【感想】「三ヶ月 外来種食べたけど質問ある?」(2022年6月23日@Twitterスペース)


本稿は2022年6月23日に行われたTwitterスペース「三ヶ月 外来種食べたけど質問ある?」の感想である。

外来生物問題は関心を持っているテーマであり、駆除や啓発、法手続きの実務も多少担当したことがあるので、このスペースにも関心を持っていた(当日は仕事のため聞けず、後日録音を聴いた)。またメインホストのさかな芸人ハットリさんをはじめ、スピーカーの皆さんの活動にも興味があった。
本稿では、スペースを聴いて気になった点の指摘と単純な感想(所謂「お気持ち」)が混在する。極力それらを分けて論じたいが、読みにくい点があることについてあらかじめご容赦願いたい。また、少々批判的なニュアンスを含む場合あるが、私は日頃からホスト及びスピーカーの皆さんの活動や理念には尊敬の念を持っており、それらそのものを批判する意図はないことを宣言しておく。
発言をほぼ原文ママで引用する場合は下記のとおりとし、私の意見や感想は太字とした。

発言をほぼ原文ママで引用する場合

発言者

軽いアイスブレイクを兼ねて、外来種の定義がハットリさんから紹介された。国内外来種や遺伝的撹乱にも触れられおり、WoWキツネザルさんが「このスペースを聴くだけで外来種や外来種問題のことが分かるきっかけになれば」と述べた通り、このスペースがただの雑談スペースではなく啓発を目的したものだという意図を感じることができた。

自己紹介を経て、WoWキツネザルさんが促す形で代表的な外来種、気になる外来種などが紹介され、マーシーさんからはブラックバスとブルーギル、山内さんからアメリカザリガニとミシシッピアカミミガメ、川田さんからミステリークレイフィッシュ、WoWキツネザルさんからキョンが紹介された。いずれも侵略的外来種である。ここまでの流れから、このスペースでは「外来種」と言った時、それは「侵略的外来種」を指していることが前提であることが推察できた。しかしながら、それが明言されないこと、あるいは説明がないことが気になった。なぜなら、WoWキツネザルさんがこの件りの前段で、本スペースの概要を次のように説明したからである。

外来種問題では誤解や「同じ生きものなのに」という論争が後を絶たない。外来種を食べるというユニークな切り口で楽しく外来種とはどんなものなのかということをラジオ感覚で学べる

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

この一文目の「誤解」については例示されなかったが、外来種問題を取り上げるとき、侵略性を考慮せずに論ずることこそ数ある「誤解」の元凶(あるいは誤解そのもの)の一つであり、不毛な「論争」の原因となる齟齬であると考えられる。もちろんホスト及びスピーカーの皆さんは当然の前提として承知しているとは思うが、「啓発」を目的とするならば、ここは「すべての外来種が外来種問題を引き起こすわけではなく、中には農畜産物のように有用なものもある。外来種の中でも生態系に悪影響を及ぼす恐れのある「侵略的外来種」が駆除等の対象となる」ということを丁寧に説明するべきであったと思う。

その後はハットリさんの活動の紹介から、最近食べた外来種の話題に。山内さんがウチダザリガニを紹介したところで、「アメリカザリガニと違って、持ち帰って泥抜きすることができない」と言う話が出た。ここから特定外来生物の話となる。
持ち帰って泥抜きすることができない理由として、外来生物法によって捕まえたものを移動することができないことが説明された後、琵琶湖ではさらに条例でキャッチアンドリリースが禁止されており、回収ボックスが設置されていることが紹介された。ここでWoWキツネザルさんが川田さんに問いかける。

子どもがたまたま捕まえたものが特定外来だったら殺さなきゃいけない。大人がフォローしてあげなきゃいけない。川田さん、どうしたらいいでしょう。

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

これに対し川田さんは「どうしたらいいんでしょうね」と応じ、

いまマーシーさんがおっしゃったことで、バスのポストがあるんですけど、夏場とか行った時マーシーさん臭いすごいとこありますよね。
だから、初めて外来魚っていうものを、どういうふうに出会うかってすごく子供たち大事だと思ってて、例えばめちゃくちゃ臭い腐敗したようなポストの香りを嗅いだ時に、どういうふうに印象を持つかとか、例えばテレビとかで外来種=悪って見た時に、悪なんだっていう構図で思うのかってすごく僕は大事だと思ってて、伝えるって難しいですけど、大人はやっぱり外来種っていう生き物と在来種っていう生き物に対して両方見せて、そこで考える余白を残すっていうことが大事だなと思ってます。
(具体的には?)
例えばですけど、今のような話は多分今これをお子さんも聞いていただいてるみたいなんですけど、多分生き物に興味があってでも大事しなきゃいけない生き物と、天然記念物と特定外来種ってなんでこんなに差があるんだろうと、多分一回思うと思うんですよ。大人はやっぱり駆除しなきゃいけない、まあここにいる人たちは食べたりとかしてて、けど誰が持ってきたかとか、先ほど僕に対しての質問もいただいてたんですけど、誰がどういうふうにどんな目的で持ってきてそれがその池とか川とか閉鎖された空間でどういう生き物を駆逐して食べて大きくなって生態系がどう変わって、、で、もう一つ大事なのが、その生き物が数を減らすことによってどういうふうに、元に戻るのか戻らないのかっていうことを大人が答えを言うんじゃなくて子供が考えるっていうワークショップであったり、機会っていうのが大事だと僕は思ってるんです。

