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20年くらい感じ続けているけれど些細すぎて一瞬で忘れ、語られることのなかったこと。

20年くらい感じ続けているけれど些細すぎて一瞬で忘れ、語られることのなかったこと。

地下鉄のドアに貼ってある注意喚起シールのクマさんの涙の形が奇妙でムズムズすること。

実家の自分の部屋。自分だけの空間、この部屋にあるものは全部自分のもの、全部自分で触ったことのあるもの。のはずだけど、あの天井の角の壁紙に触ったことはないなあ、というよくわからない感覚。触りたい。

道端を歩いているとき。ただすれ違っただけの人。この人はこのあとどこに行くんだろう。この人にも本当に人生があるのだろうか。この人も家に帰ってご飯を食べて寝るという、自分みたいな生活を本当に送っているんだろうか。自分の知らない人がこの世界にはたくさんいて、ほとんどの人が知らない人生を送っているなんて、なかなか信じられない、という感覚。あ、この感覚については、確か『ガール・オン・ザ・トレイン』という2016年の映画の主人公もその冒頭で同じことを言っていた記憶がある。

どうでもよすぎて語るということすら、考え付かなかったこと。

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