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二の人

白市「もしもし?」

凡内「はいはい、どうしたの?」

白市「落ち込んでるの?」

凡内「落ち込んで…ないよ」

白市「落ち込んでるじゃん!」

凡内「うるさいなぁ…どうしたの?」

白市「妬いてるの?」

凡内「何に?」

白市「私さ、同窓会に行っても浮気なんかしないよ?」

凡内「うん…わかってるよ」

白市「ほら、凡内」

凡内「何?」

(ガサガサガサガサ…)

凡内「何?なんか雑音が…」

白市「落ち着いた?」

凡内「いや…何が?」

白市「赤ちゃんってね、スーパーの袋をガサガサやる音で泣き止むの」

凡内「俺赤ちゃんなの?俺泣いてたの?」

(ガサガサガサガサ…)

凡内「ちょ…うるさいよ白市」

白市「元気になって良かった」

凡内「ただのクレームだよ」

白市「同窓会…一緒に来る?そうしよっか。ね?一緒に行こう?」

凡内「いやいや、俺誰なの?あいつ誰ってなるじゃん。住んでたところも歳も違うし」

白市「カウンターに座ってればいいじゃん」

凡内「なんで俺一人をカウンターに座らせるの?可哀相だよ。あいつ誰ってなるじゃん」

白市「お店貸し切りのはずなのに知らない人がいるよってね」

凡内「ってね、じゃないよ」

白市「私の隣にいてもいいけど、たぶんみんなびっくりするよ?」

凡内「紹介しないんだ。俺もびっくりするよ。そいつらよりも先に俺がびっくりした顔してやるよ」

白市「ほーら、怒らないの」

(ガサガサガサガサ…)

凡内「ちょっ…もう、うるさいなぁ…別に俺は妬いてもないし不安にも思ってないよ」

白市「じゃぁなんでそんな泣きそうなの?」

凡内「別に…泣きそうじゃないけど」

白市「可愛いー!ガサガサガサガサ…!」

凡内「ガサガサがでかいよ。あのね、もう嘘つかないでねって、それだけ」

白市「あぁ…」

凡内「それだけ。白市が嘘ついたとか、俺が嘘つかれたとかは思ってないけど、ああいうのはもう嫌だなって」

白市「あれは…そうだね。あの時は本当にごめ…ゴクッ…んね」

凡内「なんでごめんの途中で水飲んだの?」

白市「お茶だよ」

凡内「お茶だよじゃないよ。なんなんだ」

白市「ほーら、凡内!すーきっ」

(ガサガサガサガサ…)

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