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恋の形

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実る恋  実らない恋 交わる恋  交わらない恋 どの恋も正解はなくて どれも素晴らしい ちょっと人にやさしくできないとき 読んでもらいたいお話しまとめてみました
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2024年2月の記事一覧

夕焼けシトリン

神社の階段に座っていた 3つ上のお姉さん 中学に入ってから全然話してなかったけど 声をかけずにはいられなかった それほど繊細で儚い横顔だった 黒く長い髪が風で揺れる たわいもない話しをした 笑っているけどあまりこっちを見ない 時折すする鼻と 時々震える声に きっと彼氏に振られたんだと 僕は思った 少し赤い目もとに夕焼けが映り込む とても美しいと思った シトリンの石のように優しく美しい 夕焼け色の涙を見て 僕は胸が苦しくなった お姉さんは笑って別れたけれど 僕

もっともあたたかいブルー

彼はいつも冷たく見える 淡い青色のような指先で 私に触れる 彼はいつも冷たく聞こえる 深く青みがかった声で 私に話しかける 私は彼の心が知りたい 彼の色が知りたい あなたは何色なの? 付き合って3年目の記念日に プレゼントをくれた 「キーホルダーなんて使わないよね」と 彼が言った 私は微笑んだ 「ありがとう」 普段見せない照れくさそうな顔に 彼の優しさを感じた おそろいのキーホルダーに心が溶けていく かっこよくみせたくて 冷たくなってしまったんだって ずるい

クリームソーダと彼

クリームソーダのように 甘くてさわやかな 彼の笑顔に惹かれて 私は恋に落ちた クリームソーダのように 深くて神秘的な 彼の瞳に見つめられて 私はときめいた クリームソーダのように 泡立っては消える 彼の気持ちは不安定で 私は傷ついた クリームソーダのように 色あせてしまう 彼との思い出は雲になって 私は見上げた クリームソーダのように 冷たくて切ない 彼との別れは雨になって 私は咲いた *.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚* 甘くて切

クリームソーダとくらげ

彼はくらげのような人だった いつもふわふわした人だった 透明感のある瞳に光が差す 触れると冷たいけれど 見とれてしまうほど美しい 彼はクリームソーダが好きだった 甘いシロップと泡のハーモニー グラスに注がれた夢のような色 飲むと幸せになれると言っていた 彼のことを思い出すたびに クリームソーダを飲む 彼のようにふわふわと生きたいと願う 彼のように自分らしくいたいと思う クリームソーダとくらげ 私の心に残る二つのもの 彼から教えてもらった 人生の希望となるもの