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ネットに続く中傷、「忘れられる権利」不起訴の男性が訴え

 2年前の夏。福岡県久留米市の窃盗未遂事件で容疑者として逮捕された男性。当時の報道によると、事件は2016年8月、同市の民家で発生。何者かが倉庫に侵入して水着を盗もうとした。家族が倉庫から出てくる不審者を見つけて声を掛けたが、不審者はその場を立ち去り、事件発生から16日後に逮捕されたのがこの男性だった。

 警察の取り調べには一貫して否認。久留米区検察庁は「起訴するに足る証拠がなかった」として男性を不起訴処分とした。男性は勤務先である学校は配置転換となったものの、県教育委員会の処分はなかった。

 本誌を含め新聞やテレビが当時、一斉に事件を報道。一部は各社のサイトに掲載され、ネット掲示板やツイッターにも転載された。男性は記事の削除を求めたが、管理者不明のまとめサイトにまでも広がり、全てを消せなかったという。また、男性が掲示板の運営者宛に書いた削除依頼の文面までなぜか拡散されていた。

 こうしたケースは増えている。総務省が相談業務を委託する「違法・有害情報相談センター」(東京)には17年度、ネット上の名誉毀損やプライバシーの侵害に関し、10年度の4倍を超える数の相談が寄せられた。

 近年は望まない個人情報を抹消する「忘れられる権利」が提唱されている。EUは今年5月、加盟国間の法律に当たる「一般データ保護規則」を施行した。必要に応じ、ネット上の個人情報や閲覧履歴の消去をEUやその取引先の企業・団体に義務付ける内容だ。


日本では有害な情報の発信者の情報開示などを定める法律はあるが、消去の法整備は進んでいないという。これから先、ますますSNSなどインターネット上の情報は溢れ、ニュースなどもテレビからネットがメインになっていくだろうと考える。現在の時点でかなりの数の消去の要望が発生しているとのことなので、一刻も早い法整備を行う必要があるだろう。管理者不明の掲示板も少なくない。加えて、ネットに一度上がったその類の情報は一度消しても再び別の場所で蘇る可能性が高い。根絶を目指すのはなかなか骨の折れる作業だと思われる。その点についてのサポートもしっかり行っていく必要がありそうだ。