川田一輝📘

この指摘は重要な点であり、全面的に同意するところである。しかしながら、WoWキツネザルさんの問いかけに対する返答としては軸をずらしており、残念であった。確かに難しい問いかけであり、私自身も明確に答えることはできない。しかしこうした簡単に答えが出ない問いこそ正面から捉え、このメンバーで議論して欲しかった。
また、ここまでのやり取りの中で「特定外来種」という言葉が3回発せられた。いうまでもなく正しくは「特定外来生物」である。しばしば間違えられる言葉ではあるが、啓発を目的としているのであれば、せめて法律用語は正しく使っていただきたい。

川田さんと入れ替わりで小坪さんが加わり、外来種をメディアで扱う際の難しさ、というテーマに。
ここでは下記の山内さんのお話が印象的だった。

うちでいうと、ニジマスは特にほかの魚と一緒に入れている。ヤマメであったりウグイであったりアメマスであったり。なぜかというと、実際に僕らが川に行って、川の中を見ると、一緒に泳いでいる。ニジマスのいない北海道の川って、あるにはあるが、意外とたくさんあるわけでもない。ニジマスは正直大きな川だったらいる。なので、ニジマスのいない北海道の川を再現しても、それは嘘だし、ニジマスが実際こうやって生息しているんだよっていう現実と、ニジマスがどういうふうにほかの生きものに対して影響を与えているかというところのリアルというのは、切り離せないけど、別々の見方はできるかなと思っている。一緒に暮らしているところを見せながら、僕らが説明するだとか、解説板に書くことによって、本当に一緒に暮らしていることが、よくないことにつながっているんだっていうふうな思考になってほしいと思って展示しているという水槽もある

山内 創

このスペースの大きな柱の一つである普及啓発の具体例。特に掘り下げられずに琵琶湖博物館の話になってしまったが、反響やお客さんとどのようなやり取りをしたか、など、現場の手ごたえを聴いてみたかった。

前回のスペースのおさらいから、ニジマスの話題に。小坪さんより、ニジマスでは放流がよくニュースで取り上げられTwitterでも話題になるが、漁協が行う放流は法に基づく増殖義務に基づき行われているものであり、違法ではない。批判されるべきは漁協ではなく、そういう仕組みになっているということが問題であるとの話があった。
これも重要な指摘である。放流そのものを批判しても仕方ない。また、環境教育の名目で行われる放流とも分けて考える必要がある。
小坪さんは、これを変えるためには政治を変えるしかないと指摘。

これを受けて、山内さんから放流によらない増殖をしようとする漁協の取り組みが紹介された。河川環境を保全することによって遡上数を向上させたり、親魚を減らさないようにする取り組みとのこと。しかし、こうした取り組みによって増殖しても、増殖義務における増殖にカウントされず、そうしたところも変わっていったら良い、と訴えた。その取り組みによってどれだけ増えたか効果が見えにくいことが原因だという。
増殖義務を量で課している以上、定量的に評価できない取り組みが実績として考慮されないのは仕方がないことだ。一方、生物多様性保全の観点からは、外来種を放流しなくても在来種が増えるよう環境を整える方が望ましい。やはり仕組みを変える必要がある。

議論が生物多様性保全からの視点に偏ったところで、山内さんの重要な指摘。

そもそも漁業さんが放流をするっていうのは何を目的に放流しているかっていうと漁業魚を増やすことによって収入を得ることを目的としているので。生物多様性の保全を目的に放流しているわけではないのでそこは違うっていうことは理解しておかないといけない。

山内 創

ここをしっかり押さえておかないと議論が霧散する恐れがあるし、漁業関係者と話すときにも話がかみ合わなくなってしまう。

以下水産庁の資料より抜粋。

内水面漁業における第5種共同漁業権の免許を受けた漁業協同組合等には、漁業法により水産動植物の放流や産卵床造成などの増殖義務が課せられています。また、知事の認可を受けた 遊漁規則によらなければ遊漁を制限してはならないとされており、これらによって、内水面の水産資源の維持増大と漁業や遊漁による利用の調整が図られています。

内水面漁業の振興に関する法律のあらまし(水産庁,2014)

https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/pdf/aramashi3.pdf

つまり、漁師(漁獲物によって収入を得ている人)や遊漁者のための放流ということになる。しかし一方で、「内水面漁業の振興に関する法律」には下記の規定がある。


(基本理念)
第二条 内水面漁業の振興に関する施策は、内水面漁業が水産物の供給の機能及び多面的機能を有しており、国民生活の安定向上及び自然環境の保全に重要な役割を果たしていることに鑑み、内水面漁業の有する水産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮され、将来にわたって国民がその恵沢を享受することができるようにすることを旨として、講ぜられなければならない。

(定義)
第三条 (略)
2 この法律において「多面的機能」とは、生態系その他の自然環境の保全、集落等の地域社会の維持、文化の伝承、自然体験活動等の学習の場並びに交流及び保養の場の提供等内水面漁業の生産活動が行われることにより生ずる水産物の供給の機能以外の多面にわたる機能をいう。

(自然との共生及び環境との調和に配慮した河川整備の推進)
第十九条 国及び地方公共団体は、内水面水産資源の生育環境の改善その他内水面に係る生態系の保全に資するよう、自然との共生及び環境との調和に配慮した河川の整備を推進するよう努めるものとする。

