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言葉の羅列から生まれるストーリー

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言葉の羅列から生まれるストーリー無造作に無作為に言葉を羅列するそのままの順番でストーリーを作る
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#小説

寂寥

ぼんやりと月を眺める。 まん丸の月は満面な笑みで、微笑んでいるように見える。 私も思わず笑って、忘れたい感情を滲ませる。 泣けば泣くほど、不思議と笑顔になって空を見上げるのが こんなにも気持ちが良いなんて初めて知った。 昨日までの感情は地上へ残し空へと舞いあがりたい気持ちだ。 地上に残した感情の名前を知りたくて辞書を引いてみるんだけど 何が当てはまるのか分からなかった。 せめて答えだけでもわかったなら、心のざわつきも 少しは落ち着きそうなんだけどな。 映画なんてほとんど見な

異質な光の中で

「普通」なぜそれが必要だったのか。私の頭の中にいつも誰かが語り掛けてくる。弱くてちっぽけな私は、ひそかに生きていくだけで精いっぱいだった。 私が学校へ行けば、まるで蜘蛛の子が散らばるように人は消えていった。話しかけてくれる人もいない。本当は見てほしいんだ私の目の色、髪の色、私自身を。これは「個性」じゃダメですか? ただまっすぐに長く続く渡り廊下は、最強な私を孤独にする道にしかならない。両目から意図せず流れ出る涙はこの場から消えてなくなりたいと願ういたいけな少女だということ。

窮屈な愛の物語り

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 窮屈な愛の物語り 爽やかな風が私を包み込む。こんな美しい世界に私は酷い言葉を紡いでしまって、生まれては消えていくさざ波を世界で一番憎んだ。 一度も欲しい言葉を生み出すことは出来なくて、呼吸は荒くなる。 私はもう誰かと戦わないことを決めた。本当にそこでは何も生み出さないことを知ったから。茜色の夕焼けで髪は染まり、浅い息を繰り返す。悔しかった思いも全てがさ

君と僕との価値観が同じなら良かったのに

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ この物語の結末は誰も知らない。僕と青空の間で君は大きな瞳を太陽のように輝かせて笑いかけてきた。君と僕との価値観が同じなら良かったのに。 ほっぺから湯気が出そうなほどに見つめてくる君という「存在感」は、何かの魂胆があるんじゃないかと僕をヒヤヒヤさせる。趣味も年齢も全く違う僕たちは君とのギャップで精神的な差を自覚させられる。敬愛する君の母上に「私の娘という

夜明けの猫と消えた鳥

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 闇夜を歩く猫、湧き水で遊んだ帰り迷子のようにキョロキョロと周りを見渡す鳥を見つけた。その姿は今にも消えそうなほど細く弱々しく、そのまま彼は扉の前で弧を描くようにうずくまってしまった。 それでも視線だけは何かをとらえ、足先は震えているが何かの到着を待ちわびているようにも見えた。風が彼を容赦なくたたきつける。古びた街灯から猫は様子を伺う。夜明け前の薄暗い

透明な記憶の夢

思い出される記憶はすべて無色透明だった。 素朴なあいつの顔が浮かぶ。 朝ごはんを食べるのは決まって 太陽が西に沈む時間だった。 砂を食べているように味がしない事も、 不規則な生活も、すべては心の痛みから始まる。 あの頃の葛藤に比べれば 波が引いたように静かになった。 いつかの約束を紙一面に書きだす。 頭の中は架空の世界でいっぱいだ。 その世界に入るための鍵は ぐっすり眠ることにある。 彼の動くことのない決意を 小指でなぞる。 光のような存在の彼の背中には ドーナツのよう