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うお
さかなは 太陽をしらなかった
水の中には色そのものが 形を変え揺れていた
色の降ってくる空には水鳥や舟の影があって、たまに手紙のように木の実がゆれながらおちてきた
そこには道も階段もなかったから
さかなは 落下する夢をみることはなかった
さかなは 雨をしらなかった
色の消えた薄暗い空に無数の環をみることはあったが
雨粒は空にいつもとけていった
水をたどって さかなは何処へでもゆけたが
運命のような流れや渦を鰭はうけとめ
さかなは ゆれる色のあいだを遡上していった。
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