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ちょっと神宮球場へ。

東京で一番好きな場所が、ここ。

神宮球場。

ビルの周りにポッカリとここに平面が広がっているような、空気が好き。

日常生活の権化、戦いのワンダーランドのような町に突如現れる、日常と非日常の交差点のようなフィールド。これが、いい。

カクテル光線が照らすのは、選手。対照として、眩い光に包まれる彼らを見つめる僕たち。憧れの視線。好奇の視線。羨望の視線。それらが交わるフィールド。歓声の中に、乾いたバットの音の中に、トランペットの旋律の中に、傘に反射するナイター照明の煌めきの中に、それを探して。みんなで探して。

この球場の片隅は自由席だった。早めに頑張って並んで席を取って、夕闇が迫る時間帯に、自分の席を取ったあと、スタンドを移動しながら人間観察をするのが好きだった。

あの人、誰のユニフォームを着てるんだろう、筒香かな、梶谷かな。
トランペットの練習が始まった。今日は新人さんが来ているのかな。
またあの人がビールを売りに来た、きっと常連さんを探しているのかな。

来年から、神宮は全面指定席になるという。残念だが、それだけ多くのお客様がいらしてくれることだろうから、不満は言うまい。

神宮球場閉場まで、あと10年。