STRUM(1)「中2病じゃなきゃ、何も始まらない。」

2017年。
カップラーメンのゴミが床に転がり、急いでワンルームのアパートからでていく女。アルバイトに向かうヘッドフォンからはエレファントカシマシの「パワー・イン・ザ・ワールド」が爆音で流れてきてる。

「何度目の太陽だ 何度目の落胆だ」
「枯れ果てた大地の一輪の花」
「全部使い尽くせ」

僕の頭にリンクする。
僕の希望の歌だった。
何度目の落胆の後に乗る電車。
くそ。今日もだるいな。

満員電車、だれも気にしない僕の顔。
心の中は
「バイトにも行きたくなんかないし、絵だけで食べてきたいし、夢があったら有名にならなきゃ許されないし、クソばっかりなんだよ世の中。
夢を追ってとか、これからの日本は若者の手にあるとか言いつつも、お前ら夢を追ったところでバカにするじゃねえかよ。
フリーターだか絵描いてんだかわかんねえやつなんて生きてても死んでても関係無い。みたいな顔だらけでもう嫌だな。」

25歳の僕。
頭の中にこれらの言葉が高速タイプされて、20代も後半になってきて、こんな感じで惨めで消えたくなる。
頭の中がタイプで埋め尽くされるとバイト先に着いていた。

僕と同世代ぐらいの美術作家の作品をエクセルでリストに作り、時給1100円で雇われている。

「お疲れ様でした。」

再びヘッドフォンで帰りはオアシスの名曲を聴いていた。

「俺のベッドから革命を起こしてやるぜ。」

僕は本気だった。
その一節は僕のためにあるのだと。

中2病だと?

糞食らえよ。
中2病じゃなきゃ、何も始まらない。

アパートに戻り、89円で買うカップ麺にお湯を入れて
結局僕はなけなしの金で小さなキャンバスに絵を描いた。

to be continued


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