内水面漁業の振興に関する法律(平成二十六年法律第百三号)

以上により、生物多様性保全に配慮した資源管理手法を検討することは、法の理念にかなっていると考えられる。
これを踏まえ、WoWキツネザルさんの次の発言を考えてみる。

漁業関係者の方にとってはすごく死活問題であり、重要な問題ですもんね。ここが難しいですよね。その経済活動というかその収入を得るための行為であることと、生物の生態系の保全とはまた別の話ですからね。ここが上手く噛み合って歯車回ってくれればいいんですけどそうじゃない現状

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

確かに別の話ではあるが、法に規定されていることであり、今後はその調整を図っていかなければならないだろう。
また、放流をやめた場合、放流魚の漁獲によって収入を得ている人にとっては死活問題かもしれないが、実質的には遊漁者のための放流という面が大きいのではないだろうか。そうであるならば、天然魚の自然増殖という手法に転換することは、簡単とは言わないが、実現可能性はあると思われる。

こちらは海水魚の話題であるが、参考までに。

WoWキツネザルさんがSDGsの視点から、経済、社会、環境がそれぞれ軋轢なく成り立つようにするにはどうするのが理想なのか小坪さんに意見を求める。

SDGsは現状維持のスローガンではないので、より良くしていこうと。より良くしていくというのは何なのかというと、未来に選択肢を残すっていうこと。(中略)っていうことはわれわれが多分持続可能な道を選ばなきゃいけないんじゃないかって、そこはきれいごとじゃなくて、堪え難きを耐えて未来にバトンタッチをするっていう部分もそれはあるだろうと思っている。

小坪 遊 Yu Kotsubo(米を持ち歩く人)

目先の利益だけではなく未来を見据えて生物多様性のためになる取り組みをするべき、ということかと考えられる。例えば、放流の中止によって一時的に不利益を被る人がいたとしても、環境整備による天然魚の増殖に方針転換するという道を選ぶということだと考えられる。

これを受けたWoWキツネザルさんのコメントは以下の通り。

我々が選択肢を持っているが、その選択肢を選ぶほど知ってないっていうところがきっと難しい部分

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

ここが重要な部分で、今はまだかろうじて選択肢が残っていて、より良い方向に行く選択をしなければならない。そのために学んだり普及啓発をしなければならないと思う。

続いて、産業との兼ね合いについて、ハットリさんの問題提起。

兼ね合いに関して、これはきれいごとかもしれないが、ゾーニング、すみわけ、保護区域と産業で使っていい区域をしっかり分けてほしいと感じている。例えば渓流の支流は産卵場所として保護区域にするとか。

ニジマスやブラウンなど産業管理外来種に対して疑問に思っている。そういうくくりにはなっているが、特定外来生物のような法的な規制もない。いま生態系被害防止外来種リストがあってその中で特定外来生物には法的規制があるが、経済との兼ね合いが特に難しい魚種に関してはただ名前を付けるだけではなくて、具体的な資格とか。今回思ったのが、アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメが特定外来生物に指定されたときに、飼う分には大丈夫という新しい枠組みができた。

枠組みが大きすぎるんじゃないかと。一種一種危険度や人とのかかわりが違う。なので産業管理外来種に関してもその種に特化した規制を作るべきではないかと。釣り人側の意見になるが、これだけ産業として大きくなったブラックバス。放流は絶対だめだが、産業としてそこに兼ね合いをする(筆者注:折り合いをつけるという意味か)には今の特定外来生物という枠組み以外の新しい規制、この業者、この区域では認められる場所を作るという部分など、もうちょっと臨機応変なものがないと密放流とかも減らないのではと思っている。ここまでは譲れるという場所があれば、釣り業界側も自分たちの方で啓蒙しやすくなってくるんじゃないかと個人的に思っている。

さかな芸人ハットリ

厳密には新しい枠組みを作ったというわけではなく、法規制の一部を適用しなくてもいいことにしたということ。

今後新たに指定する特定外来生物については、当分の間、政令で、特定外来生物の種類ごとに一部の規制を適用除外とすることを可能とする規制手法を整備します。

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について(環境省,2022)

また、生態系被害防止外来種リストを法に位置付ける議論はなされている。

特定外来生物以外の侵略的外来種についての理解を促進し、対策を推進させるため、「生態系被害防止外来種リスト」や「外来種被害防止行動計画」につ いて、外来生物法と紐付ける等、その関係を整理するとともに、見直しを行う必要がある。

外来生物対策の今後のあり方に関する提言(外来生物対策のあり方検討会,2021)

https://www.env.go.jp/content/900517831.pdf

種ごとは無理でもリストのカテゴリごとに扱いを法律に定めるべきというのは同感。ただしそれが釣り業界の啓蒙を促す流れにつながるかは疑問

WoWキツネザルさんからマーシーさんに、ブラックバスやブルーギルに対してどういう視点を持っているか、という問いかけ。

法律で分布や量に増減があるかというと、ブルーギルを放流という話は聞かないが、コクチバスは琵琶湖に限らず増えている。法で規制されているのにいまだに守られてない。法律は現実的に機能してないと思うべきなんだと思う。

