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【vsクレベル】鈴木千裕インタビュー「相手が死んだときに攻めろ!!」

RIZIN北海道大会でクレベル・コイケのフェザー級ベルトに挑戦する鈴木千裕インタビュー!(聞き手/松下ミワ)

「自分に負けました」……平本蓮、斎藤裕戦を反省する

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――4月29日のRIZIN LANDMARK 05では、タイトルマッチを戦うクレベル・コイケ選手とのマイク合戦がありましたが、あれ、めちゃくちゃ面白かったです!

鈴木 なんか、掛け合いみたいになってましたよねえ(笑)。ボクとしては、そのときに考えたことがそのまま出たという感じだったんですけど。

――「1ラウンド3分でKOする!」という鈴木選手と、「一本で極める!」というクレベル選手のマイクの応酬で。どっちも譲らない感じがさすがでした。

鈴木 あとでわかったんですけど、お互いに南米にルーツがあるということで、ふたりとも頑固ですよね。もう、わかります。同じ香りがしますもん。

――南米の香りですか(笑)。やっぱり、ああいうマイクでも負けられないという気持ちがあるんですか?

鈴木 勝負はもう始まってますよ! もう“南米最強”を決めるときがきましたよね!

――ハハハハハハ!

鈴木 3月は、キックボクシングのKNOCK OUTでマルコス・リオス選手と“南米最強”を決めたんでね。今回はMMAで“南米最強”を決めようぜって感じです。

――日本で“南米最強”が決まってるんですね(笑)。今回のタイトルマッチについて、鈴木選手の中で現実味をおびてきたのはどのくらいからだったんですか?

鈴木 やっぱり大晦日に中原由貴選手に勝ってからですね。あそこで「これは来たな」と。だって、去年はめちゃくちゃ試合しましたし。総合で4試合。キックを入れると5試合なのかな? 怒涛でしたねぇ。

――昨年末のインタビューで、ご本人的には「地獄の1年だ」とおっしゃってましたけど(笑)。

鈴木 だからこそ中原選手との試合に勝って「これでタイトルマッチじゃなかったらおかしいだろ!」と。ほかに誰がいるんだよと思ってましたから。

――クレベル選手も「タイトルマッチをやるなら相手は鈴木千裕だ」とおっしゃってたみたいですね。

鈴木 彼はホンモノなんでね。パフォーマーじゃなくホンモノの選手なんで。エンタメ枠じゃないんですよね。ボクはそれ知ってたんで、絶対にボクのことを言ってくれるだろうなとは思ってました。

――やっぱり通じ合うものがあるんですかね、南米以外でも。

鈴木 ホンモノはホンモノを呼ぶんですよ。勝手にそうなるんです。絶対にそうです!

――しかも、中原戦の衝撃KOによって「鈴木千裕ならクレベルをKOできるんじゃないか」という声もかなりありますよね。

鈴木 ちょっとずつそういう声が挙がっているのは感じています。その期待を裏切らないように今回しっかり終わらせたいですよね。それに、打撃で終わらせるのが一番格闘技的ですよ。言い訳もできないんで。

――言い訳といいますと?

鈴木 だって、変に判定で勝っちゃったら「ジャッジがおかしかった」とかみんな文句言うじゃないですか。そうじゃなくて、一番文句言えないKOでというのはあります。キレイに仕留めれば誰も何も言えないんでね。

――クレベル選手の弱点というのは、そもそもどこだったりするんでしょう?

鈴木 いや、穴は本当に少ないと思うんですけど、まあでもやっぱり、それは試合の中で見つけていきますね。弱点はないんですけど、人間は完璧じゃないんで。そのミスをちゃんと試合中に見極めていこうかなと思ってます。

――これまでのクレベル選手の試合は、けっこう打撃で効かされるシーンがありますよね。でも、なぜみんなあれで仕留めきれないんですかね?

鈴木 それは、死にきってないからです。まだ生きてるんですよ。効いてるんですけど、完全には効いてない。みんな、中途半端に生きてる状態で仕留めようとするからやられちゃうんですよね。これ、けっこう格闘技的でマニアックな話なんですけど……「相手が死んだときに攻めろ」と言われるんですよ。

――「死んだときに攻めろ」ですか。

鈴木 完全に脳が揺れているときって状況判断できないんですよ。でも、中途半端に効いているときはまだ判断ができるんで「タックルいこう」「組みつこう」とか手が打てるんですよね。その判断ができないときにいかなきゃダメというのがあるんです。

――たしかに、クレベル選手と対戦した人は、打撃で効かせても「まだ目が死んでなかった」と言ってますもんね。

鈴木 だから完全に死にきってからいかないと、そこはやられるという感じなんですよ。

――鈴木選手ってそのへんの嗅覚が凄そうですよね。

鈴木 ですね! たまにミスっちゃうこともありますけど、基本的にはわかります。中原戦の打撃戦もそうですけど、それは感性でやってますから。

――そういうのは試合を重ねて培ってきたものなんですか?

鈴木 それもあると思うんですけど、あとはもう、格闘技って生まれながらにして決まっているところもあるんですよ。向いてる向いてないってヤツが。陸上に特化している身体、水泳に特化した身体、それぞれ競技に特化した身体ってあると思うんです。ボクは、それが格闘技に向いていたという。ボクは特別足が速いわけでもないし、高く跳べるわけでもない。球技とかも苦手なんですよね。

――へえ、そうなんですか?

