好きな人が白燕尾を着るということ(雪組「ライラックの夢路」「ジュエル・ド・パリ!!」観劇日記)


 大好きな人が白燕尾を着て踊ることは、宝塚のファンになって一番幸福なことなのかもしれないなと思います。雪組のジュエルドパリがすごくいいショーで、でもそれはもしかしたら私のすごく好きな人が出てるからかもなぁ〜と思うんですけど。白燕尾って今まであんまりよく分かってなくて、もちろん素敵だなとは思うけど、それよりとにかく黒燕尾が好きだったんです。人によって魅せ方が全然違うけど、そこにその人の男役が一番よく現れていて、それを見ることができるのが幸せだった。黒燕尾は、目の前の人が見ている夢が見える感じです。ただ白燕尾は、今回見て知ったけど、その人をすごく好きな私の、焦がれる感情の表れみたいな場面なんだなぁって。好きな人が着ることが一番意味のある衣装なんだなぁと思います。
 黒燕尾は夢で、白燕尾は恋なのかなぁ。

 すごく好きだなぁって気持ちだけがたくさんあり、ここで何を書けばいいのか何もわからなくなってるんですけど、私桜路さんがすーごく好きで、桜路さんの白燕尾見れてそれがすごく嬉しい。という話をずっとしてこのnoteを終わらせたくらいですけど手紙にしたらいいのでそれは置いときますが……。
 あとカンカン……カンカン……。なおちゃん(桜路さん)が超かわいい……ってなってもうあんま何も考えられてないんですけどあのシーン、なんなんですか?私は桜路さんの表情がくるくるくるくるくる変わるところが元々すごい好きで、何よりその表情がいつも客席への反応としてその時その時に生まれてるのが大好きで、こんなにも客席全体のこと瞬間瞬間で大切にしてる人……本当に……本当に好き……といつも思ってて、そしてそのくるくる変わる表情が女の子の姿で起きるとその変化の鮮やかさが全部おひさまみたいにかわいく見えて、私はもうダメだ。もうダメなんです……。こういう話を聞いてもらえる窓口とかないんですか? 懺悔室とかかな!? カンカンのあとが私にとって絶対的愛の白燕尾なのもすごすぎる、心の耐久性が鉄レベルじゃないと耐えられないやつじゃん……。毎回、感受性の筋トレみたいになっています。
 桜路さんはカンカンで眞ノ宮さんと組むんだけど、そのあと前に出て客席煽ってから、眞ノ宮さんに男役の表情で反応してるのも男役の表情のままなのにその状況がとてもかわいいんですけど私はどうしたらいいのか……。最大に好きな男役がかわいい女の子の姿で現れて男役の表情をしててそれがかわいい時の心の整理の付け方の本とか出てないんですか?こんなに緊急なのに?もう何もわからない、大好きということしか……そう思うと、このあと白燕尾になるのは正しいのかもしれない。大好きなことしかわからん……になってから始まる白燕尾って何?息をするなってことですか?

 桜路さんの白燕尾の素敵なところ、たくさんあるけど一つはめちゃめちゃ衣装がビシって毎秒決まってるところ。センセーショナルのunder my skinも全部がビシって決まってるのが大好きだった。ああいう姿を見るたびに桜路さんは強くて大胆な印象が強い人だけど、でも本当に一つ一つの動きは神経が隅々まで通ってて、そこにとても品があって、それを見せ方で大胆に見せてるんだなぁって思う。(私は先日95期文化祭の映像見てて、もう既に桜路さんの踊り方だった桜路さんを見つけて、ヤッーーーーー!ってなりました。)私は、桜路さんが大切にしてる品が色んな場面でチラチラ見えるのが本当に大好きで、淡々と静かに本人の中で一貫して守られているそのあり方に、本当に本当に心が凛とした人だなぁっていつも思うんだけど、初舞台生へのメッセージにまさしく「品」のことが書かれてて読んだ時、泣きそうだった。あとこのメッセージ最初がタメ口なのに最後が敬語になるの、本当に人柄出てて好き……いいメッセージ……(オタクの感想すぎる)。桜路さんの品の良さと大胆な見せ方の重なり方が好きで、そしてそういうところ、とても宝塚な人だなぁって思います。夢介とセンセーショナルで好きになってから一年が経とうとしてて、そのタイミングで白燕尾に出会ってしまったの、私は幸せすぎるのかもしれない。センセーショナルも、宝塚らしい良さが詰まっていて、そしてそれにすごく誠実な桜路さんがいた。桜路さんは場面によって自分の見せ方が全然違っていて、すごく場面が何を見せようとしてるかを大切にしてる人なんだなと思う。それなのに何かが一貫して見えていて、それが多分あの人のかっこいいところなんだな。場面によって違うのにでも場面に溶け込みきらずに、そこにちゃんと唯一の人がいる。
 誰かに聞いてほしいけど聞いてくれそうな人がいないのでここに書いているんです。noteがあってよかった……。シルクハットのところも、涼花さんとの芸術家とモデルのシーンもすみれのところも好き。すみれでもう8種類くらい髪型見てるけどどうなってるんだ。あと「ライラックの夢路」のシンケルさん(桜路さん)がすごく人として好きな人で、最後にその話をするぞ。

