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将来を見据えて生ゴミの堆肥化を進めるべきだと思う

なんで、生ゴミの堆肥化なのか、

まず、農業の側から考えてみます。

農作物は「土」の上で育つわけですが、ではその「土」とはどのような存在でしょうか。

水はH2Oと言う物質です。空気は窒素ガス(N2)が79%、酸素ガス(O2)が20.8%、残りが微量成分と呼ばれる様々な種類の気体の混合物です。

土はシリカアルミナ鉱物(nSiO2・mAl2O3)に生物の遺体が分解されたものが付加し、土壌水や土壌中の空気も含めて成り立っている「生きているシステム」で、この「生きているシステム」を成り立たせているのが「団粒構造」と呼ばれる土のあり方です。

この団粒構造を維持するためには有機物の追加投入が必要で、化学合成された硫安などのいわゆる「化学肥料」にはこの団粒構造維持機能はありません。

有機栽培でなく、化学肥料を使う農業をしている場合でも牛ふん堆肥等、有機物を使用している農家は存在します。

この場合、堆肥は「土づくり」、つまり、団粒構造の維持と土の団粒化増進のために使われていると考える事が出来ます。

では、牛ふんのような「畜産廃棄物」が堆肥として出回るようになった状況はどうして出現したかと言うと、1960年代以降、日本で「耕畜分離」、すなわち、耕作してお米や野菜を作る農業と畜産業が分れて成立するようになった事が背景にあります。

江戸時代末期、開国した日本にやってきたアメリカ公使ハリスの日記を読むと牛乳が飲みたいと言う話が書かれています。

日本側:日本ではあれは子牛の飲み物です。あなたにあげる牛乳はありません。

ハリス:では一頭譲ってくれ。自分で牛を飼うから。

日本側:日本では牛は田畑を耕すものです。あなたにあげる牛はありません。

「牛は田畑を耕すもので牛乳を得るためのものではない」と言う状況は、実は第二次世界大戦後まで続いていました。

この状況が変わりだすのは1960年頃、日本が高度経済成長期に差し掛かったあたりからです。

(続く)

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