マーシー@獲ったり狩ったり

続いて小坪さん

ハットリさんの問題提起もマーシーさんの肌感どちらも大事だと思う。確かに外来生物法ってかなり0ー100がきつい法律だったんですね。今回アメザリ、アカミミガメに対してステップを付ける、段階的にするっていう改正で私は結構いいなと思ってるんですけれども、一方でその対象に対して柔軟にするとそれは詳しい人にとってはありがたいが一般の人にとっては非常にわかりにくくなっていくわけですよね。つまり例えば禁止薬物とかあるいは病気とかでもそうですけど、こういう病気はこうしてくださいって細かく分かれれば分かれるほどプロにとっては非常に扱いやすくなるんですけど、一般の人にとってはそれは非常に難しい。だから法律はなるべく簡潔にするというのがこれは非常に大事なことです。その方が扱いやすい。もう一つは、私緩めるのはどちらかというと賛成なんです。実際今の法律だとあんまりブラックバスの分布拡大とかに対してそれほど効果がないんじゃないかと感じている。一方で緩めるだけじゃなくて厳しくするところが私は必要だと思っていて、これは例えば、あるお魚の専門の先生と話してたんですけれども、特定外来生物って私もちょっと申し上げたように、銃とか禁止薬物と同じぐらい厳しい規制がかかってるんで。そういうものが生息している場所っていうのは危険な場所として立ち入り禁止にする。そしてそれを取り除くまでは一切遊んではいけないとかですね。そのぐらい極端なことをやれば、要は放した人はそこで釣りができなくなるので、放しても無駄になる。そういうことは考えてもいいんじゃないかなと思います。

小坪 遊 Yu Kotsubo(米を持ち歩く人)

マーシーさんの感覚は残念ながらよく理解できる。また、小坪さんのアイディアは面白いと思った。

これを踏まえ、WoWキツネザルさんから、違法な釣り人にどう対応するべきか、という問いかけ。

ハットリさんから

釣り人側は内側からの啓蒙が必要。釣りを仕事にしている中で、外来種駆除に対して根本的に賛同できない人たちも多い。法律の締め付けが強かった。2005年に外来生物法ができた時のことをものすごく恨んでいる釣り人がすごく多い。勝手に決めやがってみたいな。今のAV新法のような。現場で働いている人や生業としている人に対するヒヤリングがないままにできてしまった法律で、恨んでしまっているとしたらそれは守りたくないとか黙ってやる人を増やしてしまう結果になったんじゃないかと思う。もちろんブラックバスは法律で規制しなければ密放流も止まらなかっただろうから、規制は必要だったんでしょうけど、段階的というか歩み寄れる、、釣り人もバスを釣ったときにどこそこで釣ったと言えるような、明確に釣っていい場所でしか釣りをしないくらいにできないものかなと思っている。もしこのスペースの次があるなら、釣り業界、メーカー系の方で、釣りを生業にしているような方である程度生態系保全に興味関心を持っていただけて、対立じゃなしにどうしたらいいんだろうっていう話をできる方がゲストで話せればなと思っている。建設的な話をできればと思っている。

さかな芸人ハットリ

まず特外指定の際、釣り業界関係者を交えた協議、ヒアリングはしっかりやっている。
例えば、「第1回特定外来生物等分類群グループ会合(魚類)オオクチバス小グループ」には「利用関係者」として全国内水面漁業協同組合連合会専務理事、(社)全日本釣り団体協議会専務理事、(財)日本釣振興会副会長・外来魚対策検討委員会委員長が名を連ねている。

釣ってはいけないという法律ではないのになぜそこまで気を使わなければならないのか疑問。一部で漁業権を設定するという譲歩はしている。駆除に理解が得られないというのも、生態系への影響を理解してないからとしか思えない。また、施行直後にそうしたわだかまりがあったとしても、既に施行から15年以上が経過している。これは釣り業界内での啓発不足が原因であろう。
釣り業界の人を交えてのスペースについては、生態系保全についてどのように考えてるか聞いてみたいところではあるが、建設的な議論になるか疑問。すでにハットリさんが釣り業界の代弁者的な立ち位置で参加しているので、それで十分かと思れる。

バス釣りについてどう感じているか。
まずマーシーさん

するのはいいと思っているが放流等の違法行為(琵琶湖のリリース含め)をする人がいるのが問題点。

マーシー@獲ったり狩ったり

続いて山内さん

ゾーニング、ワイズユースという議論はニジマス含めあると思うが、バス釣りに関して言うと、山梨県の湖ではバスの漁業権が残って残った状態で施行された。にもかかわらず、そこにみんな殺到したかというとそういうこともなく。それを踏まえて、10年くらい前に北海道でもニジマスのゾーニングとワイズユースを考えようみたいな淡水魚の研究者たちと釣りの業界団体の人達の間でシンポジウムがあった。そこに触れたばっかりに、毎年やっていた淡水魚のシンポジウムが二度と開催されなくなってしまったことがあった。すごく対立を生んでしまった。難しいということを実感した。

山内 創

これに対しWoWキツネザルさんから

双方の憎悪に近い。ブラックバスを釣りたい人、(中略)と、それによって生物多様性であるとか生態系が破壊されているってことを許せない方々が結構先鋭化されているというか。結構主語がでかくなっている戦争みたいな感じがする。(中略)生き物好きとしてはなんとか解決したいんだよなあっていう。そこがどう表現したらいいのかなっていうところが。

