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IT業界に進むことを決めた思い出

私は学生時代、一種の感動を覚えて進路を考え始めました。そんなこと…と思うかもしれませんが、その感情はそのままモチベーションとなって行きました。


パソコンをゲットした

同級生の親御さんからお古の壊れたノートパソコンを頂戴した中学2年生。当時はインターネットも今の様に普及しておりませんでしたので、パソコンショップや雑誌を読み漁って修理しました。

Pentium Ⅲ 搭載の Windows 2000 が発売になるかどうかという時期に、Pentium75MHz のノートパソコンです。ギリギリの容量ですが Windows 95 を入れてた気がします。

HTMLを触った

中学も卒業しようかという時期になると、パソコンで何が出来るかというのを雑誌で勉強しておりました。雑誌に書いてあるのは夢もまた夢みたいなことばかりで、ズブの初心者にはハードルが高すぎて、徒歩でそのまま下をくぐれます。

そんな時に手に取ったのが、HTML辞典です。もう HTML 4.0 の規格でした。これならいけそう…?はやくやってみたい…そう思って、本屋から自転車のチェーンが切れるほど力いっぱい漕いで帰りました。

赤くて大きい文字を表示した

家に帰り、最強のテキストエディタとして雑誌に紹介されていた秀丸エディタを起動し、まずは頭に詰め込んだ初心者がやることをキーパンチします。

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0 Transitional//EN"> 
<HTML>
<HEAD><TITLE></TITLE></HEAD>
<BODY>
Hello World!
</BODY>
</HTML>

拡張子を変更して、InternetExplorer で開くと、そこには「Hello World!」と表示されています。なるほどなるほど、と前のめりになり、購入したHTML辞典から、赤い大文字に装飾してみようと思って編集しました。

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0 Transitional//EN"> 
<HTML>
<HEAD><TITLE></TITLE></HEAD>
<BODY>
<FONT SIZE="+2"><FONT COLOR="RED">Hello World!</FONT></FONT>
</BODY>
</HTML>

今思えば、FONT タグの入れ子になってますし、そもそも FONT タグ今じゃ使いませんし、ダメダメなんですけど今でも記憶に残っています。

再度、InternetExplorer で開くと、そこには赤く、さっきより大きい文字で「Hello World!」と表示されていました。脳汁が出る感覚と共に、飛んで跳ねて叫んで喜びました。

中学生的な価値観の変化

図画工作で折り畳み椅子を作るには、材料として木材やビスやボルトがいる。道具だって鋸や鑢、ドリルやベルトサンダーだって使った。

しかし、こともあろうか、パソコン1台あれば、材料などもなく何かを創り出せるのだ。これはすごい!

この感動と言ったらありません。人生で一番、自分で何かを成し遂げた感に満たされました。別に達成したわけでも、発明したわけでも、何でもありません。単純な中学生なりに思考は絶頂し、今からの時代はパソコンだ!と息巻いておりました。

社会人になってから思い出す

社会人になり、中学生の時より夢見たIT業界へ就職して8年くらいが経ったころ、蓄積した疲労の中で同僚と話していました。

「そういえば、初めて HTML 書いてみたときって感動しなかった?」
「あーっ!したした!色が付いただけで感動した!」
「今となってはだけど、やっぱ当時は感動するよね」
「だよねー、あー、思い出した。仕事頑張ろう…」

そしてゾンビみたいな顔をした同僚と私は、事務所の照明を煌々と照らした夜に、ゾンビみたいな呻き声を上げながら、とっぷり暮れていきました。

ええいくそ、と思いながらタスクを消化しつつ、やっぱり同じような感動を覚える人もいるんだな、としみじみしました。その後もその同僚とは一緒に会社でクリスマスを過ごし、一緒に客先に行き、わからないところはお互い相談し合って、くたくたになるまで頑張りました。

けれどもくたくたになって溜息をつくたび、この話でやる気を出し、お互いを励まし、社会の荒波に耐えていきました。


若かりし頃の小さなことでも、大きな感動を生み、それがモチベーションとなる。みなさんは、そんな感動、ありますか?

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