#シロクマ文芸部 短編小説「忘れていたもの」
手紙には「佳代子を殺した犯人は同じ課の水田」と書かれていた。一昨日、同僚の佳代子が絞殺された。警察は犯人の目処もついていないようだ。
佳代子が殺された丁度7日後に、人事課に手紙が一通届いた。でも、佳代子がいた営業課には後にも先にも水田と言う人間はいない。
暫くして、派遣社員の飛騨邦彦が佳代子殺しを自白した。痴情のもつれの末の殺人らしい。自白は、気の小さい飛騨が自分の罪に押しつぶされたのだ。
例の手紙の差出人は飛騨に恨みを持つ、同じく派遣社員の飛騨の元カノだった。