アメリカ同時多発テロから17年

 9795人。これは、今年6月30日までに、9.11関連と考えられる癌に罹患していると診断された人々の数だ。世界貿易センターヘルスプログラムが調査した数字で、ニューヨーク・ポスト紙が報じた。

 同プログラムは同時多発テロのファースト。レスポンダー(災害や事故で負傷した人々に最初に対応する救助隊・救急隊・消防隊・警察など)やサバイバーたちの健康状態をモニタリングしており、登録者数は89000人を超えている。つまり、登録者の約11%が9.11関連と考えられる癌と診断されたことになる。ファースト・レスポンダーやダウンタウンに勤務していた人々、居住者など1700人以上の人々が、9.11に関連する要因でこれまでに亡くなったが、うち、25%近くの人々が癌で亡くなったことになる。

 約10000人という、9.11関連の癌に罹患した人々の数を考えると、今後、同時多発テロ以降に9.11関連の癌でなくなる人の数が、9.11当日の犠牲者数(約3000人)をしのぐのは必至かもしれない。

アメリカ同時多発テロから17年。今も、9.11は終わってない。


 私はこの記事を読むまで9.11はもう過去のものだと思ってしまっていた。勿論、遺族の方々や関係者にとっては永遠に終わることのない事件であり、歴史的にも忘れ去ってはならない事件だ。しかし、いまだに9.11に関連した死者がいることは知らなかった。

 なぜ関連する死因が癌なのだろうか。それは、ビル崩壊により生じた有害ダストだ。ダストは粉砕したコンクリートや燃えたジェット燃料、焼けたコンピューターなどの機器類に由来しており、アスベストやベンゼン、PCB、様々な化学物質(400種を超えると言われている)などが混入した、実態のしれない化学物質のカクテルのようなものだという。約9万人の人々が、有毒ダスト吸引したと言われている。

 9.11関連の癌に罹患する人々の数は今後、増加の一途を辿るという。最初は喘息など呼吸器系の病気を患い、何年も経ってから有害ダストが原因の癌を発症する。また、専門家の中には癌を発症した人々15%に達しておらず、まだ初期段階だと今後の増加を確実視する医師もいる。

 十七年たった今も9.11という史上最悪のテロ事件は終わっていない。いまだに苦しんでいる人が存在している。東日本大震災で放射能被害に会った私にとっても重なる点があったのでこの記事を選んでみた。