「男坂/将- SYOH -」 <1>
ザザーン!
九十九里に立つ女性(遠景からアップ)
女 「ここが九十九里・・」
高倉 「はい、お嬢様」
女 「・・・・」
「この海を見ていると嫌なことも
忘れそうになるわ・・」
高倉 「おにいさまの留学されているアメリカはこの海の向こうですね」
武島妹心中
「将・・元気にしているかしら・・」
ザザーン 〈遠景に現れる男〉
ザッザッ・・
女 「・・・」
高倉 「お嬢様、どうかなさりましたか」
武島妹「あの方・・どこかで・・」
高倉 「う、やつは…!」
----------------------------------------------
見開き題字「男坂/将- SYOH -」
<NYの攻防の巻>
----------------------------------------------
NY!
ジャーメイン邸の室内で対話する武島将とジャーメイン
武島の後ろに室戸、ジャーメインの後ろに「グフ夫」
ジャ 「やあショウ座りたまえ、元気でやってるかい?」
武島 「フッ、いろいろと勉強させてもらってる」
ジャ 「フォアマンの件は日米両方で見事だった。
その後シカゴをどうするか決まったかな?」
武島 「奴らのことなど知らんな・・」
ジャ 「兵隊が路頭に迷うだろう。声でもかけてやったどうだい」
武島、目を閉じて笑み「フッ」
ジャ 「ところでショウ」
武島 「・・・」
ジャ 「最近NYのビルと土地をつぎつぎと買い漁っている輩がいるらしい」
目を閉じたままの武島
ジャ 「日本企業が買収に噛んでいるという情報が入ってきているが・・」
「ショウ、何か知っていることはないか?」
武島 「さあ・・知らん」
「俺はビルと土地などに興味はないからな」
「室戸」
室戸 「武島ファミリーは好景気の時ほど慎重に動くのが家訓です」
「将様は今回は世界情勢の視察でNYに来ておられますので」
武島 「・・ということだ、ジャーメイン」
室戸 「将様、そろそろ次のスケジュールが控えております」
武島 「よし」(ザッ!)
ジャ 「待ちたまえ、ショウ」
「君には確か・・」
「妹がいたな」ニヤリ
口元が笑うジャーメイン
武島 <眼光!>カッ
----------------------------------------------
九十九里
ザザーン
太陽を背に男!
高倉「お、おまえは・・き、菊川!」
仁義「ん?」
「ああ、あんた確か・・ええと」
高倉「た、高倉だ」
仁義「はっはっは。お前らまた九十九里に来てんのか。どうやら本気でこの海が気に入ったみたいだな!」
睨みをきかせる高倉
高倉「菊川仁義、おれはあの時から…!」
菊川「おいおい、なんかおっかねえねえぞ」(笑顔)
ゴゴゴゴゴ…
武島妹「高倉!私の前で殺気は許しません!」
高倉 「す、すみません、お嬢様」
「私は彼に…」
武島妹、仁義を見る
「あなた…もしかして成田まで将を追いかけてきた方?」
仁義 「ん?将?」
武島妹「お兄さまのことよ。」
「あの時はめずらしかったわ。
将をあれほどまで真剣にさせたんだから」
仁義 「いや〜あん時はちょっと…
ん?あんた・・よくみると綺麗な人なんだな!」
武島妹「…!」
仁義 「たは、ガラにもねえこと言っちまった!(汗)」
〈高倉を見る〉
「高倉ぁ、もうケンカはやめて
友達になろうや。
俺のこと一発殴ってもいいからよ」
高倉 「き、菊川」
武島妹、仁義を凝視
「・・・」
「あなた変わったわね」
仁義 「へ?」
「暇してるなら遊びに来いよ
俺はしばらく寺に戻ってっからな!」
「お茶くらい出すぜ!はっはっはっ」
ザッザッザッ
歩き去る仁義を見る武島妹、高倉
----------------------------------------------
再びNY
部屋から去り外へと歩く武島将と室戸
窓の外を見るグフ夫
グフ夫「うあ!」
「ジャ、ジャーメイン様〜!外をごらんに…!」
ジャ 「どうしたグフ夫」
シャッ!(カーテンあける)
カーテン越しに邸宅の庭の通路を見るジャーメイン
「な、なにぃ〜!」
ゴオオオオ
黒い学ランの群衆が
邸宅の庭を埋め尽くす!
外には学ランの武島ファミリーが
列を作って将の帰りを待っていた!
その数およそ千人!
ジャ 「バカな…や、奴は千人もの兵隊を連れてNYへ来たというのか!?」
「まさか日本をもぬけの殻とするはずが…!」
ザッザッ
迎える兵隊を後ろに歩く
武島と室戸
武島「室戸、4番街のホテル周辺も土地ごと全て買えと京都に伝えろ」
室戸「はっ!」
武島「ジャーメイン邸の周囲の土地の価格もくまなくリサーチしておけ」
室戸「はっ!」
武島「フォアマン以下、ソルジャーは全員シカゴから追放しろ」
クワッ!
「奴らは今後一歩たりともシカゴに入ることは許さん!」
「シカゴには早急に7番隊を配置しろ!」
室戸「はっ!」
武島「そして妹の警護を・・」
室戸「・・・」
武島「いや、いい。放っておけ」
室戸「将様!万が一ということも・・」
武島「弱みを握られていては一軍の将はつとまらん!」
「犠牲が出ることを承知のうえで俺はこの国に来ているのだ」
背景に師の言葉
『聞きなさい将…
握られる弱みは持つ前に捨て去らねばなりません
弱点を突かれて滅ぶ組織を作ってはならないのです!』
部屋に残ったジャーメインとグフ夫
ジャー「グフ夫!武島身辺を見張って逐一報告しろ!」
グフ夫「グフ!」
ジャー「行け!」
グフ夫「グフ!」
ジャー心中「ショウ・・分かっているのか?これ以上アメリカ人のプライドを逆撫でするとどうなるかを!
「日本経済の破綻はもう目に見えている・・」
「北米と欧州のジュニア社会を統括したところで世界は変わらん」
「なぜなら・・・!」
ゴゴゴゴゴ・・
室戸「将様、京都より菊川仁義の襲撃に失敗との伝令がありました!」
「その後菊川は神威剣との間に同盟成立、
以後西に勢力を広げ出しているとのことです」
「ほ、本隊に動くよう伝令を出しますか?」
武島「放っておけ」
心中「フッ菊川仁義よ、動くだけ動くがいい。
いま日本をまとめたところで
大局から見れば変わることなど何もない」
「ファミリーの芳醇な資金でこの国の地面を買うだけ買ってやる!日本経済が破綻する直前までな!」
「日本経済の破綻後、日本に君臨するのは・・・」
クワッ!
「この武島ファミリーのドン、武島将よ!」
<見開きで見栄きり>
背景に学ラン群衆と鳳凰!
-将-SHOH第一話「NYの攻防」の巻おわり/
次週はシカゴのフレイジャーと将が激突!?
次回は「敗残者の末路」の巻だ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?