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「日本は先進国だとは言え、まだまだ、かなり古臭い部分も残っている。」

皆さんはこういう風な言葉を一度や二度聞いた事があると思います。

戦前は日本資本主義論争と言うのがありました。

わかりやすく言うとこの論争は、明治維新以降近代化した日本は、発達した資本主義国と言えるのか、それとも半分封建社会のままなのかと言う議論でした。

「先進国になったとは言え、古臭い部分が残っている」と評される事が多い日本の「先進国度合い」、「古臭さ度合い」がどの程度なのかの論争だったと見ることもできます。

もっとも、「貧国強兵 特攻への道(森本忠夫 光人社)」によると、1925(大正14年)、日本の国内総生産のうち、農林水産業が28.1%、鉱業1.9%、製造業19.5%、建設業5.7%、電気・ガス・水道業2.9%、運輸。通信業は7.7%、商業・サービス業は34.2%だったとの事です。

同書では当時、アメリカが農林水産業11.2%、鉱業2.4%、製造業23.8%、建設業は4.1%、電気・ガス・水道業及び運輸通信業は11.0%、商業・サービス業は47.5%だったと述べています。

そして、アメリカについては「第三次産業が大幅に躍進する近代的産業構造が形成されていた」、「米国の国内経済をめぐる産業構造と比べて、日本のそれは、依然として極めて後進的な構造から脱却していなかった」としています。

既に1900年(明治23年)にアメリカの就業者構成比で第一次産業27%に対し、第二次産業30%だったのに対し、日本がそうなったのは1958~1963年頃、つまり、高度経済成長が始まった時代だったとしています。

日本資本主義論争は、1920年代に行われています。当時の日本の産業構造は、まだまだ第一次産業のウェイトが高く、第三次産業のそれは低かったので、欧米と比較した場合、後進的と評価せざる得なかったと思われます。

では、高度経済成長を経て、近代的な産業構造が成立してから数十年を経た今の日本はどうでしょうか。

2017年の日本のGDP構成は、第一次産業1.2%、第三次産業72.1%です。

商業・サービス業・金融業・運輸・通信等の第三次産業中心と言うより、第三次産業がほとんどを占める産業構造だと言ってよい状態です。

ですから、今の日本は、戦前、日本資本主義論争が行われた時代に比較すれば、超々高度に発達した資本主義社会だと言えるでしょう。

それでは、その超々高度に発達した資本主義社会には、もう古臭い体質は残っていないのか?、まだまだ、けっこう残っているのか?

そして、その超々高度に発達した資本主義社会での農業の明日をどう考えるか?、

このシリーズでは、それを考えていきたいと思います。




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