の格って何で決めるの?」っていうことでいえば、それは出場選手のレベルなのか、会場のキャパなのか、どれだけ儲かっているかなのか、どれだけ選手がいるかなのか……そこって判断が難しいじゃないですか。

――名前は強いけど、徐々に規模縮小している団体もあったりしますし……。

山田 そこで「ネクサスは国内最大の団体を目指す!」というわけではなくて、もう他の団体の踏み台にしてもらっていいですし、選手を縛るつもりも全然ないです。それは選手にも繰り返し言っていることですね。

――ネクサスの契約形態はどうなってるんですか?

山田 1試合契約です。愛着を持って残ってくれる人はベルトを目指してもらえればそれはもちろん嬉しいし、試合間隔を開けたくないから「1試合だけ出たい」でもいいし、正直お金や契約で縛ろうとしても難しいと思いますし、どうしても縛りたいなら団体の魅力で縛るしかないと思っています。

――それで選手とトラブルになったことはないわけですね。

山田 覚えているかぎり選手とトラブルになったことはないですね。ベルトのストーリーに乗っていたけど、他団体に行くことになった……という報告を受けても、とくに何も言わないです。だから2~3回試合して卒業していく選手はいますし、1試合だけの選手もいます。ネクサスでデビューした須藤(拓真)くんも気がついたら修斗の試合が決まっていたり。

――それって連絡があったりはしないんですか?

山田 須藤選手はありましたけど、来ることもあれば来ないこともあります。べつに「連絡してほしい」って言ったこともないですし、連絡がないから腹立つとかもないです。「頑張れ、頑張れ!」って感じです(笑)。出る選手が少なくなっちゃったら少し怖いですけど、チャンピオン全員ベルトを返上して卒業しちゃったりとか、ベルトに絡んでる選手がいなくなっても、寂しい気持ちはありますけどそんなに困ることはないです。

渡部修斗はネクサス王座戴冠後、DEEPに出場。ネクサスでも試合を重ねたが縛りはない。

――そこは興行規模的に特定選手に支えられてるわけではないから……ってところもありますか?

山田 そこもあります。まず自分でもチケットを売るようにしてますので(笑)。そこはなぜネクサスを始めたかという話になっちゃうんですけど、ボクは過去にいろんな団体で進行のスタッフとして修行させていただいてたんです。いろんな大会を手伝っているうちに「これなら自分でもできるかも?」って思ったんですよね。ボクはよく就活市場に例えるんですけど、日本でいちばん従業員を抱えている会社ってトヨタらしいんですよ。もう30万人くらいいる。でも、ちょっと引いて考えると、転職市場は潜在的には800万人くらいいるって言われてるんですよ。会社でいえばトヨタを目指すよりも、その800万人の1割でも抑えたほうがいいんじゃないかなと。ネクサスを始めたときはDEEP、修斗、パンクラスがあって、グランドスラムやTTFも同じ年のスタートだったんですね。

――グランドスラムやTTFは活動停止中ですけど、この2つはDEEPや修斗寄りの方向性ではありましたね。

山田 そうなんです。当時はそんな感じでアマ修やネオブラで優勝した選手が目指す場所はあったんですが、後楽園ホールやディファ有明以下の大会ってなかったんですよね。じゃあ、その層を取りにいって、DEEPや修斗、パンクラスの後楽園に出る選手をすべてネクサス卒業生にしちゃえば、1人勝ちじゃないかなと。というと「ネクサスのライバルはZSTやグラチャンですか?」ってよく聞かれたんですけど、ちょっと違ってて。ライバルはDEEPのフィーチャーキングや、パンクラスのネオブラ、アマ修の全日本選手権だと思ってました。フューチャーキングやネオブラに出ることがゴールの人もいるんで。

――つまりプロを本格的には目指してない層ですね。

山田 そうです。フィーチャーキングやネオブラとかって、袖からリングに上って入場曲もなし。試合は勝っても負けても「終わったら、はい帰って」みたいな世界。でも、ネクサスは「入場曲を流します」「配信もあります」「煽り映像もあります」「勝ったらマイクで好きなことを喋っていいですよ」と。そうやって選手にスポットライトを当てたんです。

――なるほど、上の世界の疑似体験をしてもらうというか。

山田 そこから上の団体を目指してもらってもいいですけど、そこがゴールの人もいるんだってことに気づいたんですよね。そんな舞台を用意するってことはDEEPや修斗、パンクラスでもやってないことでした。そこからまず始めて、今度はアマチュアも始めたらそっちも需要はあって、多いときで100試合近く組むんですよ。

――100試合! “不良”以外のプロ未満市場があったんですねぇ。

山田 アマチュアで試合するのがゴールの人もいるんだから、そこでも入場演出や勝ったらマイクをやってもらおうと。

――アマチュアでそこまでやってくれるなら、ぜひ出たくなりますよ(笑)。

山田 チャンピオンになることがゴールの人もいれば、プロデビューがゴールの選手もいる、さらにアマチュアで試合するのがゴールの人もいる。もっというと次は子供の習い事になっちゃってるんですよね。それで今度ジュニアの試合を心技舘の遠藤さんに協力していただいて始めたんですけど、ジュニアだけで何十試合とか組めるようになって。

――しかし、100試合ってよく運営できますね。

山田 会場の都合もあるんで最大で100試合くらいなんですけど、そこまで試合数があると管理が大変ですね。100試合もあると選手が来なかったりとか(汗)、その場でマッチメイクをし直しちゃうことがありますし。試合をさばくレフェリーやドクターも本当に大変だなって思います。

――山田さんの見立てどおり“後楽園以下”の興行はブルーオーシャンだった……わけですけど、家庭が壊れたということは収支的にはうまくいってなかったんですよね?

