多様な幸(さち)が採れる菜園づくり
台風19号で、見沼菜園クラブCファームは、いったん水に浸かったようです。
2日後に見に行った時は、水は引いていましたが、
野菜の葉が泥にまみれているのが、
水没した事を物語っていました。
その時は、どの野菜も元気に見えたのですが、
数日して異変が起きてきました。
萎れたようになる野菜が増えてきたのです。
どうやら、水没していた間、根が呼吸できなかったため、
根腐れを起こしてしまった苗があるようです。
9月~10月前半、順調に秋の葉物類の種まきが続いてきたのですが、
発芽し、育ち始めたばかりのそれらの葉物が、
かなりダメージを受けました。
もちろん、蒔き直しはしていますが、
ダメージを受けた事に変わりありません。
今後、少しでもこうしたトラブルの再発を防ぐにはどうしたらいいか?
今回、各地の様子をみていて、河川敷のグラウンドなどが水没したものの
堤防の決壊や浸水は免れたり、最小限に抑えられたりした例があることに気づきました。
つまり、川岸からすぐ堤防が立ち上がるのではなく、
岸から堤防までの間、「あそび」の空間があって、
増水した場合、その空間である程度水を湛え、
決壊を防いでいるわけです。
見沼菜園クラブCファームの場合、
すぐそばを流れる芝川に水を逃がす水路があります。
その水路に向けて、水はけをよくするために溝を掘ったのですが、
水路の水位より溝の水位が低くては水は逃げていきません。
そこで、溝底が水路の底より高くなるように、
溝の深さを一定以下に抑えて溝掘りをしました。
また、溝を掘った土を溝際に土手状に盛り上げ、
「堤防」の役割を果たすようにもしました。
今回感じたのは、
もう少し、この「土手」を溝際から離し、
溝を拡幅し、溝際と土手の間に、若干の「あそび」があるようにしたら
どうか、
また、その時に掘った土を、菜園の内部に盛り、菜園全体の地面が
底上げするようにしたらどうかと言うことです。
水路は菜園の南側と東西にあります。
南側に近いところは、溝際に生えている木の根などもあり、
あまり野菜を植えるのにむいていません。
今まで使っていた人も雑草が生えるままにしていたり、
せいぜい、取った雑草を堆肥にすべく積み上げるスペースに
している程度でした。
この部分を掘り下げ、「遊水地」のようにしたらどうだろう?
掘った土はやはり菜園の内側に盛り上げ、底上げに使います。
つまり、低いところは低く、
高いところは高くと、「メリハリ」をつけてみたらどうだろう?
次回から多少は冠水しにくくなるのではないか
こんな話を近所の農家や農地利用推進委員の方にお話していたら、
実は、昔、一つの畑の中に
低い部分と高い部分を作った例があると言うお話を聞かせて下さった方がいました。
水が溜まりやすい低い部分ではセリやクワイ、稲を育て、
高い部分は普通に野菜を育てる、
そういう風に使っていた例があるというのです。
これは面白いアイデアだと思いました。
既に見沼菜園クラブでは畝の間に溝を掘り、
溝の周りにセリを植えて繁茂させ、
雑草を防ぐことに成功している部分があります。
溝や「遊水地」を掘って、ここにセリを植え替えて育てれば、
セリはセリとして収穫して、販売もできます。
低地部分では、クワイを育てるのも面白いでしょう。
他に湿地環境で育つ植物としては、クレソンやマコモなどもあります。
水辺と「陸(おか)」、多様な幸(さち)が採れる菜園づくり、
来年に向けて計画していきたいと思います。