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サブスク解禁!恋愛サーキュレーションしか知らねぇ人のための花澤香菜ソロ曲10選

花澤香菜ソロ楽曲サブスク解禁!

本稿の趣旨はこれを伝えることなので、これだけ覚えて帰っていただければ良いのですが、いきなり100曲をはいどうぞと渡されてもどこから手を付ければいいのか…?となりがちです。(ならない人は全部聴いてね)

というわけで、このへんの曲を聴いておけばおおまかな音楽性と、花澤香菜さんが歌声を通して表現せんとする世界の一端を掴めるかもしれない(?)そして何より聴いていて楽しい10曲をガイドします。今見返すとそれを選ばずにこれを選ぶ?みたいなチョイスになってしまった感は否めませんが、難産だったことだけ雰囲気で感じてください。


1. 星空☆ディスティネーション

名刺になるのは往々にして1stシングル。花澤香菜に歌わせるならこういう歌詞でしょ!と言わんばかりの甘く切ない歌詞が4つ打ちビートにふんわりとまぶされていく。出会いを振り返りながら「繋いだ手を握りしめ ずっとこのままでいようね」と歌われる歌詞は、声優としての知名度を得て新しい活動に踏み込まんとする2012年当時の花澤香菜さんの状況とリンクしているようにも思えます。楽曲の多くをプロデュースするのはいわゆる"渋谷系"の系譜に位置付けられるROUND TABLEの北川勝利さん。彼が中心となって生み出される都会的なサウンドの上に花澤さんの歌声が乗り、曲にやわらかな色が灯されていく。唯一無二の歌声と、それを活かすことに特化したサウンドメイキング。以降の多くの曲にも通じる、ソロアーティスト・花澤香菜の紡ぐ音楽の魅力の一つであると言えます。

2. こきゅうとす

歌詞と伴走するような深呼吸に始まり、細やかな息遣いをサブリミナルのように織り交ぜつつ静かに走り抜けていく。しかしその歌声にはどのような表情も伺えない。花澤さんの声が放つ攻撃力を最大限に発揮するためにはどのようなディレクションを行うべきか?に重きが置かれた…かどうかは定かではありませんが、彼女の声が最もビビッドに耳に飛び込んで来る曲だと思います。やくしまるえつこ作詞・作曲ということでややキワモノ感はありますが、この不思議な浮遊感はぜひ耳元で体感していただきたいところです。歌詞の「短く」の抑揚の付け方が1番と2番で異なる点に技巧的な萌えを感じます。やくしまるえつこファンはキワモノを超えたゲテモノ「アブラカタブラ片思い」を聴いて脳を溶かしてください。

3. Brand New Days

オタクが花澤さんに見たい夢のすべてがここに詰まっていると言っても過言ではない、圧倒的な輝きに満ちたあまあまふわふわきらきらポップソングの砂糖ましまし。小気味よい80年代的なシンセの音色に導かれて花澤さんの透き通った歌声が舞い踊る。特に間奏で飛び出すラップパートは曲のグルーヴ感が最高潮を迎えるパートでありつつ、1st「Claire」の頃から強く打ち出されていた砂糖成分が最も甘さを極める瞬間でもあり、世界が多幸感で満たされます。

4. パパ、アイ・ラブ・ユー!!

都会的おしゃれポップスの上を透明感ある歌声で乗りこなすのが花澤香菜ソングの一つの方向性なのですが、その極北に位置するのがこの曲だと思います。歌詞はタイトルが示すとおりの内容で、これは当時25歳の花澤さんがそれまでの人生を振り返るコンセプトで制作された2ndアルバム「25」のうちの1曲であるという前提を踏まえなければ途端にキッツイ歌詞に聴こえてしまう脆弱性があったりするのですが、この曲にちょっと胡乱な歌を乗せてくる微笑ましさこそが何よりもチャーミングな曲です。ポップな曲調も透き通るコーラスも気持ち良い。

5. We Are So in Love

音楽的な語彙を持ち合わせていないので表現が難しいのですが、シンプルに完成度がものすごく高い曲です。ハウスとかフュージョンとかなんかそういうジャンル。ファンタジックでドリーミーで宇宙感のある、きらきらしたところに花澤さんが手を引っ張って連れて行ってくれるような、そんな趣。花澤さん自身も折に触れてこの曲が好きだと公言されており、アルバム曲ながらライブでの演奏頻度も比較的高いです。未知の名曲を求めてストリーミングワールドを彷徨うタイプの方は何を差し置いてもまずこの1曲。

