蜜柑

ころがる硝子の青、繁き励ましにしばし望みのありや、と
写しのなか、かんきつの芳ただよう懐かしき顔がほが手に
離れてけむりの遠く、置き去りし古里が山のうしろまで
雪のふりつもりが橘、とけて名を残さずも、重ねて鴬が聴きたし

小春おだやかに浜をあり来て背のぬくもり

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