 シンケルとアイヒタールがハインドリヒの家に来て、ホフマンを説得するシーンで、帽子を預かりに来たメイドさんにすごく不満げな顔をシンケルさんがいつもする。シンケルさんの身分はわからないのだけど、上流階級的なものや階級制度そのものがそんな好きじゃないんだろうな〜とこの動作で感じる。ハインドリヒのことも個人としてしか見てなくて「貴族」という認識では捉えてないんだろう。このシーンは帽子を差し出す手がしぶしぶで絶妙にゆっくりなときとかあって、そのあとアイヒタールに何か苦言のようなものを言おうとしてたりとか、そういう一連の動きで、地位とかが生まれながらに決まることにすごく疑問がある人なのだとそれ関係のセリフはひとつもないのにひしひしと感じる。こういう人、このお話の中だとほとんどいないんですよね。時代が時代なのもあり、ほとんど階級ありきでお話が進むから……。このあとの「ライラックが咲いてる時期にもお邪魔したいものですなぁ」っていうホフマンさんの言葉にも、早く本題に入って欲しそうな顔をして聞いていて、社交界の空気にほぼほぼ馴染めてないのがすごくシンケルさんの性格として出ていて好きだった。何よりそれが大切な場所で露骨に顔に出るのも不器用すぎてよくて……。志に対してまっすぐで、そして全部素直で顔に出てしまう人。そういう人が、関税同盟が結ばれた時に、新聞を握りしめて一人めちゃめちゃ喜びを噛み締めてはけていくのが、すっごく素敵で、それに気づいたとき私はシンケルさんが大好きになった。(元々桜路さんだから好きだけど、シンケルさんが好きになった。)断片的に見ると気難しそうなのに、ずっと見てると素直でまっすぐで、ただその正直さで誤解されがちなところもある人なんだろうな〜って思う。クリスマスの街の場面でアイヒタールがホフマンと話している時、ホフマンの連れに話しかけられるシーンがあるんだけれど、彼らに対応しつつ完全に気がそぞろで、ホフマンの方ばかり気にしてるのがとても不器用ででも連れの二人には優しくしていてすごくいい……。(その気がそぞろな感じを穏やかな二人の連れはまったく気にしてないのもいい……。)私はこういう正直すぎて不器用さのある役やキャラクターがとても好きで、それは自分にも不器用さには身に覚えがあって、なおかつこういう人物は描き方によってはかなり冷たくなったり不機嫌に見えたりするんだけど、そうではなくその人物に本当に寄り添って演じる人が現れると、一気にそのキャラクターの内面が見えて、愛着が持てるというか……全然別人のように変わるのが本当に素晴らしいと感じるからなんです。シンケルさんで一番素敵なのは、最後に投資が足りないってなった時、シンケルさんは顔に全部気持ちが出るのでうまく計画が進まなくて最初かなり焦るし苛立つんですけど、周囲がハインドリヒを責める雰囲気になったときはちょっと戸惑っており、こういうところがすごくいいなと思う。ハインドリヒを貴族だからって目で見てない表れでもあるし……。「根がいい人!」って書いた大漁旗を振りたくなります。シンケルさんみたいな人が私は好きだし、なんと中の人が大好きな桜路さんや!っていうので、ずっと見てられる。この世に株式というシステムがあってよかったなぁ(今回株式が全てを救ったと思ってるので)。シンケルさんが喜んでるので私はこの話をいつもよかったよかった(拍手)って思って見終わってます。あとは製鉄所の場面が好きです。気づくと雪組はほぼ全員の顔と名前がわかるようになっている……。

 大劇場が全公演幕が上がってよかったです。初舞台生のロケットが見られたのが私はとても嬉しかった!ミモザちゃんたち〜。おめでとうございます!