Turn Table
一般的に、蒸気機関車は正面を向いた状態で走行する前提で使用される。
終着駅で折り返す際には、給水などの整備をするタイミングで、駅構内にある「転車台」を使って向きを変える。
読んで字の如く、である。
かつて、日本中の終着駅やターミナル駅に、この装置が存在した。
そんなに重たいものが回るのかい?
いやいや、動きだしてしまえばスグでござい、と言わんばかりに、100トンの巨体はクルリと旋回した。
人力で動いたり、電気で動いたり。
それこそ、昭和中期にはボイラーにホースを繋いで、蒸気圧力で回転するものも存在したという。
転車台という場所は、機関車と人間が共に「一休み」する瞬間を見ることができる場所として、僕はたまらなく好きなのだ。
日本各地に存在した転車台。現役のものも数多いが、放置され自然に帰りつつあるものも多い。
この国において、陸上交通の王者として汽車が君臨していた時代の遺産である。
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[岩手県内に現存する転車台] → 盛岡、一ノ関、釜石、荒屋新町
[岩手県内で撤去された転車台] → 一戸、好摩、北上、陸中川尻(現・ほっとゆだ)、久慈、宮古、平津戸、茂市、浅内、盛
[不詳/立地上存在していたと思われるが、文献散逸のため確証無し] → 遠野、橋場、沼宮内
いまの駅の規模から見ると「え?そんな小駅にも転車台が?」というものも多い。それだけ過疎が進んでいるとか、汽車の航続距離が伸びたとかしてるんだろうな。
橋場は、現在の雫石町の道の駅付近に戦前まで存在した終着駅。戦後、田沢湖線となり現在は秋田新幹線が走るが、ルート変更に伴い、橋場地区から鉄路は撤去されている。