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第46回サマーコンサート・曲目解説


・・・・・ 第一部 ・・・・・


●吹奏楽のための「エール・マーチ」

 この曲は、昨年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲として発表されました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったため、今年度改めて演奏されます。「エール・マーチ」というタイトルには、「誰かを応援したい時に演奏できる曲に」という作曲者の願いが込められています。落ち着いたテンポとメロディーの柔らかさが特徴的で、聴いていて心地のいいマーチになっています。
 コロナ禍だからこそ、より一層、人と人とが応援し合い、助け合う世の中になればと思います。本日は私たちから皆さんへ、この曲を通してエールを送ります。

●交響的断章

 作曲者ヴァーツラフ・ネリベルは、チェコスロバキアに生まれました。幼い頃から作曲家を志していましたが、両親の反対により音楽を習うことは叶わず、自己流でオルガンや作曲を身に付けました。大学入学後は戦争等の情勢に翻弄され、学校や居住地を変えながらも、ラジオの専属作曲家や指揮者等、音楽家としての仕事を続けていきました。その後、吹奏楽と出会ったネリベルは、学生向けの吹奏楽曲を精力的に作曲し、数多くの作品を残しています。
 ネリベルの代表作の一つである「交響的断章」は、アメリカ・ノースウェスタン大学の吹奏楽団と、指揮者ジョン・ペインターの委嘱により、1965年に作曲されました。短い音列の執拗な反復による展開、強弱や各楽器の音色の対比、強力なユニゾンと不協和音の共存等、「ネリベル・サウンド」とも呼ばれる彼独特の個性的な構成が、顕著に現れている作品です。印象的かつ緊張感に溢れた前奏、打楽器中心の中間部、力強さを増していく後半部分と、初めから終わりまでネリベルの世界を表現します。


・・・・・ 第二部 ・・・・・


○残酷な天使のテーゼ 

 アニソンの中でも長い間親しまれ続けているこの曲は、1995年にテレビ放送されて以来、世界的な人気を誇るアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌として知られています。今年3月には劇場版最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』も公開され、再び注目を集めています。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は、人類の脅威となる謎の怪物「使徒」の襲来を巨大人型兵器「エヴァンゲリオン」で阻止するという内容のSFアニメです。
 今回は、吹奏楽版にアレンジされたものを演奏します。原曲と同じく静かな曲調から始まり、軽快かつ力強い音楽へと移ります。フルートやドラムのソロにも注目しながら、是非手拍子とともにお楽しみください!

○ディズニーランド50周年セレブレーション

 この曲は、2005年に開園50周年を迎えた、アメリカ・カリフォルニアのディズニーランドを記念したミュージカルからのメドレーとなっています。東京ディズニーシーで2011年4月から2020年2月まで公演された『ファンタズミック!』の華やかなファンファーレや「ミッキーマウス・マーチ」、「小さな世界」など1度は耳にしたことのある有名な曲で構成され、緩急のある作りが感動的なラストを引き立たせます。
 全員での演奏はもちろん、アルトサックスとトランペットのソロにもご注目ください。ディズニーの世界を楽しんでいただけると幸いです。

○サウンド・オブ・ミュージック・メドレー  

 第二次世界大戦直前,トラップ一家はナチス占領下のオーストリアで合唱団を結成し,ナチスの独裁に苦しむ人々を歌で励まし続けました。この家族の母親による自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』を原作としたミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』は,1959年にブロードウェイで初演され,以後ミュージカル映画が大ヒットするなど,長年にわたって多くの人々に愛されてきました。
今回演奏する「サウンド・オブ・ミュージック・メドレー」は,ミュージカルの表題曲である「サウンド・オブ・ミュージック」をはじめ,誰もが一度は耳にしたことがある「ドレミの歌」「エーデルワイス」を含む6曲からなり、作品の世界観を凝縮した一曲です。1本のミュージカルを見たかのような感動をお届けします!


・・・・・ 第三部 ・・・・・


◆バレエ音楽「青銅の騎士」より 

 「青銅の騎士」は、ロシアの都市サンクトペテルブルクの元老院広場に建つ、帝政ロシアの初代皇帝ピョートル1世の騎馬像の俗称で、彼によって築かれたこの地に建立されました。1833年に詩人・作家プーシキンがピョートル1世を題材にした叙事詩『青銅の騎士』を発表して以来、騎馬像はこの名前で呼ばれ、親しまれるようになりました。叙事詩『青銅の騎士』は厳しくも美しいロシアの自然と、それを克服しようとする英雄ピョートル1世、そこに暮らす人たちの愛を描いたものです。グリエールが晩年に発表したバレエ音楽「青銅の騎士」もタイトルの通り、この詩が元になっています。今回は吹奏楽編曲版より、「序章」「元老院広場にて」「輪舞」「踊りの情景」「偉大な都市への賛歌」の5曲を演奏いたします。「序章」はホルンやサックス、クラリネットが重厚感のあるメロディーを奏でます。「元老院広場にて」ではテンポが上がり、バレエ音楽ならではの特徴的な3拍子のリズムに乗せた軽やかな木管楽器のメロディーをお楽しみ下さい。続く「輪舞」のゆったりしたテンポで聞きごたえのあるメロディーやハーモニー、テンポが再び早くなる「踊りの情景」のキメの迫力にご注目下さい。最後の「偉大な都市への賛歌」では冒頭同様、重厚感あるハーモニーを奏でます。サマーコンサートのメインであるバレエ音楽「青銅の騎士」を楽しんでお聞きください!

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