失敗する起業をしたい。

このタイトルに釣られてしまった人。
何バカなこと言ってるんだ、って感じですよね。

失敗する起業をわざわざするなんて、
馬鹿げてますよね。

あらかじめ言っておきますが、
このnoteは、起業のハウツーや、
失敗しない方法とかを書いたものではないです。

もし、このnoteを読んだら、
失敗しない方法がわかるかも!
とか思っている人がいるなら、
それは間違いです。

じゃあ、前置きはこのくらいにして。

失敗ってなんでしょうか。

例えば、店が三年で潰れて、
借金がある。

これは失敗でしょうか。

何をしていたかにもよりますが、
仮に喫茶店だとすると、
私は失敗ではないと思います。

まず、喫茶店を起業した時点で、
他の人にはない履歴ができます。

次に、喫茶店を三年続けたことで、
かなり努力したことがわかります。

これだけ強みがあれば、
就職にも有利になるでしょう。

しかし、今の世の中では、
これを失敗と言います。

なぜでしょう。

何も知らない人は、
世の中の起業に関して、最終的に
成功するか、失敗するかで判断します。

実際は、小さな成功と、小さな失敗が、
繰り返し起こっています。

その中で、たまに起きる、
大きな成功と、大きな失敗が、
人の目につきます。

店が潰れる、というのは、
店を継続するのがゴールの飲食店において、
一番大きな失敗と言えるでしょう。

しかし、遠目では見えないところで、
小さな成功を積み重ねている。

開店時にお客さんが来てくれる。
新メニューが好評になる。
目標売上を達成する。

これらは小さな成功です。

特に日本人は、
この小さな成功を無視する。
見えていても、それが成功だと
わからないのです。

飲食店に限らず、
店はいつか潰れます。

100年続いた老舗でも、
いつかは無くなります。

個人的に一番長く続いていると思うのは、
宗教絡みのものでしょう。

例えばキリスト教であれば、
2000年以上、多くの人に愛されています。

これはある意味、成功の例ですね。

キリスト教が長く続いた理由は、
その辺の宗教家にでも聞いてください。
私も詳しくはわからないです。

じゃあここでは、
成功とは長続きすることだとしましょう。

では、どのくらい続いたら、
成功と言えるでしょうか。

2000年はさすがに長すぎますね。

一般的には、10年続けば、
良い方だと言われています。

でも、ちょっと待ってください。

10年続いても、大きな失敗を
してしまえば一瞬で潰れます。

例えば、某車屋さんで、
社員が立て続けに不祥事を起こす、
もしくは発覚し、
マスコミに晒され、
売上が落ち、株価が下がり、
顧客が離れていくという事件が
起こったとしましょう。

その車屋さんが100年続いていても、
今の世の中、マスメディアの力で、
倒産に追いやられてしまうでしょう。

そこから建て直せるのが
一種の成功かもしれませんが、
もしできなければ、
倒産するだけです。

10年続こうが、100年続こうが、
2000年続こうが、
いつかは潰れるのです。

そして人々は言います。
「あの企業も潰れた。
 失敗したんだ。」と。

失敗しない経営なんてありません。
小さな失敗は必ず起きるし、
大きな失敗で一瞬で潰れる。

一部の企業が成功しているように見えるのは、
小さな失敗よりも、小さな成功の
数が多いからです。

継続するのも、ある意味では
小さな成功なのかもしれません。

起業について調べていると、
たまにこんなネット記事に出会います。

「失敗しない起業の仕方!」
「必ず成功する経営者マインド!」
「あの成功店に学ぶ!経営メソッド!」

たまに、じゃないですね。
しょっちゅう見ます。

書き手も、記事を読んでもらうために
必死なんですね。

どこからツッコもうかな。

まず、起業は、
金と資格さえあればできます。
食品衛生などは金を払えば手に入るので、
結局金があればできます。

問題は、店を開店させることではなく、
店を継続させることです。

次に、必ず成功する!なんていうのは
嘘、とは言いませんが、
あまり信用しない方がいいです。

経営者としてのマインドは
確かに必要ですが、
それがあっても、潰れる店は潰れます。

成功店から学ぶことよりも、
失敗店から学ぶことのほうが、
より効果があると思います。

さて。

失敗する起業をしたい、というのは、
起業をしたい、ということと同義です。

失敗しない起業をしたい、なんて
思っているうちは、
たぶん窮屈です。

小さな失敗を受け入れられないのは、
精神的にもくるでしょう。

大きな失敗を恐れるくらいなら、
初めから起業なんてしない方がマシです。

失敗は成功のもと、という
言葉があります。

私は、逆もあると思います。

成功は失敗のもと。

成功した方法が、
ずっと続くわけではないからです。

小さな成功を喜ぶことも、
小さな失敗を糧にすることも、
同じくらい大切です。

大きな成功で天狗にならず、
大きな失敗から建て直す。
これができる人は少ないです。

起業は、ゴールではありません。
ようやく、スタートラインに、
立つことができたのです。

では、継続がゴールでしょうか。

私は、店のゴールは、
店を畳む時だと思います。

その時、どれだけの人が、
お疲れ様!とか、
寂しいよ、とか、
ありがとう!とか、
言ってくれるかだと思います。

私の理想としている店があります。
その店はもうありません。

私は2、3回しか行ったことがありませんが、
地元の人から愛されている喫茶店でした。

その店が閉店する1日前、
食べ納めに行きました。

確か、日替わりランチと、
チョコレートパフェを
頼んだと思います。

その日は、たくさんのお客さんが、
マスターたちとの別れを惜しんでいました。

これが、成功だと思います。

私も、その喫茶店には、
いろんな思い出があります。

高校帰りに寄ったことも。
初めておろしポン酢でトンカツを食べたことも。

好きだった女の子に告白したのも、
その喫茶店でした。

フラれましたが。

店でちょっと泣きました。

こんな思い出が人の数だけあります。

店を畳む時、たくさんの人に
惜しまれながら、閉店する。

これが、私の理想です。

だから、閉店することが失敗することだと
思ってはいません。

開店がスタートなら、
閉店がゴールです。

何キロ走ればいいか知らされないまま、
たくさん走った走者に、

「走り続けられなかったから失格」

って言う人はいないでしょう。

というわけです。

人から見れば閉店(失敗)が、
私のゴールなのです。

終わりに

その喫茶店は、現在、
空きテナントになっています。

いわゆる居抜きなので、
設備は買取をすればすぐ使えます。

そこで、私は、
思い出の詰まったその場所で、
いつか喫茶店をすることにしました。

いつになるかはわかりません。

とりあえず修行です。

早ければ今年中に。

遅くても5年以内に。

やってみたくなりました。

惜しまれながら閉店する
これが目標です。

も、もちろん継続はしますよ。
努力はします…

こんなもんですかね。

今回はこの辺で、おさらば。

またね。

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