「人間って何者 ?」 第2詩
「人間って何者 ? 」 第2詩
詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道
ああ神様
ああ神様
お願いだ
もうこれ以上
すり鉢で
ゴマをするのは
止めてくれ
俺達の愛も
俺達の想い出も
俺達の友情も
何もかも全てが
すり鉢の底に空いた穴から
宇宙の外へと
出ていっちまうじゃねえか
ケーキ職人が
ホイップクリームで
最後の仕上げに
お菓子の文字を
書くような事は
止めてくれ
宇宙の外側に
芸術があるなら
まだましさ
だけど俺達が
すり鉢の底の穴を覗いても
何にも見えやしねえじゃねえか
あの時俺達は小学生
あの時俺達は小学生
同級生がドッヂボールを
投げそこなった
ボールは
コロコロコロコロ転がって
10秒かかって校庭の隅へ
10秒で
そうさその10秒の間に
それからの俺達の40年が
過ぎちまったのさ
神様から見たら
40年なんて
ほんの一瞬
瞬きなんだろ
そうさその一瞬で
生きてる人間が
殆ど入れ替わっちまってる
アンドロイドなんだろ
俺達は
神様の造った俺達は
本当はアンドロイドなんだろ
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