「ヴィーナス」 第6詩
「 ヴィーナス」 第6詩
詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道
流れ星が私を
この星に連れて来た
地球は蛍光灯のように
光り輝いていた
百合の花が流れ星に
声をかけた
私はオレンジ色の百合
その子をTERRAに
置いてゆきなさい
流れ星は答えた
駄目です
この子はVENUSへ
連れてゆくのです
私は美しいが
寂しい百合の花
APOLLOが命じているのよ
その子をTERRAに
置いていって頂戴
流れ星は仕方なく応じた
分かったわ置いていくわ
そんな会話が幼い私の
脳裏を掠めてから
一体どの位経っただろう
20年の歳月が過ぎていた
今は秋
私は今日も渋谷を歩く
ニックネームはヴィーナス
友人達はそう呼ぶ
晩秋の枯れ葉が
私の心の奥では
少しも哀しく感じていない
私はそういう女の子に
なっていた
髪の毛が無いのは何故 !?
うぶ毛が無いのは何故 !?
身体中がツルツルなのは何故 !?
何者も答えてはくれない
心の奥では
孤独感が塊になって
日常に溶け込んでしまった
すでに怨みも辛みも超えた
ざわめく雑踏
渋谷を包む
日本を包む
世界を包む
神様が小物入れに入れた
作品たち
花も鳥も動物も人間も
全てが孤独を携えている
私は好きよ
煌めくビーズが
煌めくネックレスが
私はそういうもので居たいの
そしてまた何処かのお星様へと
飛んで行く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?