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Kannazuki 31【さされ】

古文の授業でテストが返ってきた。赤点だった。まあ感触的にそりゃそうって感じだったけれど、赤点というものは取るものではない。順当に凹んだ。

授業の脱線の中で、先生が身の回りの管理が危なっかしい生徒に向けて「大人になったら社長になって秘書をつけてもらうと良いですよ。」と言った。それを聞いた別の同級生が「[具体的な大学名と学部]に行って起業すりゃ行ける。」と言っていた。こういう冗談話に具体的な大学名が一瞬で出るのははっきり言って気持ちが悪い。少なくとも受験に呑み込まれていると思う。

それを言った同級生は、私が運動会の時に熱量が合わなすぎて途中離脱した中1の子達を教える担当の責任者の彼だった。とりあえず気が合う奴の嫌な一面を知った訳ではなかった。そこは良かったのかもしれない。

体育の授業で卓球台の準備をしていると、友人が「今日俺天ぷらうどん食うわ。」と言ったので、ギリ行けると思い「大丈夫?黒板に大きく『天ぷらうどん』って書かれるよ。」と返したところ、数瞬考えて「坊ちゃんじゃねえか。」と言われた。本当にギリギリでの伝わりに友人もとても嬉しそうにしていたし、私としてもかなり気持ちが良かった。

別の友人にグラウンドに出てマラソンをする事にされた。その瞬間では断ったのだが、「練習なしでマラソン大会(※学校行事)出たら死ぬよ。」と言われ合点が行ってしまったので不本意ながら何名かとグラウンドを走った。

当然のように半死した。グラウンドを何周したかも分からないが、スタミナゲージが無くなって赤く点滅しているのは間違い無い。よくよく考えると本番で瀕死になるのも、練習と本番で合計2回半死するのも死の総量は同じなので、練習しなくて良かったのかもしれない。疲れた。

出席は取られない社会科選択科目の倫理、政治・経済の授業は問題演習のフェーズに入り、それなりに分厚い択一問題が並んだプリントの束を少しずつ解くという作業を行なうことになった。問題演習前は音沙汰もなかったような奴らが今更教室に来てプリントの束だけ貰いに来るみたいなことが散見された。打算的で恥ずかしい振る舞いだと思ってしまう。

出願書などに使う用の証明写真が届いた。どう見ても私の髪が伸びすぎている。あといつも通り目つきが悪い。私の髪の伸びはくせっ毛なので余剰になりつつある髪の毛は全体的にモコモコとなっていく。私はよくある髪を伸ばしている人の髪の垂れ方を知らない。

髪を切りに行こう。とりあえず予約を入れます。

(おわり)


【本日の万物山崩し】
紫色でなく、甘くなく、尖ってなく、スポンジ製でなく、球状でなく、薄くなく、食べれなく、『ん』で終わらなく、身に付けなく、金属製でなく、人名でなく、『あ』で始まらなく、海洋生物でなく、楽器ではなく、『ー』が入らなく、立方体でなく、サバンナに生息しなく、文房具でなく、地名でなく、『っ』が入らなく、積み上げなく、漢字三文字でなく、商標でなく、縁起物でなく、液状でなく、昆虫でなく、建物でなく、運動でなく、モノクロでなく、透明でなく、監視カメラに映らないもの→「幽霊」

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