見出し画像

「 episode」 第3詩

「 episode」 第3詩
詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道


漆黒の黒曜石が沈む夜の海   

星の光と混じり合い   

水面は揺れる   

いつしか人の心に獣が棲み   

善と悪の動機を湛える   

季節は冬最中   

人の世には枯葉が舞い   

海は沈黙を続ける   

その時 私には見えた   

漆黒の海に無数の眼が   

彼等が呟く   

我々に時間は無い   

時間の次元を超越している   

これまでに生じた事も   

これから起きる事も   

最初から決まっていただけさ   

だからもう悩むな   

この星に生まれた   

何兆もの人間の一人だろ   

無駄な考えは止めて   

もっと気楽に生きろ   

暫くして私は   

夜の海に向かって   

叫ぼうとしていた

その時だった   

暗黒の水平線に   

黄金色のオレンジが   

輝いた



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?