微妙なステージの(元)学生起業家が、生々しい失敗を晒してみる
アーリー前後のスタートアップの教訓話はたまに見ますよね。
でも今まさにシード途中(PSFに行く行かないくらい)を彷徨っている次元の話はあまり出てこないので、振り返りの意味も込めて自分のいる状況、犯した失敗たちを晒していきます。
※PMFとPSFの詳細は「スタートアップサイエンス」等素晴らしい資料にまとまっているのでこちら参照。
(ちなみに弊社は”もぐシェア”という子育て家庭と地域をつなぐC2Cサービスを先月からひっそり運営してます。PC版デザインは無い&ほとんどの地域ではまだ使えないです。)
スタートアップがまずやるべきは、不確実性を減らしていくこと。
スタートアップは、完全に暗中模索だ。
仮説に仮説に仮説を積み重ね妄想で上塗りした結果
「うひょー!!!社会を!!!変える!!!」
と盛り上がってる変態の集まりだ。
その不確実な妄想を、一個ずつ「確からしい」と検証していく。
検証の順番は、ビジネスモデルによって多少異なるだろうが、基本はこんな順番ではないだろうか(PSF前にフォーカスしてます)。
①.アイデアの構想
②.ヒアリング(アイデアの確からしさ)
③.テストマーケ
④.プロダクト作り
⑤.拡大施策・データ蓄積・改善の繰り返し
①.アイデアの構想
➜自分や人の体験,世の中の流れなどから、これニーズありそう、を着想する。
②.ヒアリング(アイデアの確からしさ)
➜そのニーズを持ってそうなユーザーが本当にいるのかを確かめに行く。
③.テストマーケ(確からしいアイデアは本当にお金を払ってもらえるのか?)
➜ヒアリングに応えて頂いた方の多くは「いいね!」「使う使う!」と言ってくれる。
しかし実際蓋を開けてみると…といのはあるあるの極みだ。
なのでその言葉は、その方が本当にお金を払ってくれるまで鵜呑みにしてはいけない。
どんな形でもいいから、実際にお金を払って購入された、というケースを作りに行くべし。
ちなみにC向けならココナラやBASE, line@などを使いコンテンツを販売/募集してみれば、プロトタイプすら作らずに「本当にお金を払ってくれる人が存在するか?」をヒアリング対象より広範囲で検証できるのでオススメだ。
④.プロダクト作り
➜③までで積み重ねてきた知見をプロダクトにまとめていく。
ちなみにここでも大いなる失敗をすることになるのだが、そこはまた別の機会に...
⑤.拡大施策・データ蓄積・改善の繰り返し(そのプロダクトで持続的な利益を生み出せるか)
➜④で作ったプロダクトで、CPA,ARPU, LTV, Churn Rateなどを明らかにしていく
④までがPSFで、⑤以降でPMFを目指していくことになる。
(ちなみに弊社は典型的な二面性があるマーケットプレイスなので、②,③,⑤等における項数は二倍だったりする…)
自分が犯したミス
①~⑤のプロセスにイメージを付けてもらうために、僕のレベルの低すぎる失敗を2つほど晒していく。
失敗A. ③(テストマーケ)をやりながら⑤(拡大施策)を打った
失敗B.④(プロダクト作り)をやりながら②(ヒアリング)に戻ったり
失敗A.
③(テストマーケ)をやりながら⑤(拡大施策)を打った
➜ある商圏でテストマーケをしながら全く別の商圏で広告打ってユーザー獲得をしたり...
いや広告打つなら、その商圏のテスト結果見て、きちんとユーザーニーズを吟味してからにしろよ、完全に何となくで打ってただろ当時の自分…。
失敗B.
④(プロダクト作り)をやりながら②(ヒアリング)に戻ったり
➜④の際に今までの知見を活かしながらプロトタイプを作って、「ここはこういう挙動をしてくれるだろうか?」などの仮説を持ちながらユーザーテストを繰り返し、最低限のプロダクトに仕上げていくのが定石だろう。
(自分でユーザーテストをやればやるほど、いかにタベリーが天才的プロダクトか痛感する...)
