西川大和、フェザー級転向■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回も12000字で語ります(この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)
――シュウさんはいまどちらにいらっしゃるんですか。
シュウ いまはニューヨークに戻ってますよ。3週続けてアトランタでPFLがあったので、ニューヨークから行ったり来たりしてまして。往復200ドルくらいで行けるので、ホテル代を使うくらいだったら、こっちのほうが安上がりなんですよね。
――ずっとアトランタにホテル住まいってのもなかなかですよねぇ。そのPFLでは日本人選手(工藤諒司、東陽子、西川大和)はそれぞれ連敗、6戦全敗してしまってプレーオフ進出はなりませんでした。
シュウ なかなか厳しい現実だったってことですね。
――来シーズンの契約は3人ともどうなるかわからない感じですか?
シュウ 基本的にPFLはリーグ形式なので1年契約なんです。そしてどの選手もPFL側は1年契約を延長する権利を持ってるんですね。厳密には2回まで。ということは、サバイバルしてリリースされなければ3年契約と考えていいと思います。
――優勝者が翌年、他の団体にすぐに移られても困りますよね。
シュウ 工藤選手は昨シーズンはいいパフォーマンスを見せたので、今年も呼ばれたんですけど。ボクはマネジメントとして来年もなんとか入れるために当然、動きます。工藤選手は負けたとはいえトップ4とやらされてるわけですからね。PFLは8月と11月にプレーオフがあるじゃないですか。そのときにワンマッチを組めないかという話はしたいですね。で、PFLの来シーズンに関しては、PFLはリーグ戦とスーパーファイトの2部門に分けてやるみたいなんです。
――PFLと契約した元UFCヘビー級王者のガヌーはスーパーファイト部門で戦うと発表されてますね。
シュウ PFLの選手枠が広がるのかなと思いつつも、ベラトール買収の噂もあるので。そうなると選手が溢れることで新規契約や更新を控える可能性もありますよね。だからいまのうちに来年のことを決めたいんですよ。
――PFLのベラトール買収は現実的なんですか?
シュウ まずベラトールは親会社のバイアコムはもうこれ以上ベラトールに投資をしたくないということを明確にしてるので。要するに売却先を探してるわけですよね。スコット・コーカー以下、いまのスタッフの更迭は避けれない事実という感じですかね。候補はいろいろと挙がってるんですが、いちばん可能性が高いのはPFLだと思うんですよ。結局のところ、ストライクフォースと末期と同じ状況に陥った。つまりコーカーとそのスタッフは、またひとつのポテンシャルのあった団体の経営に失敗したということですね。
――ガヌーやジェイク・ポールと大型契約しましたし、PFLは金がありますねぇ。
シュウ PFLはどうしても代表のレイ・セフォーばかり目がいってしまってますが、PFLの本当のトップはレイ・セフォーの上に2人いるわけであって。CEOのピーター・マレーは元アンダーアーマー副社長、その前はエンデバーの副社長をやっていた人物。もう1人というかいちばん偉い創始者で会長のドン・デイビスは、29歳のときにシカゴ・カブスの筆頭弁護士になり、そこから2000億円とかの投資をしているファンドマネージャーになった方なんですよ。日本のファンでも聞いたことあると思われるDraftKingとかZipcarとかの大株主でもありますし。
――資金が潤沢なわけですねぇ。
シュウ この前発表されたタイソン・フューリーvsガヌーもサウジアラビアのファンドがバックにいるんですけど、ちょうど一ヵ月ぐらい前に風間敏臣選手の撮影でエクストリーム・クートアにいったときに、レイが練習してたんで話したんですけど「金曜日にサウジアラビアに行くんだ」と言ってましたけど、あれはフューリーとガヌーの試合、そしてベラトール買収のための資金調達のために行ったんだと思うんです。
――オイルマネーは強いですねぇ。
シュウ だから資本が違うんですよね。PFLはUFCと同じESPNで流れてるわけですし、ベラトールのロースターを手に入れて、完全にUFCのタイトルオーバーになりたいってことなんですよね。日本の関係者からは「ベラトールの名前は残すんですかね?」と聞かれますが、これ、聞いてくるの日本の方々だけなんですよ。それは、ベラトールというブランド名がどんだけ市場に浸透されてないか、みんな理解しているからなんです。
――知名度はUFCと相当、差がありますよね。トップファイターのファイトマネーはいいんですけど。
シュウ やっぱり有料ケーブル・配信局であるSHOWTIMEで流れているベラトールはを見ているのは、ホントにコアなファンだけなんですよ。SHOWTIMEはボクシングも流してまして、基本としては映画やドラマが中心なんですけど、その映画・ドラマ部門でも、HBO、ネトフリからはかなり引き離されてるんですね。さらにはアメリカだとフールーとディズニーとESPNを一つのパッケージとしてサブスクできるんですよ。そしてベラトールというネーミング。これがまずわかりづらいですよね。スペイン語市場が大きいとは、すぐにストンとみんなの頭の中に入るネーミングじゃないですか。それと比べると、PFLはプロフェッショナル・ファイターズ・リーグですからね。誰がどう見てもファイトスポーツだと一目瞭然のネーミング。
――まんまですね(笑)。
シュウ そしてESPNという誰もが認める北米のナンバーワンスポーツ局で流れている。もうね、完全に市場の認知度のレベルが違うんです。コーカー政権のベラトールが10年かけてやってきたこと、できなかったことを、5年で達成しているのがPFLなんです。
――PFLの大型買収計画が現実化すると、他の選手契約は後回しにされてもおかしくないから、シュウさんとしては早めに決めたいってことですね。
シュウ 東選手に関しては、今回彼女は明らかに適正階級ではなかったこともあって、結果としては2連敗になりましたけど。
――ライト級のリーグ戦でしたけど、東選手にとっては階級上のチャレンジ。女子のフェザーもバンタムもなかなかチャンスが巡ってこないですね……。
シュウ もちろん来年もやらせてあげたいんだけど、PFLは女子バンタム級を作ってくれないかなと思ってるんですよね。で、西川大和選手に関しては、フェザー級に階級を下げます。
――おお!
シュウ 今回の試合後に西川選手と話をしまして、彼本人も納得しました。じつはPFL初戦の前日の晩に西川選手の家族やサポーターの方たちとご飯を食べたんですけど、私はそのときに「これから世界レベルでやっていくにはライト級では厳しいんですよ」と言ったんです。いままで同じ日本人相手ならなんとかなったかもしれないですけど、どうしても体格差が……。
――西川選手ってライト級では小さいほうですし、外国人相手だと2階級差くらい感じますよね。
シュウ 西川選手が技術的な部分で劣ってるところはないんですが、どうしてもフィジカル差があって。
・西川大和はバンタム級でも…
・RIZINとドーピング検査
・「選手で稼ぐ」じゃなくて「選手を勝たせて稼ぐ」
・○○○○と△△△△はRIZINとの契約が切れている
・神龍誠の契約はけっこう特殊?……などなど12000字インタビューはこのあとに続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?