鈴木 一応はできるんですけど、人並みにしかできなくて。でも、格闘技だけは一つ頭抜けられるような結果を残せるので、それは向いているからだと思うんですよね。

――それは試合中の判断も含めて。

鈴木 戦いのつくり方も含めてですね。で、ボクはたまたま好きが重なったんでラッキーなんですよ。

――でも、それは努力派の人にとってはちょっと悲しい話ですね。

鈴木 いやいや、ボクだってめちゃめちゃ練習やりますよ。センスはないんで、格闘技の。

――ええっと、格闘技には向いてるけど、センスはないんですか?

鈴木 そう。ボクは才能をちゃんと磨いたという感じなんですよね。ボクはみんなが10回やってできることを100回やらないとできない。でも、100回やることができたし、それを覚えることができたんで。だから、いっぱい練習すればモノになりますよ。でも、だいたいみんなやめちゃうんですよ。格闘技って10回やってできる人と100回やってできる人に分かれていくんですけど、100回タイプの人はだいたいみんな50回、60回でやめちゃうんですよね。100回やればできるのに。

――つまり、眠っている才能を努力で磨いていくという。

鈴木 それが一番大事だと思います。結局、格闘技は続けるヤツが一番強いんで。

――もう一つ、鈴木選手って寝技の展開にさせない技術も凄いですよね。

鈴木 ああ、なんかそう言ってもらえることがありますね。それも、反射神経だと思いますけど。来た攻撃に対して反応するみたいな。

――ただ、クレベル選手ってそういったスクランブルの中で極めちゃう試合も多いじゃないですか。

鈴木 いや、これが面白いところで、そのガチャガチャのあいだにボクが一発当てることもできるわけですから。ここは見方次第で本当に面白くなると思います。あっちは寝かしたら100パーセント極められる、ボクは打ち合ったら100パーセント倒せる。だから、そこをどう組み立てるか。お互いの得意分野が極端にわかれている試合なので、それはやっぱ面白いと思います。

――そのスクランブルの中にもチャンスがあると。

鈴木 ボク、ガチャガチャの中での攻防も得意なんでね。

――それは見どころですね!

鈴木 相手はプーケットファイトクラブで打撃をしっかり練習してくる。ボクもいま寝技もしっかり練習してるんで。打撃でも打ち合ってくると思いますし、ボクは寝技でも対応しようと思ってるんで。そこが交わったときに勝負がハッキリしますよね。

――面白いです! そして、これからまさに追い込みの時期で。

鈴木 そうです。17日から沖縄合宿に行くんですよ。これで、足りない部分の残り全部を埋めてこようかなと思ってます。

――ちなみに、今回のRIZIN北海道大会ではお兄さんの鈴木宙樹選手の出場も決まりました。

鈴木 ああ、そうですよね。まあでも、そんなにお互いに干渉したりしないんで、あんまり話さないんですよね。

――鈴木選手ってふたり兄弟ですっけ?

鈴木 そうです。

――それは、男兄弟って感じですね(笑)。

鈴木 だから、兄もクロスポイント吉祥寺で練習しているんですけど、ボクは総合の練習で出稽古に行っちゃうんで。だから、どんなふうに練習しているのかもわかってないんです。

――宙樹選手は梅野源治選手との肘ありルールですが、肘ありルールってやったことあるんですかね?

鈴木 いや、ないんじゃないですか? でも格闘家は挑戦なので、来たチャンスはつかむしかないんで。ただ、兄弟といってもいちライバルですから。

――ああ、なるほど。

鈴木 格闘技はもう個人競技なので。ふたりでひと組というのは10代までの話ですよ。幼少期って「兄弟で練習しなさい」とかよく言われますけど、20歳すぎたらもう別々の人生なので。ふたりでひとつみたいなのはイヤですよね。

――ただ、千裕選手がいろんな人の道を切り開いている部分はありますよね。

鈴木 まあ、そうなっているのはうれしいですね。自分をきっかけに道が開けるのであれば。ただ、結局は自分ですから。自分が勝てばいいだけだと思いますね。馴れ合っている場合じゃないんですよ。

――ところで、先ほどのケージでのマイクですけど、会場の反応からして鈴木選手のキャラがどんどん浸透してきてる感じってありませんでした? みんな、鈴木選手がどんどん好きになってるというか。

鈴木 いや、そう言ってもらえるのはうれしいですね。まあ、あんまりよくわからないですけど、少しずつ鈴木千裕という選手を理解してもらってるのかなとは思いますかね。

――最近は、SNSとかアンチコメントも減ってきたとかあります?

鈴木 うーん、そもそもボクはSNSとかあんまり見てなくて。もちろんアンチコメントもありますけど、ボクそんな書かれるようなことはしてないですから。普通に試合して、普通に練習して、問題起こさずやって。まあ、去年フェイクニュースは出ちゃったっすけど、べつに何か言われても「ああ、まだ言ってるんだなあ」ぐらいで。恥ずかしいですよね、そういうのやってる人は。まあ、そもそも受け入れられたいとか、それ欲しさで格闘技やってないですから。

――あんま気にしてないですか。

鈴木 もちろん賞賛はうれしいですよ。賞賛はうれしいですけど、わざわざボクに批判を浴びせてくる人は「ああ、そんなにボクのことを見てくれてるんだ、凄えな」ぐらいのスタンスですね。まあ、賞賛もアンチもあって成り立つ世界ではあるんですけど。

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