しかし自分が当時④に着手した時点で、②のヒアリングが不十分だった。
だから画面遷移から機能、何から何までが「なんとなく」なのだ。
なんとなく必要だろう、なんとなくこういう流れだろう…というのを積み重ねてできたプロダクトは、非常に脆い。すぐ「こっちの方がやっぱり良さそう」とか、「1人のユーザーさんがこう言ってた」に対応して要件がコロコロ変わってしまう。
このようにきちんと
・自分が今どこで何を検証していて
・次(やその次)に何があるのか
を意識しておかないと、打ち手が全てちぐはぐになってしまう。
不確実性をきちんと潰していかない弊害
上で挙げた失敗をしてる時点でもう致命傷、ということは十分伝わるだろう。十分すぎるほど時間を浪費してしまった。
しかしここから、更なる追い打ちを喰らうことになる。
弊害その1:施策をミスる
弊害その2:採用をミスる
要は全てミスるのだ。施策も人も、重要な要素全てミスるのだ。つまり死ぬ。
【弊害その1:施策をミスる】
例えばテストマーケをしながら別地域で広告を打っていた、というミスを挙げた。
別地域で広告を売っても振るわない。何故かと言うと、まともなプロダクトも無いし訴求ポイントもわかっていないのに、うまく集まるわけがない。
しかしユーザーが集まらないことに焦り
「これじゃダメだ、別の拡大施策の手を持っておかないと…」
「そうだ…メディアだ!地域性がある事業だからリアル営業中心で考えていたけど、やっぱりwebで蓄積されてく集客チャネルは必須だ!ローカルメディアだ!」
となり、ローカルメディアをやろうとする。
もちろんやってみるまでわからない以上、施策を打つのは超重要だ。先日Aidemy石川さんのこんな記事がバズっていた。
ものすごく共感できる。「これをやったら一発でうまくいく」みたいな施策は基本的には無い。ユーザーの気持ちに配慮した地味な改善や施策をひたすら繰り返して積み重ねていくことが、最終的に大きな差になっていくのだと思う。
しかしこの正しさの大前提には、大枠としての正しい思考プロセスがある(上で挙げたPSF前後の①~⑤の順番とか)。優秀な人にこんなことを言う必要はないと思うが。
そして間違いに気付く。そう、メディア作りに必要な人を巻き込んだ後に。
【弊害その2:採用をミスる】
弊害その1に関連して、メディアをやろうとするとマンパワーが必要になる。
そこにかかる採用とコミュニケーションの金銭的,時間的コストはものすっごく大きい。
つまり「トライしてダメだったから次にいこう」という前進ではなく、「これどう考えてもやる前から防げたよね」というレベルのミスで大ダメージを喰らっているのだ。
まだ採用の話が続くが、別に施策に関連してないところでも、エンジニアやデザイナーの項数を普通に見誤る。
例えばデザインに置いて、現段階では週末のデザイナーだけで回るのか?それとも短期の業務委託フルコミデザイナーが必要なのか?それとももう既に社員デザイナーがいた方がいいのか?
などなど、ステージに応じて必要な役割/リソースは変わってくるはずだが、その「ステージ」に対する自分の認識が事実とズレていると(例えばプロダクトちゃんと作る段階じゃないのにそう認識してしまうと)、その事実に気づいた時、急にリソースが必要になったり不要になったり、紆余曲折を極めることになる。
そして人に関わる問題は、時間だけでなくメンタル的にも中々のダメージになるのです。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
仰る通りでございます。
こうして失敗を羅列してみると、自分は激しくダメな人のようだ…。
そしてそれは全て100億%自分の責任でしかない。
巻き込んで迷惑をかけてしまった方には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
これからPSF目指すぞ!って段階のシードスタートアップの方、少しでも参考になれば嬉しいです。
We’re Hiring!
なんだか全体的にネガティブなものになってしまいましたがw
現状はPSFも突破できそうでかなり楽しいステージです。
チームはCEO(僕), 社員エンジニア1名, 業務委託エンジニア1名, 業務委託デザイナー2名の構成です。
子育て家庭と地域を繋ぐ、手料理おすそわけコミュニティ"もぐシェア"を運用しています。
もぐシェアは地域に子育ての新しい形の拠り所を作るチャレンジです。
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