その方が見た釣り人がすべてですから、その方の中の釣り人が「だから釣り人は」「ブラックバスが好きな釣り人は」になってしまうというか。もちろんきれいごとだけでは解決しない問題というのはここに居る全てのゲストスピーカーの方々がわかってらっしゃるんですけど、ただそのブラックバスを取り巻く環境というのは、関係しない人たちも含めての外来種問題だと思うので、どう発信して行くかっていう部分が我々に課せられているなあっていうふうに思う

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

本来ならば対話をして相互理解を深めたいところであるが、皆さんがおっしゃる通り非常に難しい状況である。
個人的には、釣り業界で影響力のある人が、コミュニティや釣り雑誌等で問題提起し、釣り業界内で生態系保全意識の醸成が図られるのが良いと思う。しかしながら、昨年、外来種の定着は環境の変化のせいだとするトッププロのツイート(下記)が物議を醸したように、残念ながら望みは薄いと考えている。

地道な啓発を続け、世代交代を待つしかないのかもしれない。

WoWキツネザルさんから、マーシーさんが動画を出す際の美学について問いかけ

多くの人に伝えたいという気持ち。美学というか目指すところは外来種問題を多くの人に知っていただいて、国民の方々に認識していただいて、問題意識を持つこと。問題意識を持ってもらうと、(問題意識を持っている)多くの人がいると、政治家ですとか国の仕組み、法律を変える部分で、例えば外来生物法を改善するっていう話とか、そういった部分も国民から支持されるようになって行けば、自然環境守らないといけないよねっていう風になる。

マーシー@獲ったり狩ったり

そのとおりだと思う。世論を作らなければならない。そのための普及啓発が必要。より多くの人の関心を引くために動画のタイトルやサムネイルが過激になってしまうのは、私自身は正直好まないが、ある程度必要なことだということは理解している。

続いてWoWさんから

例えば日本だけで言うとほとんどの方々がいわゆる外来種問題ということを知らない中で、やはりその命を奪うっていうことに嫌悪感を持つ方の方が多いって思うんですよね。そこの兼ね合いあのいわゆる正しい正しくないって言い方はWoWキツネザル的に絶対したくなくて、適切か適切じゃないかと言いたいなと思っていて、マーシーさんの動画すごく適切に近いと僕はそう思ってだから大好きなんですけど、WoWキツネザルもよくツイートでするんですけど悪ではないけど害があるっていうことをマーシーさんも仰っていただいていることだと思うんですけど、そこをどう嫌悪感なく、そこのいわゆる真理に近づいてもらうか?みたいな。言葉だけじゃ伝わらないんですよね。なんでウシガエルがいちゃだめなの?生きているじゃん。ウシガエル。人間が持ち込んだとしても自然でしょ、とか、人間の活動も自然でしょ、みたいなところも耳が腐るほど聞いていると思うんですよ。そういう質問は。でもそういった方々は悪意がない。悪いわけじゃない。ただ知らないだけ。でもそこまで知ろうとしていないとか、だからこそそういった方々でも、そういった方々も多いからこそ我々は伝えることをやめちゃいけない。適切な伝え方を続けなきゃいけないみたいなことを、すごくこういった、、ただここって難しいのがWoWキツネザルとかマーシーさんはマスメディアじゃないってとこなんですよね。
小坪さんにお伺いしたいんですけど、マスメディアとしての表現の責任の重さ。これってどういう風にお考えなってます?その我々、言ったらマスメディアではない表現者のいわゆるインフルエンサーと呼ばれるような人間達と、いわゆるそのマスメディアの責任っていうところはどういうふうにお考えになってます?

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

前半では一般の人の理解を得るのに難しい点がまとめられている。この部分についてどう発信して理解を得ていくか、というのはこのスペースの核心だと思うので是非議論してほしかったところであるが、やや違う話になってしまった。
「正しい/正しくない」「適切/適切じゃない」については意図がよくわからなかったが、後日ツイートにて補足があった。

小坪さんからは、会社に属している強みと弱みがあるという話があった。

私が取材したことを出すんですけど。まあそれは会社の名前でやってるっていうところがやっぱり大きいかなっていう気がしますね一つは。
あとはどのくらいの方が実際に読んでいらっしゃるかわかんないですけど、一応何百万部っていうものの中に載って届くわけですから。まあ、心の中ではね。そんなの違うよって思われる方もいるでしょうし、いや全然甘いよって思う方もおられるでしょうし、そこのバランスとかっていうのはやっぱり考えますよね。

小坪 遊 Yu Kotsubo(米を持ち歩く人)

