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朝食から豪勢に雷魚のバンカン

今朝は普段と違う地域を歩いてみたくなって、ニュウロック運河 (kênh Nhiều Lộc)  からキェウ 橋 (Cầu Kiệu) を渡ってフーニャン市場 (Chợ Phú Nhuận) へ。

市場で何か野菜でも買おうかと歩き回ってみたけど、めぼしいものが見つからなくて結局何も買わずじまい。

それよりも市場の手前で見たある看板が気になって仕方なかった。

雷魚のバンカン

市場の手前にあったのは「雷魚の バンカン (bánh canh cá lóc) 」の看板だった。

バンカン自体は日常頻繁に食べる麺ではない。めったに食べない種類の麺といったほうがいい。

バンカンはメコンデルタの特産品とされる麺で、これまではてっきりタピオカしか作られるないものだと思っていたが、米粉からも作られるらしい。今朝の店の看板にも大きく米粉と出ていた。

最近フーコック島に足繁く通うようになってから、やたらバンカンが心に留まるようになっていた。島でバンカンを使った料理が目につくからだ。

調べたところをバンカンはメコンデルタの特産とのこと。メコンデルタ地域の沖に浮かぶフーコック島で見かけるのはだからだからなのだ。

バンカンを使った料理と言えば、豚足だとか蟹だとかが具材としてはよく知られていて、そういった「大物」の具材とのコンビ料理のイメージがある。ベトナム人にとっては雷魚は大のごちそうなので、雷魚のバンカンも十分ありだなと思った。

朝から豪勢に

最近は歩道の占有に関して政府がうるさく言うようになってるのでこの店も店の中にバイクを停めてあった。店に入ると壁にメニューの写真があったが、 見たところ、雷魚のバンカンのようだった。看板にある通り雷魚のバンカンが目当てなので、店の女の子に「一杯ください」と頼んだ。

店の女の子が「頭にしますかしっぽにしますか」と尋ねたので迷わず「頭ください」と答えた。「頭ですかあ」と彼女はちょっと驚いたように繰り返した。「朝から頭とは豪勢ですねえ」とでも言いたげに。

付け合わせの野菜についても湯通しか生のままが訊かれ、生を頼んだ。

そして待つこと、数分。

丼2杯がやってきた。

「こちらが雷魚の頭で、こちらがバンカンです」と言いながら、女の子が2つの丼を私の目の前に置く。その後から野菜の入ったザルも。

朝から実に豪勢だ。

いよいよ、いただきます

雷魚の頭には内蔵までついていて、これが最高に美味い。

雷魚の頭を頼んだのはこいつを食べるだけのためと言ってもいいくらいだ。

麺のほうはほっておいて、早速内蔵をいただく。脂肪分が多いのだが、魚なのでギトギトして、さほどしつこさがない。

柔らかい内臓の大きな塊をそのまま頬張ると、トロリとした甘さが馥郁と口いっぱいに広がった。これを注文して良かったわいと思った。そして、その後、頭部の骨にまとわりつく魚肉にも箸をつける。

頭の入った丼のスープは魚の旨味や小さな身も溶け込んでいるので、これも食べないわけにはいかない。スプーンで掬って、麺の丼のほうへ注ぎ足す。

米粉から作ったバンカンの麺はタピオカから作ったものとは違い、つるつるしていないし、ネットリ感もない。舌触りは日本のうどんによく似ている。

ベトナムには麺類は豊富にあって、「日本のうどんに似た」という表現がいろいろな麺で使われるが、一番似ているのはこの米粉から作ったバンカンだろう。

あとから色々調べてわかったのだが、米粉のバンカンを使った雷魚のバンカンは中部フエの定番の料理らしい。テーブルの上に唐辛子がおいてあったのは中部料理に欠かせない調味料だからだったのだ。

今回は唐辛子なしで食べてみたが、次回は薬味を加えてみたい。

ともあれ、1杯5万ドン(約250円)の豪勢な雷魚の頭のバンカンはお買い得。近いうちにまた来ることになるだろう。

習得困難な #ベトナム語 を巧みに操り交渉事を纏める「ベトナムの達人」#サイゴン 在住23年を経て2018年から #ハノイ 住まい。本業は #アパレル #生産#ベトナム の今を呟く。