山田 はい(笑)。ここ数年は上向きですが、トータルでは赤字です。

――ちなみに投資した額は言えるんでしょうか?

山田 ええと、ざっと○○○○万以上ですね。

――うわ~!

山田 額を聞くと「うわ~!」ってなりますけど(笑)、7~8年かけて○○○○万だから、1年でならすと年間○○○万円くらいなんで。一気にドーンって消えたっていうよりか、なだらかにではあるんですね。

――それでも○○○○万円は○○○○万円です!(笑)。

山田 ここ2年くらい赤じゃなくなってきたのは、RIZIN効果も大きいと思います。RIZINの人気がいちばん最初に波及効果があるのはネクサスだと思うんですよね。

――RIZIN翌日の格闘技ジムには入門者が多い……みたいな話がありますけど、それに近いところがあるんですか?

山田 はい、問い合わせがすごいあるんですよね。「練習したことがないんですけど、そちらで1試合させてもらって、そのあとRIZINに出ようと思ってるんです」という電話が会社にあったり。

――格闘技未経験から超飛び級プランすぎますね(笑)。

山田 それがけっこう本気だし、そんな問い合わせは1度や2度じゃないんです。「簡単じゃないから1試合出てみたらどうですか」って話をして、実際に出てみたら勝てなくてすごすご帰る……っていう人も多いんですけど、「1回やっちゃったんで勝つまで出ます」ってことで8大会くらい連続で出て、ようやく勝ったり。

――いい話です!

山田 「格闘技をやりたいんですけど、どこで練習したらいいと思いますか」って相談されることもあります。「住んでる場所からここがいいんじゃないか」とかジムを紹介したりとか。

――ネクサスのチャンピオンでRIZINにも出場している横山武司選手もMMAを始めるときに、 佐藤将光選手のジムを紹介したそうですね。

山田 横山選手の活躍はホントに嬉しいですね。いまはアマチュアでも所属ジムはなくてフリーで来る人がめちゃくちゃ増えましたね。要はジムに入ってない人も試合をしたいと。

ネクサスでMMAデビュー。4連勝で王座獲得。RIZIN出場を決めた横山武司

――いま流行っているブレイキングダウンの影響はあるんですか?

山田 ブレイキングダウンの影響はけっこうあります。やっぱり比べられますし、そこは嬉しいですよね。「ブレイキングダウンの選手はネクサスくらいなら勝てるんじゃないのか」とか。

――うわー!(笑)。

山田 「なるほどなぁ(笑)」って聞きますけどね、ブレイキングダウンの人気もめちゃくちゃありがたいですよ。あそこから格闘技に興味を持つ人が入ってきますからね。「あんなの格闘技じゃない」とかはまったく思わないです。あれがきっかけで1人でも格闘技を見てくれればいいじゃんみたいな感じですよね。

――ネクサスが世相に影響を受けるイベントであることがわかりました。

山田 ただ、自分で何をやりたいって決めてるよりかは業界で空いてるところをやっている感じなんで。5年後、10年後はアマチュアに針を振ってるかもしれないですし、どこかしらで資金調達してビッグイベントをやってるかもしれないですし、その時代の流れによってやることを決めてる。「自分はこれやりたいんだ!」っていう姿勢はあんまりいい作戦じゃないかなって。

――2014年から始めて10年くらい経つわけですけど、いまのかたちは想像してなかったんですか?

山田 そうですね。たとえばベルトを作ったことにしても、選手と話しているときに「ベルトを作ってほしい」みたいなことを言われて。選手がいちばん多い階級はバンタムだったんで、1年かけてバンタムのトーナメントやりましょうと。他団体にも推薦選手を出してもらえませんかって声をかけたらみんな出してくれて。1年かけてやって優勝したのが渡部修斗だったんですよ。

――渡部修斗はそこからRIZINの道がひらけて。

・売れるためには選手として何かしらの“武器”が必要
・後楽園ホールのハードルの高さ
・キックイベントも始めます
・ベルトを穫っても人生は変わらない
・正直に生きていれば、やっていける……格闘技団体運営がよくわかる11000字の続きはこのあと

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上田幹雄、三崎和雄、谷口洋和、山田峻平、笹原圭一、シュウ・ヒラタ、齋藤彰俊、月刊FANZA編集長&松澤チョロ、斎藤文彦ほか。コラムもたっぷりで600円!!

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