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おてらの読みもの『世間解(せけんげ)』2024年5月号

〔毎月発行〕さいほうじの読みもの『世間解(せけんげ)』2024年5月号

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文:〔西法寺住職〕 星野親行(ほしの しんぎょう)

【テーマ】『超発希有大弘誓』


 五月であります。皆さまにはご本願のおはたらきの中に「なんまんだぶ、なんまんだぶ…」とお念仏ご相続のことと存じます。
 さて、毎回のように“皆さまにはご本願のおはたらきの中…”という書き出しで始めさせていただいております。

阿弥陀さまの「ご本願」とは

 浄土真宗、いや、この私の日暮らしにおいて、そのすべてを支え、導いてくださるものそれがご本願であります。
 ご本願、阿弥陀さまが私の日暮らしを支え、私を覚りの身にするためにおたてくださった私に対する救済計画。

 『仏説無量寿経』というお経さまにはご本願が建てられた理由が物語として説かれています。

 「ご本願」だいぶん前に言葉の意味についてお聞かせをいただいたことがあったと思います。

 いずれにしても阿弥陀さまの願いであります。

願い とは

 願いとは私に“あなたは、こうなってほしい”“あなたは、こうならねばならないのだよ”という思いであり、おはたらきであります。
 『仏説無量寿経』には、そのご本願をおたてになるにあたって、


すなはちために広く二百一十億の諸仏の刹土の天・人の善悪、国土の粗妙を説きて、その心願に応じてことごとく現じてこれを与へたまふ。時にかの比丘、仏の所説を聞きて、厳浄の国土みなことごとく覩見して無上殊勝の願を超発せり。


と説かれています。

 親鸞聖人がお正信偈に


「覩見諸仏浄土因 国土人天之善悪 建立無上殊勝願 超発希有大弘誓」(諸仏の浄土の因、国土人天の善悪を覩見して、無上殊勝の願を建立し、希有の大弘誓を超発せり。)


と讃詠なさるところであります。

 阿弥陀さまが、ご本願をおたてになろうとする時にあらゆる仏さま方の国の勝れたところと至らないところ、その国にすむ人たちの素晴らしいところと及ばないところをつぶさにご覧になられたというのであります。

 そのときにハッキリと分かったことがあった。

 ここが素晴らしい、これが勝れれているということではなく、今までの仏さまの救いのおはたらきにはどこを見ても“この私の救いは考慮されていなかった”ということであります。

 あらゆる仏さま方の救いから漏れた“この私”を救いきるためには「希有の大弘誓を超発」今までの仏さまも考えつくことの出来なかった願いを発さなければならなかったのであります。

 それは、救おうとする者に「これだけしてこい」という条件をつけずに、救う側の方が救おうとする者に届いてはたらきかけてゆくというものでした。

 それが、今、私の心に届いている、口から出てくださっている「なんまんだぶ」というお念仏なのです。阿弥陀さまに願われ包まれているのですね。  

合 掌


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