狸汁

おこげた鍋の底さぐりごと、黒き汁にまざる弘法
灼にきこえし泣き言の まわるあぶくが潮目
蓋たたく鼓ばちの、火を掻く琴爪がかりの途絶えしころあひ
誂の炭はけぶりとなり 並べた肉は灰となりて、天に嘯きまたたく

北風しかかる襟の岬のはてまで波しぶき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?