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10℃有効積算温度は、収穫期予測に使えるか?


始めに(気象庁観測データを収穫時期予測に活用する試み)

野菜の収穫時期を気象データから予測する事は可能でしょうか?
畑にセンサーを張り巡らしてデータを取る試みもなされていますが、気象庁は全国の観測点で日々気温や降水量等のデータを積み上げ、発表しています。
ウェブサイトで自由に無料でダウンロードできます。
それらのデータを使って、野菜の収穫時期を予測できないでしょうか?

2024年春の葉菜と根菜の収穫時期

実際に、見沼菜園クラブでこの春の葉菜や根菜類の収穫時期と気象庁のさいたま市の観測データを比較してみました。

表1.最高気温積算値600℃到達日
     1/15起点 2/15起点 3/15起点
到達日  3/4    3/30   4/17

まず、日々の最高気温を単純に足し合わせた「積算値」を計算してみると、600℃に達したのは、表1の通りです。
1月まき、2月まき、3月まきともだいたい月半ば頃に葉物や根菜類の種まきをしています。
そして、600℃到達時点では、小松菜は、まだ収穫期を迎えていませんでした。

「最高気温積算値1000℃」を収穫目安にできるか?

表2.最高気温積算値1000℃到達日
     1/15起点 2/15起点 3/15起点
到達日  4/1    4/18   5/4

では、積算値が1000℃に到達した日ではどうでしょうか?
1月まきの小松菜は4/4頃、2月まきは4/18頃、収穫しており、1000℃到達日とほぼ一致します。なお、2月まき分はやや育ちすぎで収穫していました。
ただ、3月まきのものは、4月中下旬には収穫しており、2月まきのものと1週間程度の差しかありませんでした。
1000℃到達日の5/4とはやや開きがあるように思われます。

10℃有効積算気温ではどうなるか?

次に毎日の最高気温から10℃を差し引いた値(10℃有効積算気温)を計算してみました。
野菜の生長をもたらしているのは「光合成」です。光合成はだいたい気温5℃前後から行われるようになります。そして、午前中が最も盛んな時間帯です。
他方、日最高気温は午後2時頃、つまり、光合成が活発に行われる時間を過ぎてから記録されます。
「最高気温マイナス10℃」と言うのは、「光合成時間帯」の午前中に光合成が進む温度(5℃)に達しているかどうか、逆を言えば、「最高気温マイナス10℃」が0℃以下(つまり最高気温10℃以下の日)には、光合成がほとんど進まず、野菜の生長が期待できないと考えて積算すると言う考え方になっていると言えます。

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