続いて山内さん

マスメディアという報道機関っていほど堅苦しいというかまあその皆が正確で正しいことを求めている場所でもなければ、芸人さんとかユーチューブみたいなエンターテーメント主に求めているっていうわけでもないかなと思う。まあどちらかと言えばエンタメよりだと思いますけど僕は。お客様が求めていることっていうのはねえ。でもいろんな媒体がある中では、かなり老若男女問わずいろんな人が訪れてくれますし、主体的に来てくれる方もたくさんいますし、修学旅行みたいなもので受動的に来てくれる方もたくさんいますし。うちの情報をうちに来て受け取ってくれる人の多面性多様性っていうのはまあかなり大きなものが。いろんな人たちがいるのが水族館っていうところのメディアの一番の強みかなとは思っているので、それをどう伝えていくのかっていうことを、面白い情報発信の方法だとかに乗せて伝えていくような努力をしてはいるんですけど、ただ、うちの場合は特に淡水魚しかいないので、そもそも展示物の方向性が尖っていると思うんです。なので、来てくれた人たちみんなに確実に伝わるかっていうと、まあ多分、、大きな水族館で、どんな生き物でもいますみたいなところだとしても難しいのに、淡水魚しかいないところで生物多様性の包括的な部分っていうのを伝えることは不可能だと僕は考えているので。なら逆に、僕はいつもメディアというかその発信において自分の中でいつも思っていることが、最大公約数を目指さないっていうふうに言うんですけど。伝わる人に伝わる、刺さる人に刺さる発信を心がけましょうと。

山内 創

2人のコメントを受けて、WoWキツネザルさんから

山内さんのお話と、小坪さんの少しアカデミックであるとかあるいは経済社会っていうものの様々なしがらみみたいなところを、いかにこう架け橋になれるかみたいな、だからおそらく小坪さん山内さんそしてマーシーさんはハットリさんそして川ちゃんそしてWoWキツネザルさまざまな立場がいて、それがどんどんこう繋がっていくっていうことがすごい重要なんじゃないかなっていうふうに今、山内さんの話を聞いてすごく思いましたね。

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

小坪さんと山内さんの対比が面白かった。なので、WoWキツネザルさんがおっしゃる通り、いろんな立場の人やいろんな媒体がそれぞれの強みを活かして発信していく(弱みを補い合う)ことが大切なのだと思う。
一方で、発信者としての責任は、組織に属していようがいまいが負うべきものだと思う。

ハットリさんから、前回のスペースを受けてのお話

前回のスペースの後に小坪さんが書かれていた活用というものに対して、どう、是非というか。それで僕が今回結構この企画を始めるにあたって、無駄な、ただ殺すんじゃなくてありがたくいただこうよっていうのは個人的に僕がずっと思ってた気持ちなので、それを主軸にやろうと思って企画始めたんですが、始めて小坪さんとかスペースで皆さんからお話しいただく中で、それが今現状現場で駆除の活動をしている最前線の、本当にその仕事としてドライにならなきゃいけない状態で、駆除をしている人に対する、、足を引っ張ってるのかなとちょっと思ってしまった瞬間があって、ただ殺すんじゃかわいそうだろっていうような感情を、、そう思ってた人が多いと思う。ただ殺すのかわいそうっていう。それが駆除をしている最前線の人に対してコメントとして向かってしまったりというような、ただ殺すんじゃなくてありがたくいただきましょうよって声を大にすることが、もしかしたら保全の妨げになってしまっているのかなっていうところもあって、、と思いつつも、ただ食べるなら納得できるっていう人もものすごくたくさんいると思うので、その人たちをある意味マンパワーとして参加させるような形じゃないと、多分駆除も追いつかないだろうなと。いうところも思うんですが。小坪さんとお話ししたくて。活用って簡単に言うけど、危険だっていう部分と、それをもう一歩踏み込んで、言い方悪いですけど、ちょっと興味持った人を上手くマンパワーとしてとらえる(筆者注:引き込んでいく?)うまい方法も考えられないかなってずっと思っていて。それに対してここでご意見交換できると嬉しい

さかな芸人ハットリ

小坪さん

これは多分話をする前にひとつ。ちゃんと定義しておかなきゃいけないことがあると思っていて、活用するっていうことをこの場では駆除によって生じたその生物の一部あるいは全体を使って、それを売り物にする。これを活用というふうに考えたいと思います。っていうのが、単にとって余ったからその場で食べようっていうぐらいだったら、それはイベントの中で別に好きにやればいいかなって私は思うので、お金とかあの取らずにですね。やりたい人はそれをやってもいいかなと思うんですけど、それを商売にするっていうことを含めて活用っていうふうに考えたらじゃあどうだろうっていうことを先ず定義して、少し私の考えを話させていただこうかと思います。まずその私の考え云々以前のところで、ここに参加されている方たちだったらもしかしたら読まれたことあるかもしれませんけど、環境省とか農水省とかで作ってる外来種被害防止行動計画っていう国のアクションプランがありますけれども、その中にこういう一節があるんですね。社会生活で多くの外来種が利用され、それらの中には私たちの生活に欠かせないものもあると。その一方でそれらの中には侵略性を持つものがありそのようなものについての利用は控えることが重要である。って書いてあるんですね。つまり国としてこういうふうに行動して行きますと言う計画の中には侵略性のある外来種っていうのは利用を控えていきましょうってことがまず書いてあるわけです。それを知った上でじゃあ駆除に関わる人たちの間口を広げたりするのにやっぱ使えるんじゃないかっていうのは、それは実際使えるんです。間口を広げるっていう意味では。これは実際そういうレポートとかも出て、今日はちょっと時間がないんでまあそういうレポートもあるんですよって言うことをちょっとご紹介するにとどめるんですけれども、間口を広げた後に、でもやっぱり根絶しないと行けないんですよね。例えばマングースとか考えてみると、マングースって最初は奄美で言うと3,000頭とかとってるんですけど、今は同じぐらいの予算をかけて、年間一頭も取れないわけですよ。つまりマングースの毛皮っていうのは無茶苦茶高級で例えば1億円ぐらいかけても3,000頭の毛皮を一匹100万円とかで売れたりしたら最初はそれでどんどんマングース獲りたい人たちがどんどん入ってきて獲れるのかもしれないですけど、やがてそれでは獲れなくなるわけですよね。大きいお金かけても今ほとんどマングースいませんから。間口広がって最初のぐっと抑え込むというか減らす時にはもしかしたら使えるかもしれないんですけど、本当に減らして根絶しようっていう時には、それはたぶん無理なんですよ。だから啓発の効果とかあるかもしれないし関心を持ってもらう最初の一歩踏み込んでもらうっていう意味では使えるのかもしれないですけど、本当に長期的な視野で見たときには、、この間は外来種を減らさない方向にベクトルが力が働いてしまうんじゃないかっていう問題意識を提供しましたけど、もう一つ今回言いたいのは、最初は減らせても減らせなくなっちゃうってことです。

