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今年読んだ漫画の話2022と漫画習慣の話

今年読んだ漫画の話2022

私は毎年、読んだ漫画の中からベスト10を発表しているわけですが、今年は新規開拓というよりも名作と目される作品を履修するような年でした。なるべく新作を掬って選定して、読んだ中で特に印象に残った作品で並べると、下記のあたり。

①黄泉のツガイ

「鋼の錬金術師」作者の最新作、2巻まで発売中。だいぶ毛色は違うけれど、世界観の広がりがあってどうやって展開していくかが楽しみ。5巻分くらいたまったら一気に読むのが良さそうだなと思ったりしている。

②赤灯えれじい

かつてヤンマガでやっていたヤンキー女子とヘタレ男の恋愛物語。生々しい描写が多くてウっとなりつつも、変に戯画化されたキャラ造形ではなく、現実の延長戦上にある実在性を感じさせる魅力がある。でもよぉ、ヒロインの過ちをどう受け入れるべきかって話はきついって・・・。

③八百夜

江戸時代の田舎くらいの文明力の世界で、世界の秘密を知っていそうな狂言回しの男とともに権勢の移り変わりを眺める話。いちいち生活の細かい描写に気が利いていて楽しく、まんが日本の歴史で読んでいた世界が凝縮されており、自然や世界に対する人間個人の無力感が気持ち良い。

④これ描いて死ね

今年の新作ではこれが最高打点だったのでは。漫画読みだからということもあるかとは思いつつ、伊豆大島から漫画づくりの楽しさに目覚めて仲間たちとともに作品作りに取り組む話が熱い。作品により得られる富よりも作品作りそのものの喜びに焦点を当てているあたりは新鮮かもしれない。

⑤ヒストリエ

↑で漫画読みと自称しておきながら読んでねえのかよオマエ…と後ろ指を差されて仕方ない大名作。完結するかどうかわからないから手を伸ばしてなかったんだって…ほんと、それだけだって…。岩明均が描く歴史漫画が面白くないわけがない。圧倒的な満足感でした。完結してくださいね。

⑥トリリオンゲーム

めっちゃお金稼ごうぜ!って話。ただただお金を稼ぐために権謀術数めぐらせてピンチをハッタリとひらめきで乗り越えていく、実にジャンプ的な作品。この絵柄だからこそリアリティをもって提供できている気がする。デジタルなすっきりした絵柄だと「んなわけw」になりそうで絶妙だ。

⑦ウィッチウォッチ

読後感が「こち亀」に似ている。リアルタイム性のある題材をどんどん取り入れていって、いつものメンバーがこれをやったらどうなるんだろう!?という毎話完結での楽しさが保証されている。本筋もあるにはあるけれど、個人的にはそれはそんなに…という気はする。

⑧HUNTER×HUNTER

冨樫義博がTwitterを始めたタイミングで読み返した。面白すぎるバトル漫画としての認識を新たにした。○○編とがっちり区切ることによって、同作品ながら4つくらいの話が詰まっている感じが良い。グリードアイランド編完結、即キメラアント編が始まるのって何?傑作って連発できるんだ。

⑨百木田家の古書暮らし

もはや大御所、冬目景の新作。こういうの読みたいんですよねェ~という読者の期待に応えてくれる。なんでもない神保町の三姉妹の一幕でありながら、それでいて読ませる魅力があって、こんな何もない話が面白いなら何描いても面白くなるじゃんズルじゃんと思った。現実でいる”飄々としていて自分とは生きる世界が違うなと思いつつ惹かれてしまう人”が沢山出てくる。

⑩MAJOR 2nd

眉村道塁ちゃん萌え!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ブヒブヒブヒ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!フンフン

あと読んだところだと「銀と金」「クジマ歌えば家ほろろ」「昭和元禄落語心中」「亜人」「ザ・ファブル」「編集王」「スピリットサークル」「きみの横顔をみていた」「ちょろくてかわいい君が好き」あたりも面白かったです。もう一押し何かあればなあという気もしますが。

漫画習慣の話

今回はこちらのほうが大事な話。漫画をおおよそkindleで購入するようになって、一部の「東京ヒゴロ」「音盤紀行」「図書館の大魔術師」「ローゼンメイデン愛蔵版」といった紙で読まないと意味がない作品以外は、電子で読んだほうが管理も続刊購入も手間じゃないという考えになった。

学習まんがもオモロい。

そこに加えて、最近は雑誌のサブスクも始めてしまった。「週刊少年ジャンプ」「週刊少年サンデー」「コミックDAYS(もっとプレミアム)」「kindle unlimited」で計4000円、AmazonPrime税、nosh税、名取さな税に加えてこれとなると、サブスクスレイブといっても過言でない。

コミックDAYSは1000円で19誌読めるのが異常なので、入っておいたほうがいいですよ。ジャンプは王者なので月980円で仕方ないかなと思いつつ、サンデー!おい!お前は1誌で月1080円ってどういうことだ?しかも閲覧期限短いしよォ…人に勧められるレベルにお得感出してくれ!

ヤバすぎ。安すぎ。

雑誌をサブスクで購入していると、アプリを開けば何かしら最新雑誌が入っており暇な時間が生まれなくなった。常に何か読むものがあふれている状態。漫画に埋もれる楽しい生活ではあるものの、単行本で読む習慣が薄れてしまったのはすこし悲しい。

何より雑誌で読んでいると作品を瞬間的に消費してしまって、心に残りにくいと感じるようになった。いっぱい読みすぎだから前回の話をあんまり覚えていないという理由もあるだろうけど、やはり物語は連続して読んでこそ…という気がする。

その読み方とSNSでの読者の動きが近くて、最近は読み切り作品が再評価されてきているような感じもある。1話完結は瞬間的消費に耐えられるから。Twitterでは読み切りに一家言あり!としたり顔をしている人がいるけれど、単行本をゆったり待つ世界だったときは読み切りなんて読み捨てられていたような記憶もありますが…。良いのか悪いのか。…良いか。

でもいくら良い読み切りでも単行本に収録されないんじゃ忘れられていくので、瞬間的な面白さを先鋭化していくよりも、読者がどっしりと構える鑑賞態度が必要で、そうでないと長編の傑作はもう生まれないんじゃねぇかなという気もしてしまう。

もう描くか、おれが、長編を。
(ここで「大長編を、おれが描く!」と言えないと尾田栄一郎になれない)

今年はそんなところです。

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