伝送路設備の予備品の考え方

考えるきっかけ

私はケーブルテレビ局の技術職として働いているのですが、お客様へサービスを提供する設備である光ファイバー網(以後「伝送路設備」)が大規模災害で被災してしまった際の復旧方法を考えることとなりました。
具体的に言えば、伝送路設備を復旧させるための部材の予備品をどのような種類どのくらい保有するのかを再検討することとなり、これを考えるにあたって自分なりに考える手順を整理したのでその内容を記載します。

考える順序

予備品を購入するにあたって、数万・数十万という金額ではなく、数百万・数千万という単位でキャッシュが出ていくため、ある程度数字には根拠が必要になってきます。
そこで闇雲に情報を羅列しても根拠とはならないため、考えるための順序を整理しました。

  1. 目的を明確にする

  2. 基本方針を決める

  3. 前提条件を決める

  4. 目標設定

  5. 予備品保有数量の算出

  6. 保管場所と配分を決める

1.目的を明確にする

何をするにしても一番重要になってくるのが「目的」だと思っています。
目的が決まることで方針と目標が決まってくるため、考え方がぶれないよう目的を明確にします。
初めに予備品を保有するそもそもの目的は、

災害でサービス提供がストップした時、すぐに復旧作業を行えるようにする

です。
災害直後は当然のことながら、道路の整備等が行われて復旧作業が出来る状況になったとしても、当然復旧部材はどこでも必要になり手に入る可能性は高くありません。そのため予め被災数量を想定し保有することで、復旧作業が行える状況になったらすぐに取り掛かれるようにします。
そして今回は再検討ということであり、再検討する目的は下記2点となります。

  1. 現在の設備数に合わせた適正保有数量を算出

  2. 以前までの考え方の見直し

です。
1つ目の目的は、前回の再検討から約5年近く経過しており、その間に伝送路設備も増強を重ね設備数量が増えているため、現在の保有数量では足りなくなる恐れがあるためです。
2つ目の目的は、保有する予備品の種類や配備する場所等が適切であるのかどうかを再検討することで、より効率的な復旧を目指すためです。
また、今回の見直しでは以前までとは大きく違う点があります。
弊社では光ファイバー網の全面敷設が完了したことで、今年度末をもって同軸設備(光ファイバー以前に使用していた伝送路設備)を使用しなくなるため、同軸設備の予備品が必要無くなり、その分の余ったスペースを別の用途に使用可能になる点です。
この点も踏まえて以前までの考え方を見直していきます。

2.基本方針を決める

目的が明確になったら次はその目的を果たすための基本方針を定めていきます。
私自身も基本方針を上手く説明出来ませんが、目的を果たすために何を目指すのかを決めていきます。次に目標設定をしますが、目標はこの基本方針をもとにした判断基準だと解釈しています。
今回の場合は下記の3点を基本方針として定めました。

  1. 被災設備を全て復旧出来る予備品の保有

  2. 復旧効率を最大限にした予備品の保有

  3. 倉庫スペースの有効活用

今回も前回までと同様に、被災設備を全て復旧出来るように予備品の数量を定めます。ですが、設備の種類は様々あり今までの増強ではその時の状況に合わせた設備を敷設しております。中には代替可能なものもあるため、全ての種類を持つのか、代替可能なものはある程度まとめてしまい、保有する設備の種類を減らすのか等、復旧効率を最大限にした予備品の保有を考えます。
また、前述した通り古い設備の予備品を持たなくてよくなるため、空いたスペースを復旧時間短縮のために有効活用することも考えていきます。

3.前提を決める

基本方針が決まりましたら、次は目標を設定する前の前提条件を決めます。
今回の物事を考える上で、目標は変数であり、前提条件は定数のようなイメージです(分かりにくい表現ですかね)。

・被災予測
過去に弊社が調査会社に依頼した、エリア内の被害予測と伝送路設備の被害予測を基に考えます。

・復旧対応者
弊社が仕事を発注しているパートナー会社が復旧作業にあたることとし、伝送路工事作業者以外にも引込工事(お客様設備工事)作業者も復旧作業にあたると考えます。
※復旧対応可能な人は全投入する。

・復旧対象
現在設置済の既存設備を対象とします。
電柱倒壊等で復旧が出来ない場合の仮設対応等は予備品に含まないものとし、仮設については配置スペースが余った場合に+αとして考えます。


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