小坪 遊 Yu Kotsubo(米を持ち歩く人)

駆除した個体を利用して収益を得る事業を考えた場合に、根絶を目標としている以上は、事業として持続性がない(あってはいけない)こと、その結果として事業が継続できなくなる(根絶できなくなる)ということかと思われる。市場原理を持ち込むことがそぐわないということがよくわかるお話であった。
そして外来種の「活用」というテーマで話すとき、その定義を確認することは大事だと思う。人によって「活用」という言葉に幅がある。

WoWキツネザルさんから、マーシーさんは今まさに外来種の商用利用をしているが、外来種がいくなったらどうする?という問いかけ。

YouTubeがいつまで続くかみたいな話もありますが、ただ実際肌感として外来種が今後、減っていくというか減っていけばいいなと思うんですけれども、なかなか僕が今生活する何十年とか10年20年とかでいなくなるかって言ったらそんなことはないんじゃないかなっていうのがあるので、そこまで最終的にどうなるかっていうのは僕も予想出来てないって言うのが正直な答えはあるんですけども、もしそうやって結局根絶できました在来種しかいなくなりましたっていう、もう本当に一番いいお話しですよね、それがなるのであれば、やっぱり在来種の魅力であったりとかを発信して行く方向にシフトするんじゃないかなあとは思ってますね。
(もしそれで回らなくなったら?)
結局今も不安定な仕事をやっている意識っていうのは結局ありますし、YouTubeいつなくなるかみたいな話ですけど、だから結局はやっぱり媒体をかえるというか、もう本業別のものにしてYouTubeで集まったリスナーさんに何か別の媒体でまた発信して行くというか、お金をもらう場所が変わるっていうか、生活スタイルが変わるんじゃないですかね。

マーシー@獲ったり狩ったり

これを受けて、WoWキツネザルさん

マーシーさんは結構柔軟というか、生き物、生物多様性だったりとかっていうもの、生き物が好きっていうものが土台にあるからそういう変化はたぶん受け入れられると思うんですけど、いわゆる生き物を生業としている方の中には生き物が好きだけではない方ももちろんいらっしゃっていて、そこにあるからであるとか、あるいは親の代からずっと続いているからっていうところの部分でそうやってすぐに切り替えられないっていうところがきっと問題なんでしょうね。

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

ハットリさん

マーシーさんだったら身一つでやってますけど、施設とかがある人もいますからね。養殖業とか。

さかな芸人ハットリ

さらにWoWキツネザルさん

そうですよね。船を持っているであるとか、あるいは子供がいるであるとかでまた変わってくると思うので、一つの意見としてはマーシーさんは結構柔軟であるっていうことなんでしょうね。

WoWキツネザル🦸🏻‍♂️🌍🦸🏻‍♀️

野外の外来種の話なので、養殖業はこの文脈とは異なる。また船などの設備を揃えて外来種を捕獲することによって生計を立てている人がどれほどいるだろうか。マーシーさんのような人たちを除けば、釣具メーカー等の釣り業界は打撃を受けるかもしれないが、そもそも侵略的外来種がのさばることで維持されてきた業界と考えれば、仕方ないのかもしれない。在来種を対象とした事業に転換することもある程度は可能であろう。侵略的外来種の根絶によって在来種が増え、在来種を対象としたマーケットが拡大することも期待できる。
このスペースの後小坪さんが開いたスペースや公開したnoteにあったように、いずれ養殖業も含めて侵略的外来種を利用した事業が成り立たなくなる世の中が来るかもしれない。

