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ラプラスの悪魔

 ラプラスの悪魔とは、主に近世・近代の物理学分野で、因果律に基づいて未来の決定性を論じる時に仮想された超越的存在の概念である。「ある時点において、この世界で作用している全ての力学的・物理的な状態を完全に把握・分析する能力を持てば、宇宙の全運動(未来を含む)までも的確に知り得る」という超人的知性の事。

実際こんな人間は存在しないし、今のことろ世界の全てのデータを把握しそれを瞬時に解析するようなコンピューターも存在していないので、ここで言われるラプラスの悪魔とは、通常神と呼ばれているものである。

このラプラスの悪魔というもの、バタフライエフェクト的な、カオス理論的なものだろうか。私の好きな映画の一つにMIBという洋画がある。その3シリーズ目で予知能力を持った宇宙人、グリフィンが登場するのだが彼の予知能力はただ単に未来が見えるのではなく、現在の事象によって起こる未来をみている。

セリフ自体曖昧ではあるが彼曰く、ベーブルースの母親が就寝前にあと一滴のワインを多めに飲んでいたら彼は女として生まれてきただろうし、チップを店に払わなければ何かしらの因果で地球に隕石が衝突するところだったらしい。

また、伊坂幸太郎のデビュー作、オーデュボンの祈りに登場する案山子は未来を予知できるのだが、その案山子がいうに「未来は神様のレシピで決まる」という。

これはラプラスの悪魔が意図的に未来を操作したい時の視点だろう。全ての事象を把握し解析する事で未来がわかるというなら、そのパターンも自ずと理解するだろう。未来を操作したいのならば、パターンに従うように、案山子の言葉通りレシピを組み合わせてやればいいのだ。

実際問題、そんな事ができるようなものは存在していないのでこれは机上の空論にしかならないのだが、もし今私たちが行なっている事が後々に大きな出来事として待ち受けているとしたらそれはそれで恐ろしい。この記事を書いた先の私の未来と、書かなかった先の未来はもしかしたら大きく違うのかもしれない。