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Kisaragi 16【だれか】

例の如く、どっかの大学の入試だった。

今日の目覚めは悪かった。絶対に向き合わなければならないものが目の前にあるけど、絶対太刀打ち出来ないという事に嫌気がさす。

目覚まし時計の音が妙に耳を刺す。この世の全ての目覚まし時計が爆音で同時に鳴って街ごと割れれば良いのにと思った。そんな感じの気持ちで1日が始まった。

入試会場の1駅前に人がごった返していた。こんなに人数が居ては無理だなと思ってしまう。どう考えても駄目な思考をしているが、そういうスイッチが入ってしまってからはもう遅い。

自分の受験番号の書かれた机を見つける。目の前に同じクラスの友人が居た。うちの学校の人数はそれなりに多いとはいえ、受験者数:沢山の所で連番になるのかと驚いた。ちょっと引いた。

お手洗いに行こうとしたら、列の前方が騒がしい。何事かと思ったらめちゃくちゃ水が溢れていた。床が雨の日になっていた。その場に4人ほどいたがその溢れている様子をただ眺めているだけで状況が好転する訳が無かったので、急いで別の階で誘導を行なっていた学生のスタッフの方に言った。1時間目の間に直すらしい。とりあえず手近なスタッフの方に言ったが、「言われても......」みたいな顔をしていた。

トイレから戻ると眺めていた4人はどっかに行っていた。何なら新しく沢山人が並んでいた。労働の対価として何故か誰も使っていなかった多目的トイレを使った。

目の前に知っている/知られている人が居た時というのは難しい。ある程度心配されない様な顔をしておかないといけない。心の中はとんでもない事になっているが、一友人として会う時ぐらいはニコニコしていたい。ぐっちゃぐちゃになっているのは文字の中だけで良い。

解けない問題を目の前に私は余計な事を考えてしまう。またこうだと思いながら私は凄く落ち込んでいた。ふと、試験終わりに凹んでいる所を親に見つかって「そうクヨクヨしても意味ないぞ。」と言われた事を思い出した。その時私はそんなにピンと来なかった。

何故あの時私はピンと来なかったのかを考えた。過去をまるで振り返らないという悪癖がある上に諦めてしまっている部分があるので、テストが上手く行かなかったとしてそこまで悲観する気がしない。何故私はこんなに気持ちがぐちゃぐちゃになっているのか。

今後が不安だからだった。先行きが不安すぎることに滅入っていた。このまま何者にもならないままで居ることが不安で仕方が無くって凹んでいた。

⦅!⦆もっと書こうとしたのですが、ちょっと変なことになりそうなので一旦打ち止めしておきます。また明日書けたら。

(おわり)

【本日のプッシュポップ川柳】
さいごのひ
すいかにしおと
はでなあじ
《push:じ,に,ひ pop:う,ち,り》

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