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何のための田舎暮らしか分からなくなる事もある「完全移住型」~通作型半農生活のススメ(2)


「通作型」半農生活、つまり、通勤や通学のように農地に通って耕作する方式に対比されるのは「完全移住型」です。


つまり、都会のおウチに住むのをやめて、完全に田舎に移住してしまうやり方です。

実際問題として、この完全移住型にはいろいろな問題があります。実行に移すと、なんのために田舎暮らしをしたんだっけとわからなくなるような事にもなりかねません。
(だから、通作型をオススメしているのですが・・・)

収入が減って負担が増えて・・・


完全移住型の問題点の一つは、今までの仕事を辞めてしまうことにあります。
予め、移住先で条件の良い仕事を見つけておいてとか、今までの仕事をリモートで続けられるとかと言うなら、ともかく、今までの仕事を辞めて移り住んでしまった場合、収入が「ゼロ」になってしまいます。

一般的に言って、「田舎」の方が都会より賃金は安いです。(物価も安いかもしれませんが・・・。)それに、都会ほど沢山仕事はありません。

どうしても生活を切り詰めて暮らす事になります。
特に都会のおウチの方も残したままと言うことになると、田舎のおウチと都会のおウチ、両方の維持費を負担しなければなりません。

都会のおウチのローンが残ったままだと、これまでより低収入なのに負担は増えると言うことになってしまいます。

勢い、お金を稼ぐため長時間労働や休日出勤をするようにもなってしまいます。

ストレスの多い都会の暮らしや仕事を辞め、多少、生活水準が下がっても、のんびり暮らすのが田舎暮らしに踏み切った目的なんだとすれば、なんのためだったか分からなくなってしまう可能性があると述べたのは、こういう事です。

完全移住型でも、おウチから田畑に通う形になることがかなりある。

それと、完全移住型の田舎暮らしでもけっこう「通作型」になることが多いと思われます。

日本には山がちの地形で大規模平野が少ない国です。
このため、多くの地方都市はちょっとした広さの平野部と近郊の丘陵里山山林地帯からなっています。

平野部の半分とか4割とか6割とかが市街地でそれ以外が田畑になっている例が多く見受けられます。

市街地の方は、市役所や公民館等の公共施設、病院・保育所・学校等の生活施設、ショッピングセンターやコンビニ、ホームセンターなどがあります。

もともと大して広くない平野部の半分程度にこうした施設が集中しているため、「チャリ」で回れる範囲の中に収まっていることも少なくありません。
(その意味では、「暮らしやすい」とも言えます。)

ただ、田畑の方は市街地でない場所にあるので、市街地に田舎のおウチを確保した場合、結局、「川向うの畑」におウチから通う形になります。

「完全移住型」の田舎暮らしでも、通作型になってしまうことが往々にしてあるのです。

田舎の市街地でない場所に住んだら・・・

だったら、田舎の市街地でない場所に住んで、おウチの前に田畑がある場所で暮せばいいかと言うと、そうでもないのです。

なんとなれば、田舎の市街地でない場所、つまり、農村部の地方都市でない「田舎の田舎」には、ほとんど仕事がありません。

田舎の都会=地方都市には、いろいろな施設があると言うことは、それらの施設で働く仕事があると言うことです。
田舎の市街地でない場所にはそれらの施設はありません。これは働く場所もないことを意味しています。

一定の現金収入を得るには、「遠距離通勤」が必要になってきます。のんびり暮らしたいと言って田舎暮らしを始めて、通勤に時間がかかるのでは、やはりなんのために田舎ぐらしを始めたのか分からなくなります。

市街地と市街地でない場所の「中間」ぐらいに位置する場所に、直売所とか、工場とか、倉庫とか、中古車販売店がある場合はあります。
こうした場所では仕事もあります。
ただ、こういうところに勤めて、田舎暮らしをするのだったら、都会でも郊外には直売所、工場や倉庫、中古車販売店はたくさんあります。都会に住んで通作型半農生活をおくればよいと思います。

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