「農林水産業の健全な発展」と言う文言はどの法律に出てくるか?

鳥獣保護管理法が言う「生活環境」とは何を指しているのか、裏山のシカが畑のキャベツを食べてしまったと言う場合、

シカを指しているのか、キャベツを指しているのか、

この点を考えるため、考察を続けていきたいと思います。

鳥獣保護管理法は、制定目的の中で

「生物の多様性の確保」、「生活環境の保全」、「農林水産業の健全な発展」の3つへの寄与を唱っています。

「生物多様性」と言う文言については、自然環境保護法の制定目的に出てきます。

では、「農林水産業の健全な発展」と言う文言は、どの法律に出てくるのでしょうか。

食料・農業・農村基本法第一条にはこうあります。

 この法律は、食料、農業及び農村に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。

つまり、旧農業基本法に代わって制定された農業政策の基礎となる食料・農業・農村基本法の制定目的には、

「農林水産業の健全な発展」と言う文言は出てきていない事がわかります。

では、旧農業基本法はどうかと言うと、

(前文)

わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、国民食糧その他の農産物の供給、資源の有効利用、国土の保全、国内市場の拡大等国民経済の発展と国民生活の安定に寄与してきた。また、農業従事者は、このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。
われらは、このような農業及び農業従事者の使命が今後においても変わることなく、民主的で文化的な国家の建設にとつてきわめて重要な意義を持ち続けると確信する。
しかるに、近時、経済の著しい発展に伴なつて農業と他産業との間において生産性及び従事者の生活水準の格差が拡大しつつある。他方、農産物の消費構造にも変化が生じ、また、他産業への労働力の移動の現象が見られる。
このような事態に対処して、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、農業従事者の自由な意志と創意工夫を尊重しつつ、農業の近代化と合理化を図つて、農業従事者が他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにすることは、農業及び農業従事者の使命にこたえるゆえんのものであるとともに、公共の福祉を念願するわれら国民の責務に属するものである。
ここに、農業の向うべき新たなみちを明らかにし、農業に関する政策の目標を示すため、この法律を制定する。

第一条

国の農業に関する政策の目標は、農業及び農業従事者が産業、経済及び社会において果たすべき重要な使命にかんがみて、国民経済の成長発展及び社会生活の進歩向上に即応し、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように農業の生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることにあるものとする。

と書かれています。

前文と第一条から読み取れるのは、

旧農業基本法は農業従事者が所得を増大して他産業従事者、他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営めるようにすることを目的としており、

ここにも「農林水産業の健全な発展」と言う文言は出てきていないと言うことです。

では、「農林水産業の健全な発展」と言う文言は、一体どこに由来しているのでしょうか?

なお、旧農業基本法が、「農業従事者が他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営めるようにすること」が「公共の福祉」を念願する国民の責務にも叶うと述べている事は、「公共の福祉」について考察していく上で手がかりになりそうな事だと思われますので、

今回は深入りはしませんが、記憶に留めておきたいと思います。



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