さらに、ハットリさんから小坪さんに「根絶をゴールにした産業って作れないのか」という問いかけ。

外来種を獲ってその一部とかを商品とかにして売るっていうのじゃなくて、外来種の根絶をゴールにした産業ってできないのかっていう話、これは私実は解決策の一つだと思ってて、外来種を商いにするのも一つだと思っていて、で、これはオーストラリアだったかなんかの報告書でちょっと例があるんですけど、侵略的な外来種が定着している時にどういうふうに対応したらいいのかっていうようなことを、フローチャートにして対応分類してるんですね。どういうふうになってるかっていうと、まず非常に害が大きくて経済的に得るものが少ないっていうのは、とにかく根絶目指して駆除しましょう。これ当たり前だと思うんですよね。一方で、被害もあるんだけれども経済的なメリットも非常に大きいと言う場合はどうしますかっていう時に、そこから先さらに二つに分かれてですね。駆除しやすい奴らはやっぱり駆除しましょうと。駆除しにくいやつはなるべく広げないようにして行きましょうっていう産業管理外来種みたいなそういう取り扱いをしましょうっていう、ざっくり言うとそういうフローチャートなんですけど、実はここに商いのヒントがあって、どこが商売になるかっていうと、駆除のしやすさ、駆除しにくいというハードルをいかに下げられるかっていうことによって、根絶して行くべき外来種の方が増えていくわけですよね。要は経済的なメリットが大きくても駆除しやすければどんどん駆除しましょうっていうフローチャートなんで。服部さんは例えば直接命を奪うことに抵抗がある人だったとしても、機械いじりが好きだとか道具を作るのが得意だとか、そういう人たちを集めて、、外来種駆除で言うと生態工房さんって有名ですけど、例えハットリ工房を作ってですね。外来種駆除技術の開発に乗り出すとかですね。そういうことをするとやっぱり外来種で食べていけて、でしかもさっきマーシーさんがおっしゃいましたけど当分いなくならないので次々に新しい技術を開発していかなきゃいけないわけですね。ここから先はやや私の妄想にはなるんですけど、いま気候変動、地球温暖化に対してカーボンニュートラルとか実質0とか言って二酸化炭素の排出を減らす商売とか技術っていうのはすごくもてはやされているわけですよね。実は同じ流れが生物多様性にも来ている真っ最中なんですよ。これはまだ日本語でうまく翻訳されてないんですけど、ネイチャーポジティブとか言ったりするんですけど。要は自分たちが経済活動とかするんだけども、する前よりした後に何らか生態系が再生したり回復したら、少なくとも今より悪くしないっていうような経済に変えていきましょうっていう動きが今出ているんですよね。そこでは多分きっとハットリ工房もその駆除技術っていうのはものすごく多分注目を集めて株は右肩上がりじゃないかと私は思うので。ぜひ頑張って頂ければと。

小坪 遊 Yu Kotsubo(米を持ち歩く人)

目から鱗の視点。是非ハットリ工房に頑張っていただきたい。
ネイチャーポジティブについては、例えばこちら

まとめ

まず、ホストおよびスピーカーの皆さんの熱意に敬意を表する。さまざまな話題があり、得るものもあった。特に小坪さんの話や、山内さんの水族館の取り組みや増殖義務の話は大変勉強になった。
全体としては、外来種問題を語る時にはサイエンスベース、エビデンスベースで語りたいという思いを新たにした。エンタメ要素も必要な場面があることは重々承知しているが、今回のスペースのような雰囲気は自分としては肌に合わないと感じた。また、私が掘り下げて欲しいと感じたところが特に掘り下げられずに進んだり、話の流れが「そっちに行くのか」と思うような点がいくつかあり、私自身はターゲット層ではないのだろうと感じた(これは受け手=私の問題である)。

外来種=悪ではない、というのは正しいが、それを強調しようとするあまり、逆に外来種問題を矮小化してしまうのではないか、という懸念を抱いている。今回のスペースでも侵略性について特に触れることなく「外来種」という括りで話が進んでいたが、「外来種が悪いわけではない」と強調しすぎることによって、侵略的外来種による深刻な被害が軽く捉えられてしまわないか懸念がある。侵略的外来種が生態系に及ぼす影響は間違いなく「悪」である。それをマスキングしてしまうことにはならないだろうか。誤解を恐れずに言えば、侵略的外来種による被害を軽んじられるくらいなら、「外来種=悪」と捉えてもらっていた方が良いのかもしれない、とさえ思う(もちろんメディア等で殊更に「外来種=悪」と取り上げることが良いとは思わない)。今回のスペースでも、特に前半部分では、味であるとか、侵略的外来種に対して親しみを抱かせるニュアンスが強かったように思う。それ自体は否定しないが、侵略的外来種の侵略性を覆い隠してしまうのではないか、との懸念を抱いた。

外来種問題を正しく理解してもらうためにはどうするか、という命題があるとすれば、まず生態系というものを朧げにでもイメージできるようになってもらわないと難しいのではないか、と考えている。「外来種は悪くないが害がある」と言ったときに、その害とは何か、というと、「生態系に害がある」ということなのだから、その生態系がどんなものか、それが害されることによって我々人類はどのような不利益を被るかということがイメージできなければ、外来種問題は理解してもらえないだろう。そこを理解してもらった上で、初めて命を奪うこと(駆除)にも理解が得られるのだと思う。侵略的外来種の駆除は我々の生活を守るための取り組み、すなわち生存競争でなのである。我々は子供の頃から「命は大切」と刷り込みに近いような道徳教育を受けてきた。それを乗り越えるには「侵略的外来種の駆除は生存競争(生き残るための行為)」ということを理解してもらわなければならないだろう。そこの理解をすっ飛ばすのであれば、「侵略的外来種は悪者だから退治するんだ」と捉えられることも(特に子供に対しては)容認せざるを得ないのではないだろうか。

参考として、小坪さんのソース集のリンクを貼っておく。大変参考になるので、是非ご一読を。

県がいきなり0カーボンを推進し始めた時の衝撃は記憶に新しい。だから生物多様性保全に関しても同じような流れがあることはあり得る。ショックをなるべく抑えるためにも、日頃から考えておく必要があるだろう。

乱文失礼。以上。