6. Blessing Bell

ここまで肉が続いたので野菜を挟みます。タイトル通りのウェディングソングですが、なんと言ってもこの曲は2020年7月8日に突如飛来した巨大な文脈と切っても切り離せない接続がなされてしまったことで、さらなる輝きを放つようになりました。あの日の花澤さん、そしてあの日の全国一千万の花澤香菜のオタクたちの心境に思いを馳せながら聴くのがよろしいかと思います。お気持ちソングとして名高い(?)A面の「君がいなくちゃだめなんだ」との合わせ技を発動するとより切実な心境になれるので、オタクの自嘲的な楽しみ方としてそれもまた一興。武道館ライブのブルーレイに収録されているアコースティックバージョンが特に高い破壊力を誇ります。

7. 曖昧な世界

ネオアコの傑作です。ネオアコがなんなのかは未だによく分かりませんが、ネオアコと聞いて万人の脳裏に浮かぶイメージに近い音像なので、そういう方面のアンテナが反応する方には間違いのない1曲だろうと思います。「パパ、アイ・ラブ・ユー!!」や「We Are So in Love」が緻密な音の積み重ねの上に成り立つ曲だとすれば、こちらは引き算の美しさが際立つ1曲。失ったものや戻らない時間を思いながら独りごちる歌詞、ただそこにあるだけのギターのリフレイン、やわらかな歌声、それらが渾然一体となって耳にやさしく寄り添ってくれます。華やかなサウンドの曲に比べると印象に残りにくい方ですが、アルバムのブリッジ的な役割に留まらない、確かな音楽的強度を持った曲です。休日の晴れた昼下がりに耳元で遊ばせたい1曲。

8. Blue water

最も音楽的な深度が深い4thアルバム「Opportunity」のラストを引き受ける壮大な曲…と書くと身構えてしまいますが、花澤さんの声を楽器にしてしまおうという妄想を持ち前の変態的音楽センスで実現させたmitoさんによる怪作です。無機質なクラブサウンドの上に3日かけて録音されたという無数のコーラスを散りばめたこの曲は、スピリチュアルな歌詞も相まってしだいに脳が香菜色に染まり、いつしか自分と世界と花澤香菜さんの境界線が失われてゆく。人類補完計画後の世界はこういう感じなのかもしれない。イヤホンでどうぞ。

9. おしえて

思えば遠くへ来たもんだ。余所行きの服を着て四方に愛嬌を振りまいてくれるのが1stアルバム「Claire」だとすれば、30歳の節目にリリースされた5th「ココベース」は、シンガー・花澤香菜の自然体をあぶり出すかのように、彼女自身のパーソナルな部分に寄り添う曲が多い印象です。中でもシュガーレスなこの曲は、自らが母になってもおかしくない年齢に達した女性の目線から、母親へ”おしえて”と問いかける歌詞になっており、不安な気持ちの中に道標を求めて歩く30歳・女性・花澤香菜さんの実在を感じることができます。ちなみに父(パ、アイ・ラブ・ユー!!)母(おしえて)のほかに弟との思い出をフィーチャーした「真夜中の秘密会議」という曲もあり、ひっそりとファミリーヒストリーが立ち上ります。

10. magical mode

何を差し置いてもやはり最新曲。そもそもが本作のリリースに合わせたサブスク解禁なのでした。5th「ココベース」以来2年ぶりとなる待望の新曲は、花澤さんの音楽活動の新たなシーズンを予感させる意欲作……というよりは、これまでの活動の延長線上から少しずれた位置に立つ、ある意味でキャラソンのような独立性を持った曲という印象が強いです。もともとは中国でのデビュー曲として1月に配信されたもので、このたび日本語詞を乗せて国内でもリリースされる運びとなりました。デビューからまもなく10年を迎える今、あえてこのような砂糖菓子ソングを花澤さんに歌ってもらおうという発想はなかなか国内から生まれそうもないのですが、向こうで求められるカラーを前面に出した結果、1st「Claire」の頃の初々しさを湛えたような元気いっぱいの曲が届けられることになりました。その意味では原点回帰と言えるのかもしれません。花澤香菜の歌声はこうやって活かすんだよ!という作曲・神前暁さんの気概が感じられるキュートでポップでラブリーなチューンに仕上がっているので、ここまで読まれた方にはぜひご賞味いただきたい一品でございます。

最後に

シングル、アルバム、カップリングといったラベリングを取っ払ってフラットに均された選択肢からピンポイントで1曲を選び取れるのがストリーミングの良いところであり、難しいところでもあるなぁと思います。3rd「Blue Avenue」や4th「Opportunity」などはアルバム全体を大きなコンセプトが貫いており、通して聴いていただきたい気持ちも大いにあるので、気になる曲を見つけたらそれを入り口に少し手を伸ばしてみるのもよろしいかと思います。Welcome to ようこそ はなざわーるど!

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