半農生活の普及に向けて行政の役割はなにか
2020年版レジャー白書によると、余暇機会に園芸・土いじりをした人が2,410万人いると記載しています。これはマラソン・ジョギングをした人2,220万人より多い数です。
毎年のレジャー白書を見ると、園芸・土いじり人口とマラソン・ジョギング人口は年により変動していますが、どちらも、だいたい2000万から4000万人規模です。
乳幼児や要介護の高齢者を除く国民の4分の1から半分近くは、園芸・土いじりをしている事になります。
また、東日本大震災前の調査にはなりますが、国土交通省の調査では、「平日は都会、休日は田舎」のような二地域居住をしたいと考える人は、全体の半数近くに上っています。
半農生活や田舎ぐらしについての潜在的需要は非常に大きいと考えるべきでしょう。
1970年代、国土庁事務次官だった下河辺淳さんは、いずれは農村部に住んで、IT技術を使って仕事をする「森林化社会」が来ると述べていました。
僕は1999年に、ISDN回線(既に死語です)を使って、「全国をTV会議システムで結ぶ森林旅行会議」を主催しました。
東京、秋田、静岡、高知を結んでのオンライン会議でした。
当時は、オンライン会議と言うものがどういうものなのかも認知されておらず、各地で主催者になってくれる団体を説得するのに、骨が折れました。
今では、オンライン会議は一般に認知されており、僕がやっている「菜園起業入門セミナー」もオンライン会議で、地方からも受講できます。
他方、2024年4月人口戦略会議の発表によれば、全自治体数の4割に相当する744自治体が、消滅する可能性があるとされました。
こうした中で、半農生活や田舎ぐらしを普及し、人口の「地方回帰」を進めることは、非常に重要だと思われます。
ITのような技術的な事で言えば、下河辺さんが言っていた「森林化社会」のような事は十分可能だと思われます。
こうした中で行政が果たすべき役割はなんでしょうか?
例えば、自治体が住む場所や農地の斡旋をすべきだと言う件については、既に農地バンクや空き家バンクが存在しています。
また、大規模に農地を確保して、本格的に農業をするのでなく、半農生活で耕せる程度の農地を利用することも、農地法の「下限規制」が撤廃されたため、制度上は可能になっています。
つまり、行政もけっこう「やることはやっている」のです。
では、行政が果たすべき役割はないのかと言うと、やっぱり「ある」のではないかと思います。
ただ、それは、「思いつき」みたいなアイデアではないように思います。
このシリーズでは、行政が果たすべき役割について、いろいろな角度から分析して伝えていきたいと思っています。
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