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【2023/8/7】ハーゲンダッツが溶けるスピードより早い

言葉は生ものであり、声や文字にして出さない限りいつかは溶けて無くなってしまう。

そう気づいたのは27の夏。文筆業をしている割に、自分の文章に自信がないのが悩みだった。どうしたらうまく伝えることができるのか、相手に届けられるのか。文章術の本やネットの記事を読んでは、自分の身になってないようなモヤモヤとした気持ちだけが残っていった。

そんな時にふとiPhoneのメモを見返していたら、学生時代に書いたであろう日常のささいな記録がいくつか残されていた。そこには当時の葛藤や刺さった曲のフレーズなど、消え掛かっていた私の純粋な感情が記されていた。誰に伝えるわけでもなく、ただ記録として残していたものに、こんなにも心を動かされるとは。

文章にテクニックなどいらない。語彙力なんてあとから付いてくるものだし、一見美しいと思われる言葉も感情が乗ってなければそれはただの音にしかならない。そのときに素直に思ったことをすぐにアウトプットするだけでいいと、過去の自分が教えてくれた。脳内のノイズが多いせいで、せっかく生まれた尊い感情さえも見失ってしまうのは勿体ない。

気持ちの移ろいのスピードは侮れないから、もしその言葉を誰かに伝えたいと思ったならば、できればその瞬間に記すべき。LINE、電話、手紙。それか、会いに行って届けるのもいいかも。手段はなんでも構わない。あれやこれやと余計な心配をするくらいなら、その程度の感情だったってことだ。深夜1時に冷凍庫から取り出した、ハーゲンダッツのバニラが溶ける前に、早く。

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